もはや医療機関!? 意外と知らない「温泉」の医学的なメリット

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

家族の生活や子どもの教育のために毎日毎日くたくたになるまで働いていると、ときどき無性に温泉に入りたくなりますよね。

これは、温泉につかることでストレスから解放され、疲労回復の効果があるということを、わたしたちみんなが経験的に分かっているからこその欲求と言えます。

実際、『温泉医学』は医学の1分野としてエビデンスが確立しています。

そこで行われる温泉療法は、医学的により確固たる根拠の立証が待たれているような各種の“代替医療”とは一線を画していて、『温泉治療』という言葉がふさわしいと言えます。

岡山大学病院三朝医療センターは、昭和14年に岡山医科大学三朝温泉療養所として発足して以来、そんな“温泉”の医学的研究と診療にあたってきました。

同センターで診療を担当する内科の光延文裕教授は岡山大学病院のホームページの中で、“本当のところ、温泉がもっている医学的作用は何なのか”について、とてもわかりやすくお話ししてくださっています。

光延先生の記述を参考にしながら、わたしたちは温泉を“医療機関”としてどのように利用するのが最も効果的なのかということについて、考えてみたいと思います。

温泉が体におよぼす良い作用3つ

光延先生は、病院のホームページの中で、温泉が体におよぼす(良い)作用について、次の3つに大別できるとおっしゃっています。

(1)温熱の作用……循環の改善、痛みの軽減、関節の可動域の拡大など
(2)水圧と浮力の作用……水圧により心臓への血液の環流・心臓から押し出される心拍出量の増加、それに伴い腎血液量も増加、利尿効果による浮腫(むくみ)の軽減など
(3)含有成分の作用……現在、医学的に解明されているものとしては、炭酸泉・硫化水素泉・芒硝(ぼうしょう)泉における血管拡張効果など

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医学的な意味での「温泉を利用する目的」~温泉療法とは~

さらに光延先生は、医学的な意味で“温泉を利用する目的”とは何なのかについて、次の3つに分類して説明しています。

a……ストレスを解消し心身をリフレッシュする「病気の予防」への応用
b……生体の防御能力を全体として改善する、障害した機能を改善し健康な機能を増強する「病気治療」への応用
c……「リハビリテーションおよび病後保養」への応用

以上から、『温泉療法』とは次のような位置づけにある医学であるとしています。

温泉療法は、自然治癒力や防御能力を利用する自然療法であり、病的状態を正常化して健康な状態を再確立する健康増進指向型の治療法である。薬物療法や手術療法といった人為的療法を中心とする病因除去指向型の治療法である西洋治療医学と対照的ではあるが、現代の治療医学の一方の核をなすものではある。

日頃あまり意識せずに恩恵を受けている温泉医学の効用

それでは、わたしたち一般の庶民が日頃あまり意識することなく恩恵に浴している『温泉医学』の効果・効能にはどのようなものがあるでしょうか。

筆者が思いつく主なものを列挙してみましょう。

美肌効果

『重曹泉』はアルカリ性で皮膚表面の脂肪分などを洗い流してくれるため、肌がすべすべします。

また、『みょうばん泉』には皮膚を引き締めてくれる収れん作用があります。

血液循環促進効果

皮膚を通して炭酸ガスが体内へ浸透してゆく炭酸泉は、血管を拡張し血液の循環を促進します。これには末梢(まっしょう)血管の拡張作用もあるため、高血圧や心臓病を改善する効果もあります。

硫化水素泉でも温泉中の硫化水素が皮下に入ることによる血管拡張作用が見られます。

代謝性疾患や呼吸器疾患・骨関節疾患などへの治療効果

“治療”という意味ではこれらがいちばん治療らしいかもしれません。

ラドン(ラジウム)温泉ではイオン化作用によって人の体の生理的代謝作用が促進され、活性酸素種が身体の組織に生化学的作用をおよぼします。

これらの特徴をいかして呼吸器疾患(気管支ぜんそく・肺気腫など)、骨関節疾患(関節リウマチなど)、糖尿病等の代謝性疾患の治療に大きな効果が認められています。

精神医学的効用

環境省によって国民保養温泉地の『ふれあい・やすらぎ温泉地』として指定されたようなところ(北海道のニセコ温泉郷や岩手県・秋田県にまたがる八幡平温泉郷など)は、自然とふれあい、安らぎを得ることに適しています。

高原や森林など空気がきれいで緑の中にある露天風呂などではマイナスイオンも多く、小鳥の声や木々がざわめく音は高周波音を含んでいるため、心身の緊張が解きほぐしてくれる作用があります。


いかがでしょうか。もちろん、これらの中には温泉療法専門医の指導の下に受けるべき、純粋に“医療行為”と呼ぶべきものも数多く含まれています。

しかし、例えば、美肌効果や精神医学的な効果については、難しく考えずとも何となく期待しながら温泉に行っているのではないでしょうか。

リスクに注意して、家族みんなで温泉浴を楽しみましょう

おしまいに、温泉に入って不整脈を自覚したり、湯あたりによる熱感・頭重感や眠気などを覚えた場合には速やかに入浴を中止し、ゆっくりと休んでください。

また、中高年の場合は脳梗塞を予防するために、温泉に入る前と入った後で飲み切るくらいの目安で500mLのペットボトルの水を用意して温泉浴されることを強くおすすめいたします。

また、11月から3月にかけての寒い季節は、浴槽の中と外の間の温度差に十分注意し、極端な高温浴は避けてください。もちろん、お酒を飲んだ後の入浴もいけません。

これらの注意事項を守って行えば、温泉浴はわたしたちの心身の健康に大きく役立ってくれる可能性があります。

家族みんなで、また子どもさんも巣立ったシルバーのご夫婦であれは二人きりでゆったりと、存分に温泉浴を楽しんでいただきたいと思います。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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