年間○点以上で病気に!? 「ライフイベントストレス表」の基礎知識

【男性からのご相談】
30代男性です。メンタルヘルスの分野に関心があり、その手の本を読むのが趣味の会社員です。

私がよく読む書籍には、ホームズとレイエの『ライフイベントストレス表』というものがしばしば引用されています。「人生の主なイベントに伴うストレスを数値化し、1年間を通じての合計ストレス数値が300点以上だと、80%の確率で何らかの病気になる」、という論説だそうです。

この研究、1967年以前のアメリカで行われた調査結果に基づいているらしいのですが、それって古過ぎではないでしょうか。この研究成果が今の日本で暮らす私たちに本当に当てはまるのでしょうか。

a 今でも説得力がありますが、現代の日本に当てはめるのであれば部分的な加筆・修正は必要です。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

ご相談者様がおっしゃっている研究というのは、ワシントン大学精神科のトーマス・ホームズ博士と内科医であるリチャード・レイエ博士で作成した『ライフイベントストレス表』のことですね。

とても分かりやすく面白いため、うつ病やメンタルヘルスに関する一般書に頻繁に引用されている論文です。

筆者は、この論説の骨子には発表からおよそ50年がたった今でもなお相応の説得力があると思います。

ただし、50年も前のアメリカで行われた研究ですので、現代の日本に当てはめるのであれば部分的な加筆・修正は必要かと考えます。

都内でメンタルクリニックを開業する精神科医のお話を参考にしながら、ライフイベントストレス表のどの部分がどう見直されるべきなのかを考えてみましょう。

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ホームズとレイエの“ライフイベントストレス表”の内容とは

『ホームズとレイエの“ライフイベントストレス表”では、ストレス度順位1位で人生で最大のストレスとなる「配偶者との死別」を100点として、主に次のような“ストレスとなるイベント”を列挙しています。

・2位「離婚」(スコア73点)
・3位「配偶者との別居」(スコア65点)
・4位「懲役」(スコア63点)
・5位「近親者の死亡」(スコア63点)
・6位「病気・ケガ」(スコア53点)
・7位「結婚」(スコア50点)
・8位「失業」(スコア47点)
・9位「夫婦仲の回復」(スコア45点)
・10位「定年退職・引退」(スコア45点)
・11位「家族の病気やケガ」(スコア44点)
・12位「妊娠」(スコア40点)
・17位「転職」(スコア36点)
・18位「多額の借金」(スコア31点)
・21位「子どもが家を離れる」(スコア29点)
・29位「転居」(スコア20点)
・30位「転校」(スコア20点)

このように、ホームズとレイエは「結婚」や「夫婦仲の回復」といった、一見“良いこと”ばかりに思えるようなライフイベントの中にもストレスとなりうる要素が多分に含まれていることを指摘しており、それがこの研究の鋭い点だと言うことはできるでしょう』(50代女性/都内メンタルクリニック院長・精神科医)

ライフイベントストレス表を私たち流に微修正して、よりよいメンタルヘルスを!

それでは、現代の日本に生きる私たちは、このライフイベントストレス表のどの部分について、どのように微修正しながら参考にするべきなのでしょうか。

筆者の考えでは、主に以下の点についてです。

・ストレス度2位の「離婚」(スコア73点)は、“ストレスからの解放”につながる因子となる場合も多く、下方修正する必要がある。
・上記と同じ理由から、3位の「配偶者との別居」(スコア65点)も、下方修正する必要がある。
・現代の日本では、「貧困」や「非正規労働者の経済的不安」をスコア化して表に取り入れる必要がある。「失業」とはまた違う、ワーキング・プアの問題がある。この研究が発表された1967年当時のアメリカでは貧困や格差の問題はさほど顕在化していなかった
・10位の「定年退職・引退」(スコア45点)は、それをきっかけに「本当にやりたかったこと」を始める人も多いため、ストレスからの解放につながるとも言える。よって、下方修正する必要がある。
・この研究調査は394名の被験者を対象に行われたが、被験者の92%を占める363名が白人であった。アフリカ系は19名(5%)、東洋系は12名(3%)に過ぎず、比較的経済的に恵まれたホワイトカラー層を対象とした調査結果であったことが推測できる。

ざっとこのような点ではないでしょうか。

いずれにしてもこのライフイベントストレス表、およそ50年もの時間が経過した今でもメンタルヘルスの一般書に引用され続けるほどですから、現代人の共感を得るのに十分な魅力をもった論説であることに変わりはないと思います。

【参考文献】
・『The Social Readjustment Rating Scale』(Thomas H. HOLMES and Richard H. RAHE) Journal of Psychosomatic Research,Vol.11,pp.213 to 218,1967 Received 12 April 1967

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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