本当に休めない? ワーママが「病児保育」の利用前に考えるべきこと

【ママからのご相談】
2歳の娘を持つ看護師です。総合病院でフルタイム勤務しており、普段は院内保育施設に娘を預けています。院内保育施設は一般的な幼稚園や認可型保育園と同様、37.5度以上の熱がある子は預かってもらえません。

一方、私は病棟長として、日本医療機能評価機構に関わるプロジェクトを任されています。そうそう仕事を休めない状況なのですが、近くに両親や頼れる親戚などもおらず、夫が私の代わりに休みを取ることも難しい現状。正直、子どもが体調を崩すと気が気ではありません。

本心は、子どもが風邪を引いたときくらいはゆっくり休ませ、側にいてあげたいです。しかしプロジェクトも仕上げの段階にさしかかり、同時にインフルエンザやノロウィルスが流行する時期に突入してしまいました。仕事に穴をあけないためにも、いざというときは病児保育士の力を借りて乗り切ることを検討しています。

病児保育士は医療系の資格を持っていないと聞いたことがあるのですが、本当に病気の子どもをお任せしても大丈夫なのでしょうか?ネットで検索すると市内でも複数の病児保育施設がヒットし、どこに頼めばよいのかもよくわかりません。

a まさにワーママの正念場。「本当に休めないか?」を極限まで検討しましょう。

ご相談ありがとうございます。ご相談者様とは少々ワーキングスタイルが異なりますが、同じワーママの月極姫です。

保育園児さんを抱えながら大きなプロジェクトを任されていて、どうしても休めないとのこと。さぞかしご多忙であるとお察しします。

『医療機能評価機構』による審査というのは、いわゆる病院の格付け審査のようなもの。これにパスすると、ご相談者様のお勤め先は適切な医療行為を行える機能を十分に備えた『五つ星医療機関』ということになりますね。筆者も病院勤務時代に経験しましたが、各病棟・各部署総力を挙げて審査通過を目指した一大プロジェクトでした。

ところでご相談者様は、医療機能評価の審査項目の中で、福利厚生に関する分野も重要視されていることをご存じですか?

職場における子育て支援に関する項目、つまり「職員が妊娠、出産、育児などを経ても無理なく仕事を続けていける体制が整っているかどうか」。この点が充実していてこそ、看護師さんの離職率が下がり、経験豊富な人材が安心して勤務できる状況が整い、お勤め先は医療機能評価機構の審査にパスするわけです。

たとえ病棟長であっても、ご本人もご家族も生身の人間。風邪も引くし、ケガをすることもあり、どうしても休まなくてはならないときは必ずあります。そんなとき、代理の方にフォローしてもらえる体制は整っていますか?

病院を受診する患者さんの立場に立ってみても、看護師さんたちがお仕事に十分集中できる状態でないと安心して受診できません。「病気の子どもが気になって集中できず、ミスをしてしまった」ということがあっては困ります。

もちろん、“いざというとき代わってもらえる環境”というのは一朝一夕に整うものではありません。人事にかけあっての人材配置、管理職補佐の育成など時間のかかるものです。しかし、どうせ難易度の高い審査を受けるなら、表面的な通過を目指すのではなく、お勤め先をワ―ママにとって真に働きやすい職場に整えていくというのはいかがでしょうか?

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子育てこそ“一大プロジェクト”。その重みを踏まえた上で病児保育を利用しよう

極論を言えば、ご相談者様1人が休んだくらいで機能低下するような職場は、五つ星病院にふさわしくないということです。

実は、筆者も、病院勤務時代に病児保育を何度か利用したことがあります。幸い優秀なスタッフさんに恵まれ、トラブルなく、いつも安心して仕事を完遂することができました。しかし、時間や心の余裕があるときに子どもの本心を聞きだすと、やはり「病児の先生も優しいけれど、ホントはママに居てほしかった」でした。

ただの風邪であっても、大人が想像する以上に子どもの心は弱っていたりするものです。職場でどんな重責を負っていても、子育てもそれに劣らぬ一大プロジェクトであることは忘れるべきではありません。基本的に病気のときは、親が側にいてあげるのが一番であると筆者は考えます。また、子どもの心身にかかる負担のみならず、経済的な負担も考慮するべきです。保育園同様、病児保育も無料ではありません。

しかし、多少無理をしても、元手がかかっても、自分が行かなければ仕事が回らないときも確かにあるものです。病児保育はとても便利ですが、あくまで緊急避難的な手段。まずは、

「本当に自分でなくてはダメか?」
「本当に今日でなくてはダメか?」
「自分の代理を育成する努力は十分だったか?」

これをよくよく検討するべきです。そして本当にあなたでなくてはならないとき、そして他に病気の子どもを守ってくれる存在がないとき、病児保育を利用してみましょう。

医療系資格、教育系資格の保持者も! 病児保育士とはこんな人たち

さて、ご心配の「医療系資格がないのに大丈夫なの?」という点ですが、結論から申し上げると、病児保育士さんの中には医療資格を持っている人もいれば、持っていない人もいます。

元看護師、元幼稚園教諭、無資格だけど超ベテランママとじつにさまざまですが、基本的に病児保育士は医療行為を行うことはできません。多くは医師、看護師が常駐する勤務先に所属しており、必要に応じて指示を仰いで対応します。また、1人1人が規定の研修をクリアしています。

そもそも『病児保育士』という国家資格が存在するわけではなくて、病児保育を行う専門機関に所属し、一定の条件を満たした人たちの総称として『病児保育士』という呼称が存在するわけです。最近では、財団法人日本病児保育協会、社団法人全国病児保育協議会による民間資格の保持者も増加しているので、利用先を選ぶ際の1つの判断基準にはなるかもしれません。

病児保育士さんが所属する職場のタイプはじつにさまざまで、経営元を大まかに分類すると、

(1)公営事業
(2)民間事業
(3)第3セクター事業(NPOや半官半民の企業)

の3種類です。また、あずけられる子どもの病状に応じて、

(a)病児保育施設
(b)病後児保育施設
(c)体調不良児対応型施設

などといった分類もあります。お子さんを施設に連れていってあずける方法だけでなく、病児保育士に自宅に来てもらう「訪問型」保育もニーズが高く、増加傾向です。

筆者が現在も登録・利用している団体は(1)の(b)に当たります。筆者の場合は病児保育メインではなく、土日に仕事が入ってしまったとき、自宅に来て保育してもらう『元気っ子保育』をお願いすることが多いのですが、病後児保育利用時の手続きの流れも明瞭で、スタッフさんも熟練しており、利用しやすさには満足しています。

今まで5~6名の方々にお世話になってきましたが、わが家のレギュラーさんとして定着した2名の病後児保育士さんがいます。

お2人とも医療系資格の保持者ではありませんが、所属機関への連絡を密にしておられ、母親への報告も詳細で、トラブルが起きたことはありません。お2人のうちお1人は少し年配の女性ですが、年配者にありがちな“昔ながらの伝承療法”的なものの押し付けなど一切なく、やはり専門職としての研修をクリアされている安心感があります。

徐々に浸透する病児保育。中には切実なケースも

少し前に病児保育士をテーマにしたテレビドラマが放送されたのも、世の関心の高さの表れなのでしょう。

内閣府によると、平成24年度の病児・病後児保育利用者数は、述べ265,839人であり、中でも2~4歳児の利用者数の多さが目立ちます。病児保育事業に充てられる予算・補助金も年々増加傾向にあり、今後も病児保育へのニーズは高まっていくことでしょう。

一方、病児保育の存在を知ってはいても、情報不足や抵抗感からなかなか利用への一歩が踏み出せず、職場で不自由な思いをしているワ―ママさんもたくさんいるようです。

2015年に日本病児保育協会が行った調査によると、共働き家庭のパパ、ママに対して『病児保育サービスを知っていますか?』と質問したところ、男女平均して半数以上の回答者が『知っている』と回答。しかし、そのうち『実際に病児保育を利用したことがある』と答えた人は1割に留まったのです。

祖父母さんなどの預け先が確保できているケースは恵まれていますが、パパにまったく頼れない家庭や、1人で頑張っているシンママにとっては、病児保育サービスなしでは乗り切れない局面もあるでしょう。いざというときに慌てなくて済むように、あらかじめ複数の病児保育施設に問い合わせ、システムや常駐スタッフの構成、評判などをチェックしておき、登録だけでも先に済ませておいた方が無難です。

また、専門施設に預けるか、自宅への訪問型を利用するか、これも悩むところです。施設に連れて行ってあずける場合は、もちろん感染症対策として隔離室もあり、病院に併設されているのが一般的なのでケア面での安心感は高めです。ただし、体調が悪いときに慣れない場所で過ごすことに、新鮮さや楽しさを感じるか、逆にストレスを感じるかはお子さんの病状や性格次第です。

自宅での留守番を病児保育士さんにお任せすることに抵抗がない方は、子どもの負担が軽い訪問型保育の利用をおススメします。

病院受診は必須! 病児保育利用の基本的な流れ

では、病児保育を利用するときの基本的な流れです。施設や自治体によって多少の違いはありますが、以下のステップを踏むのが一般的です。

(ア)事前に施設への登録を済ませる(職場の連絡先、お子さんの体質などが記載された書類提出、面接など)
(イ)利用前日、または当日にかかりつけ医を受診し、『医師連絡票』を発行してもらう
(ウ)医師連絡票と保育に必要な物品を持参し、保育施設へ。利用申込書、服薬支持票などを記入して、保育スタート。訪問型の場合も同様に必要書類を記入し、病児保育士への引継を済ませて保育スタート
(エ)終業、お迎え、料金の支払い

病児保育の利用申し込みは原則前日までに行うものですが、緊急の場合は利用当日の受診、保育……となることもあります。出勤直前に諸々の手続きを行うことになるので、どうしても出勤時刻には間に合わないケースが多くなります。病児保育を利用する日は、職場への迅速な連絡を心掛けましょう。

多少の遅刻は許していただき、職場では頭を下げることになるのが現実です。さまざまな障壁があるとはお察ししますが、日頃から同僚との信頼関係を築く努力を惜しまず、子育てしながら働く事情を理解してもらうことが大切です。

また気になる料金ですが、運営元によってかなりの差があります。公営は1日数千円で済むぶん利用条件が厳しく、民間はやや高額な分利用条件が寛容で、緊急な依頼にも応じてくれるところが多くなっています。


病気の子どもを安心してあずけられる施設を探すには、多少の紆余曲折があるかもしれません。先輩利用者の声なども参考にして、いざというときに安心して頼れる病児保育士さんを見つけておきたいものですね!

【参考文献】
・『これが女の出世道!』とらばーゆ編集部・編
・『母親の社会史』イヴォンヌ・クニビレール/カトリーヌ・フーケ(著)

【参考リンク】
病児保育事業について | 内閣府(PDF)

●ライター/月極姫(フリーライター)

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