気のせいじゃないカモ!? 毎年やってくる精神疾患「冬季うつ病」の知識

【女性からのご相談】
東北地方在住の30代既婚女性です。子どもはいません。ご相談ですが、5年前に結婚してこちらへ来てから毎年11月くらになると何となくもの悲しい感じがして、仕事の能率が落ちます。能率の低下を夜仕事で補おうと思いますが眠くてそれもできません。一方で無性に甘いものが食べたくなり、冬の間は毎年やや太り気味になってしまいます。

寂しいのは子どもがいないせいかなと思っていましたが、友人に話したところ「それって冬季うつ病じゃない?」と言われました。そういう病気があるのですか? だとしたら治療法はあるのでしょうか。

a 『季節性情動障害(冬季うつ病)』という精神疾患であれば、治療法もあります。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

冬季うつ病(または『季節性情動障害』)という精神神経科領域の病気は実際に存在します。ご相談者様がその病気のおそれがないとは言い切れないと思いますので、一度精神科か心療内科を受診されるとよろしいかと思います。

冬季うつ病は東北地方のような冬の日照時間が少ない地域に患者さんが多く見られ、患者さんは女性に多いことも明らかになっています。かなり有効な治療法もある病気ですので、あまり心配なさらずに医療機関を訪ねてみてください。

それでは、都内でメンタルクリニックを開業する精神科医のお話を参考にしながら、記述をすすめてまいります。

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冬季うつ病の症状と原因

『冬季うつ病は、高緯度地域を中心に11月ごろから2月ごろにかけて多く見られる季節性のうつ病です。冬以外の季節は健康な人が、毎年冬になると、やる気の低下・根拠のない悲しさ・過眠・過食(とくに甘いものや炭水化物が欲しくなる)などの症状が現れます。冬に日照時間が減り、神経伝達物質のセロトニンが減って脳の活動が低下することが原因の一つではないかと考えられています』(50代女性/都内メンタルクリニック院長・精神科医)

ドクターのこの説明を聞いて、みなさんも“心当たり”がありませんでしょうか。朝、空がどんよりと曇っていると、なんとなく気分が重くなるというあの感覚です。冬季うつ病は乱暴な言い方をすれば、あの感覚が毎年冬になると周期的に襲ってくる病気であると言うことができるかもしれません。

筆者は以前、仕事でヨーロッパの緯度の高い地域を2月の1か月間をかけて回ったことがあるのですが、そのとき英国人のドクターから聞いたのが、『この季節のヨーロッパは自殺者が増えるんだ。理由は簡単さ。日差しが少ないせいで気分が落ち込むからだよ』(60代・英国人男性/精神科医)という話でした。

今思えば彼が言っていたこの“ウインター・ブルー”という概念が、正に『冬季うつ病』のことだったのです。現在、英国では国民のおよそ1割(約500万人)が冬季うつ病だという説もあるようで、そういえばロンドンの科学博物館にはライト・ラウンジという明るい照明に当たれるスペースがあって一般の人が無料で明るい光に当たれるようになっていたことを記憶しています。

冬季うつ病の治療法

この冬季うつ病ですが、実は一般的な“うつ病”とはその治療法がちょっと違うようです。

一般的なうつ病に対しては抗うつ薬を中心とした薬物療法がメインとなりますが、冬季うつ病ではそういった薬物療法は主流とは言えず、山口大学などが力を入れて研究してきた『高照度光療法』が症状を改善させる第一義的な治療法であるとされているようです。ただ、高照度光療法は専門医の指導のもとに専用の治療用照明器具などを使用して行うため、冬季うつ病に精通した精神科や心療内科の専門医療機関を受診する必要があります。

そこで、冬季うつ病への対処法で、だれでも今すぐに始められるような方法をご紹介したいと思います。

(1)とにかく、自然の光により多く当たる
(2)とはいえ、冬季は自然の光に当たれる限界があるので、(可能であれば)自宅や職場の照明をより明るいものに取り換える

以上は、冬季うつ病について解説してくださった前述の精神科医の提案です。さらに筆者は、

(3)冬場でも自然の光をなるべくたくさん浴びるため、自転車に乗る

というご提案をしたいと思います。もちろん雨の日を除いてですが。


ご相談者様の場合でしたら、さしあたり今すぐ、照明を明るいものに取り換えてみてはいかがでしょうか。それをやってもあまり効果が感じられないようでしたら、精神科ないし心療内科の専門医にご相談なさってみてください。きっといい結果につながることと思います。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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