ルールはあるの? 子どもが「小児科」を受診できるのは何歳までか

【ママからのご相談】
中2の男の子をもつ40代のママです。息子はアトピー性皮膚炎のため、赤ちゃんのころから今日まで総合病院の小児科外来に定期的に通院しています。来年度はいよいよ義務教育の最終年度になるわけですが、やはり小児科へ通院するのは来年度いっぱいでおしまいなのでしょうか?

大人向けの皮膚科の先生に息子の体質などを一から説明するのもけっこう骨の折れることなので、できれば高校生になっても引き続き小児科で診ていただきたいのですが、小児科にかかっていいのは何歳までなのでしょうか?

a 小さいころからの持病などの診療は大きくなっても継続して小児科でかまいません。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

ご相談の件ですが、わが国の法律に、小児科にかかってよい年齢の上限を定めた規定は存在いたしません。ただし、法律でも何でもありませんが日本小児科学会は小児科の領域を“成育医療も含めた広範囲”と捉えているため、具体的には20歳までを対象としていることがわかります。ちなみにアメリカ合衆国では21歳までが小児科の対象。発展途上国では15歳未満を小児科の対象としている国が多いようです。

このように、“大ざっぱな目安”としての対象年齢はあるものの、実際には“その患者さんにとって、継続的に小児科にかかる方がいいのか、大人を対象にした専門の診療科にかかる方がいいのか”によって決まってくると言えます。特に、ご相談者様のように小さいころからの持病といったような場合は、ある程度継続して小児科で診てもらう方が、リスクは少ないと思います。

この問題、複数の医師から聞いたお話しを参考にしながら、もう少し考えてみましょう。

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「小児科は14歳まで」という線引きは、医学ではなく薬業界の目線によるものです

わが国で開業している小児科クリニックのホームページなどを見ると、対象の患者を「クラスの生徒全員が15歳に到達する中学3年生まで」としているところがありますが、この線引きには何か医学的な根拠はあるのでしょうか?

『小児科は14歳までという線引きに、医学的な根拠はありません。あるとすれば、“15歳からは大人と同じ薬量を飲むことができるようになる”という薬業界の目線があるだけです』(40代男性/神奈川県内小児科クリニック院長・小児科医師)

なるほど、言われてみれば市販のOTC薬品を買ってきてパッケージ裏面の注意書きを読むと、“用法・用量”として、「成人(15歳以上)1回○錠」といった書き方がされていますよね。「15歳以上は飲む薬の量が大人と同じになるから小児科は卒業なのだ」という考え方が医療の世界の一部に存在するのは、どちらかというと“薬業界の目線によるもの”というのが本当のところなのかもしれません。

地方では、地元を離れる“高校卒業”のときまでが対象

他方、わが国においては高校卒業年齢である18歳までが小児科の範囲であるという考え方も存在しています。この考え方を採る医療機関は、わが国に特有の“東京(首都圏)と地方の関係”をその根拠としている、地方都市の医療機関が多いようです。

『当院では原則として高校3年生までの子どもを診療の対象としています。理由は、お子さんが高校卒業の機会に地元を離れ、進学や就職のために東京はじめとする大都市に移り住み、当院にかからなくなる場合がほとんどだからです。一応建て前上は“児童福祉法にのっとって18歳までを小児と考える”としてはいますが、本当の理由はそういうことなのです』(50代男性/九州地方小児専門病院勤務・小児科医師)

アトピー+合併症を持つ子は、高校生になったら皮膚科・耳鼻科・眼科・呼吸器内科を別々に受診するの?

この九州地方の小児専門病院の先生がおっしゃるように、小さなときから持病を抱える子は、健康な子どもからすると想像もつかないほどの“制約”を余儀なくされ、保護者との二人三脚・三人四脚で育ちます。ご相談者様の息子さんのアトピー性皮膚炎も、その典型例の一つです。

筆者の長男(小学校高学年)も先天的なアレルギー体質で、アトピー性皮膚炎の他に食物アレルギー、ぜんそく、アレルギー性鼻炎・結膜炎、うつ熱などを合併症として持ち、これまでに2度ほど食物アレルギーによるアナフィラキシーショックを起こして救急搬送されています。

このような子どもは今まで小児科で全身の診察と治療をしてもらえていたのに、高校生になったとたんに皮膚科・耳鼻咽喉科・眼科・呼吸器内科・消化器内科などを別々に受診しなければいけなくなるのでしょうか? それは、あってはならないことでしょう。

千葉県で小児科クリニックを開業するある小児科医の先生は、知人の25歳の男性について、

『生まれてすぐに“横隔膜ヘルニア”という病気にかかり手術を受けて助かったが、25歳になった今でも年に1回は“小児外科”で診察を受けている』(50代男性/千葉県内小児科クリニック院長・小児科医師)

と、子どものころからの持病をかかえて生きている人にとっては、現在の年齢を気にせずに発症当時の経緯をよく知る“小児科”で継続的に診察を受けることの大切さを説いています。

小児科がベストであれば、何歳までだって小児科でよい!?

あくまでも一つの考え方ではありますが、「いわゆる“持病”ないし慢性疾患を持っていて長期にわたる医療機関のフォローが必要な場合は、その子にとって小児科がベストなのであれば、何歳までだって小児科でよい」というふうに言うことができるのではないでしょうか。

ご相談者様の息子さんが長年にわたって治療を受けているアトピー性皮膚炎は、長い年月にわたってつき合って行かなければならない病気です。筆者の長男などはそのアトピー性皮膚炎に加えて多臓器に合併症を持っているので“小児科”という診療科目がもしなかったとしたなら、正直言って途方に暮れてしまいます。おそらく、自分で自分の体の管理が完全にできる年齢が来るまでは、小児科に通い続けるだろうと思います。

ご相談者様の息子さんも、高校生になっても小児科でいいではありませんか。子どもたち本人は小さな子どもたちと一緒であっても意外と気にしていないものです。もちろん本人の意思が一番大事ですが、ご本人が小児科通院を全然気にしていないのであれば、あえて診療科目を変更する前向きな理由はどこにもないような気がいたします。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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