まずは1日3時間! メタボ改善に始めたい「立ち仕事」の健康効果とは

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

2015年9月12日付の『Sankei Biz』(デジタル版)に、社員の健康増進のために“立ち仕事”を推奨している大阪のオフィス家具メーカーを紹介した記事が載っていました。筆者の記憶では2013年の秋ごろには既に、「立ち仕事にはマラソンをするのと同じくらいの健康増進効果がある」という説がさまざまなメディアで取り上げられていたような気がしますが、さてさて真偽のほどはいかがなものなのでしょうか?

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立ち仕事チームと座り仕事チームで働く人の体型が全く違いました。

筆者は(自慢にも何もなりませんが)社会に出てからこの30有余年の間にいろいろな職場を経験してきました。その中に、雑貨品の通信販売業を営む会社があったのですが、一つのフロアを“座り仕事の電話対応、営業事務、パソコン操作などに携わるチーム”と、“立ち仕事の商品ピックアップ作業、梱包・出荷作業といった軽作業に携わるチーム”でちょうど半分ずつのスペースを分け合って使っていました。

そのフロアに一歩でも足を踏み入れた人であれば誰でもすぐに気づくことがあり、座り仕事グループの人たちは、いわゆる『メタボ』体型の人がとても多く、立ち仕事グループの人たちは、筋肉質で引き締まった体型の人がとても多かったのです。男女による違いというのは感じませんでした。

あの光景を思い出す限りにおいては、“立ち仕事でメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が改善できる”という大阪のオフィス家具メーカーの取り組みは、実感をもって、「分かる、分かる」という気持ちになるのであります。

“立ち仕事が健康を増進する”説は英国のBBCとチェスター大学による実験結果

では、“立ち仕事が健康を増進する”という説は、そもそもどこを発祥とする学説なのでしょうか? 筆者の知る限りでは、英国チェスター大学のジョン・バックレ―博士がBBCの協力を得て行った実験の結果がその論拠となっているように思います。

簡単に言えば、1日に3時間から4時間は立って仕事をした場合と、同じ被験者が1日中座ったままで仕事をした場合とでは、立った場合は座りっぱなしに比べ1時間につき50cal分、年間にすると脂肪約3.6kg分多く燃焼し、立った場合の運動量は1年間にフルマラソンを10回完走するくらいのレベルに相当するということなのです。

英国スポーツ健康学会のマイク・ルースモア医師も立っていることの健康効果を主張

英国では政府が国民に、1日に30分の運動を週に5日続けることを推奨していますが、現実は成人の英国民の4分の1以上が週に30分の運動さえできていないということが分かっています。たしかにスポーツジムに通うようなお金もモチベーションもあるようなエグゼクティブならいざ知らず、一般の庶民は日々の暮らしに疲れて運動どころではないという状況はわが国でも同じかもしれません。

そのような状況の中で、英国スポーツ健康学会の顧問でもあるマイク・ルースモア医師は、1日3時間以上立っているだけで心臓疾患や糖尿病になる危険性を減少させることができると主張しており、“立つ”という行為のためだけに人間は体じゅうの筋肉を使っていて、立ち仕事をしている人はそれだけで何もしない人よりは健康促進が見込めるという主張をされています。

“肉体労働のような意図的な運動でないものは健康効果が薄い”はうそ。運動同様の効果が。

『Sankei Biz』の記事によれば、大阪のオフィス家具メーカーがアドバイザーとして指導を仰いだのは国立健康・栄養研究所の宮地元彦健康増進研究部長。宮地氏は同メーカーのオフィスの壁際に立ったままパソコン操作ができるコーナーを設けたり、立ち机なども置きました。

32人の社員に1週間あたり10時間は立ち仕事というノルマを課したところ6週間後にはウエストが平均0.8cm減少し、普段通りの勤務を続けた社員の平均ウエストがわずかに増加したのと対照的な結果を示したということです。

宮地氏がバックレ―博士やルースモア医師の運動研究についてご存じであったかどうかは定かではありませんが、『以前は家事や肉体労働など、意図的な運動でないものは健康効果が薄いと思われていた。しかし、運動と同様に効果があるとのデータが複数出てきた』と仰っているところをみると、おそらくこの両者の研究内容を詳細に分析されたうえでのプロジェクトであったのではないかという推測は、容易にできるであろうというものです。

健康のために運動が大事であることは分かってはいるものの、現実の日常生活はただ“生きる”ことに追われて時間が過ぎて行きます。毎日の仕事が、それを“立って”するというだけで健康増進効果のある運動になるということであれば、やらない手はありません。

デスクワークで働いているみなさん、その仕事、明日から1日3時間だけ“立って”やってみてはいかがでしょうか?

【参考リンク】
メタボリックシンドロームの診断基準は | オムロン ヘルスケア

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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