転落事故が多発? 10代のインフル患者に「タミフル」処方がNGなワケ

【ママからのご相談】
小学校高学年の男の子を持つ40代のママです。前に息子がA型インフルエンザにかかったとき、小児科でザナミビルという薬をいただきました。その薬は効果てきめんで、半日で熱が平熱まで下がったのを覚えています。私たちが子どものころには、インフルエンザの特効薬なんてなかったので驚きました。しかし、一方で10代に投与してはいけないインフルエンザ特効薬もあると聞きました。子どもが今後かかったときに注意したいので、どのような薬か教えてください。

a オセルタミビル(商品名:タミフル)という特効薬が10代への投与を控えられています。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

10代に投与してはいけないとされるインフルエンザ治療薬は、オセルタミビル(商品名:タミフル)という抗インフルエンザ薬です。“タミフル”という名で聞くとなじみ深い薬ですが、なぜ10代の患者には使用しないのか? 都内で小児科クリニックを開設するドクターのお話を参考に、高学年児童の保護者として頭に入れておきましょう。

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小児科で使用する抗インフルエンザ薬4種類のうち、オセルタミビルは高学年児童には投与NGです

現在、小児科で使用しているインフルエンザ治療薬には、

・オセルタミビル(商品名タミフル)
・ザナミビル(商品名リレンザ)
・ラニナミビル(商品名イナビル)
・ペラミビル(商品名ラピアクタ)

の4種類があります。オセルタミビルは内服薬、ザナミビルとラニナミビルは吸入薬で、ペラミビルは重症患者さん用の点滴薬です。

ご相談様の、小学校高学年(だいたい10歳から12歳)のお子さんの場合、厚生労働省の“10代の患者さんには原則として使用を差し控えること”という指針があるため、オセルタミビルは基本的には使用せず、ザナミビルやラニナミビルでの治療になります。

『2006年から2007年にかけてのシーズンに、オセルタミビルを服用した10代のインフルエンザ患者が異常行動を起こし、家の2階から転落するといったような事故が頻発したため、重症例を除いて原則的に10代への投与は控えられるようになりました。あれから10年近く経った現在でも、一連の異常行動がオセルタミビル服用に起因するものではなかったと断定できる根拠が存在しないため使用上の注意が厳しくなったのです』(50代男性/都内小児科クリニック院長・小児科医師)

オセルタミビルを高学年の児童に処方しなくなった経緯は、こういうことによるものだったのですね。

実は、筆者の長女が10代のころA型インフルエンザにかかったとき、当時はまだインフルエンザの特効薬として一般的なものはオセルタミビルぐらいしかなかったため、報道でいろいろ言われていたにも関わらず、ドクターが「けっして目を離さないでくださいね」と念を押したうえでオセルタミビルを処方してくださいました。

結果的に娘は元気になったのですが、いま振り返るとオセルタミビルを飲ませた後に「もしかして、あのわけのわからないうわ言のような叫び声が、オセルタミビルの服用に起因する異常行動というやつだったのかな」と不安に思った記憶があります。

筆者の家族はマンションの高層階で暮らしていたので、“興奮してベランダに飛び出し、ジャンプしようとする”といった異常行動をされた日にはおそろしいことになってしまうため、娘の熱が下がって普通の感じに戻るまでは妻と交代で見張っておりました。「変な、叫び声のようなうわ言」くらいで済んで、本当によかったと思っています。

心配せずとも、高学年児にオセルタミビルはまず処方されません

さて、ご相談者様。そこまで心配なさらなくても、小児科医は高学年のインフルエンザ患者のお子さんには、まずオセルタミビルは処方いたしませんのでご安心ください。実際、息子さんが9歳か10歳だった昨年でさえオセルタミビルは使用せず、ザナミビルで治したわけですよね。

実を申しますと、インフルエンザの特効薬は、はじめにご紹介した小児科で使用する4種類の他にもまだあります。ひとつはアマンタジン(商品名シンメトレル)でもうひとつはファビピラビル(商品名アビガン)です。

このうちアマンタジンは、新薬ではなくパーキンソン病の治療薬や脳梗塞の後遺症改善薬としても使用されてきた実績がある薬ですが、B型インフルエンザには効果がなくA型にのみ有効で、長期に投与すると薬剤耐性インフルエンザウイルスが生じやすいという理由で、最近では小児科のみならずインフルエンザの治療薬としてはあまり使われなくなりました。

もうひとつのファビピラビルは、新型インフルエンザが発生して、「いま流通している薬では効かない!」といった非常事態が発生したときのために、政府の許可が下りない限り使用されないことになっているものです。

鳥インフルエンザなどの問題が起きて以来、現代の医学・薬学は研究を重ねわが国では現在少なくとも6種類のインフルエンザの特効薬が存在しています。医師は常に最新の情報に基づいて、その時点でその患者さんに最適の薬を処方しますので、基本的に医師の判断に従って正しく薬を服用していれば、インフルエンザを極端におそれることはありません。

ただし、小さなお子さんの“インフルエンザ脳症”や高齢者の“肺炎”など、インフルエンザは極めて重い合併症を発症させるおそれのある病気ではありますので、石けんを用いた手洗いなどを励行して予防につとめるのが何よりも大事であることは、言うまでもありません。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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