ウイルスには効いてない? 風邪に“抗生物質”が処方されるワケ

【ママからのご相談】
40代です。先日、小4の娘が風邪を引いたので小児科に連れていきました。普通の風邪だったので、タンを出しやすくする薬と消炎鎮痛剤を処方され、あと抗生物質も処方されました。以前住んでいた地域の小児科の先生は風邪のとき抗生物質を出さなかったのですが、引っ越してきた今の街の先生は抗生物質を処方するようです。抗生物質は風邪のウイルスそのものには効かないと聞きますが、それならどういった目的で処方されるのでしょうか? 風邪で抗生物質を処方する意味について教えてください。

a 風邪の一部に細菌感染が潜んでいる場合があるため、“念のため”に抗生物質を処方します。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

ご相談者様のご質問は、お子さんが風邪をひいた際にママが医師に聞く中でも非常に多いご質問です。逆に、風邪で来院したのに抗生物質を処方してもらえなかったりすると中には、「どうして抗生物質を処方してくれないんですか」とお怒りになるお母さまもいらっしゃいます。

とても奥の深い問題ではあるのですが、あえて一言で言うのであれば、「風邪の一部に細菌感染が潜んでいる場合があるため“念のため”に抗生物質を処方する」といったところでしょうか。

都内で小児科クリニックを開業する医師に聞いたお話を参考にしながら、風邪を引いたときに抗生物質を服用する意味について掘り下げて考えてみたいと思います。

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風邪を引いてツラいときに抗生物質を服用すると、“楽になる”のは確かです

『ご指摘の通りで、抗生物質は風邪のウイルスに対しては効果はありません。というよりも、いわゆる風邪で来院された際に処方する薬は全て、風邪の原因ウイルスをやっつけるものではなく、風邪によって引き起こされているツラい症状を緩和するための対症療法の薬です』(50代男性/都内小児科クリニック院長・小児科医師)

たしかに、インフルエンザのような“特殊な風邪”に感染してしまったときには、発症後一定の時間内に服用すれば特効薬となりうる抗ウイルス薬ができていますが、一般的な風邪にはそのような特効薬はありません。

処方される薬はタンの切れをよくしたり、鼻水・鼻づまりの症状を緩和したり、熱を下げ筋肉痛を和らげるといった対症療法の薬ばっかりです。その中にあって抗生物質だけが細菌を殺す効果を持った“原因療法”の薬ということになります。

『風邪の症状を発症してから数日経つと、色のついたタンが出たり中耳炎になったりする場合がありますが、これは喉や鼻に常在していた細菌に、風邪で弱った体が負けてしまい、粘膜にとりついた細菌の繁殖を許してしまっている状態なのです。これを医師は2次感染と呼びますが、抗生物質はこの2次感染を治療するために処方するのです』(50代男性/前出・小児科医師)

そう言われてみると、風邪を引いて医者に行き、処方された薬をまず1回飲んだとき、鼻水の薬やタンを切る薬ではいきなり、「良くなった」とはなかなか実感できませんが、抗生物質を処方された場合はそれを1度飲むと、数十分もすると明らかに“体が楽になった”と実感することがありますよね。

これは、風邪のウイルスからダメージを受けて、普段はさしたる敵でもない細菌たちにやられまくっていた体が、抗生物質を飲んで細菌たちを殺したために楽になったということを意味しているのです。

抗生物質を処方するのは肺炎リスクを防ぐためです

『小児科医が風邪で来院されたお子さんにあえて抗生物質を処方するのは、うんと大雑把に言うなら“こじらせて肺炎に進行する危険性をできるだけ小さくするため”です。耐性菌発生の問題など、やみくもな抗生物質の乱用は改めなければいけない時代に入ってはいますが、基本的には医師の判断を尊重して、疑問があればざっくばらんに尋ねるようにしてください』(50代男性/前出・小児科医師)

ご相談者様が以前お住まいの地域の小児科の先生は風邪に抗生物質は処方されなかったとのことですが、おそらく前の先生はご相談者様の娘さんにこれといった基礎疾患がなく、自分自身の体力と免疫力で細菌やウイルスに打ち勝つことができると分かっておられたからだろうと思います。新しい街での先生は娘さんの体に関する経験的なデータをまだお持ちでないわけですから、慎重を期して抗生物質を処方されるのはある意味当然のことです。

これから何度となく娘さんの診察を重ねて行くにつれて、今の先生も軽い風邪程度であれば抗生物質を処方しなくなることも考えられますので、まずは先生の判断を尊重されてみてください。娘さんが抗生物質を使うとおなかを壊しやすいということであれば、そのことはちゃんと診察の際に伝えるようにしてください。次回からもう抗生物質は処方されないかもしれません。

ご相談者様、“郷に入っては郷に従え”です。新しいホームタウンを愛し、そこで暮らす人たちを信じ、これから娘さんのかかりつけ医になる今の先生と、何でも相談できるいい関係をお築きになってください。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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