教師もリーマンも!? 「認知症になりやすい職業」はホントにあるのか

【男性からのご相談】
高校の英語科の非常勤講師(30代)です。先日、認知症の権威であるという医師の本を読んだところ、「学校の教師は認知症になりやすい」とあり、科目別では“英文法(まさに私の担当です)”の先生は特に認知症になりやすいという趣旨の記述がありました。認知症になりやすい職業となりにくい職業があるというのは本当でしょうか。

a 職業で決まるというよりは、高齢になっても意欲が持続しているかどうかが重要です。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

もしかしてご相談者様は、医療評論家でもあるフレディ松川先生が書かれた本をお読みになられたのではないでしょうか? だとすれば、たしかに松川先生は“認知症になりやすい傾向がある職業”の一つとして“学校の教師”を挙げ、その中でも特に“地理、歴史、古文、英文法”といった科目の先生が認知症になりやすい傾向があると述べてはいます。

しかし、こういった記述は、松川先生がご自分の臨床経験から一般論としての認知症予防の参考として書かれたに過ぎず、学校の先生が必ず認知症になるということではありません。というよりむしろ、松川先生の真意は、「高齢になっても意欲が持続している人は認知症になりにくく、そうでない人が認知症になりやすい」というところにあるように思います。

都内の大学病院で『もの忘れ外来』を担当している認知症専門医の見解を参考にしながら、認知症になりやすい職業、なりにくい職業が本当にあるのかどうかを考えてまいりましょう。

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松川博士が指摘する“認知症になりやすい職業”に就く人たちの共通点

医学博士であり認知症臨床医の大ベテランでもある松川先生は、その著書の中で、ご自分のもとに入院された認知症患者さんに特に多かった現役時代の職業を3つ挙げています。

第1の類型として、区役所の職員から省庁の官僚まで、いわゆる“公務員”。そして第2の類型としては“安定した(民間企業の)サラリーマン”、特に職種で言うと経理・庶務・総務・人事のような事務職。第3の類型として“学校の教師”、特に科目で言うと地理・歴史・国文学・古文・英文法といった分野です。

『松川博士が本当に言いたかったことは、そういった職業に就いていたから認知症になったということではありません。「可もなく不可もなく、ただ淡々と無難に仕事をこなせば安定した老後が約束されているのだから、余計なことはしないに限る」という“生き方”そのものが、前頭葉と側頭葉の血流を少なくさせ、老後に認知症になる確率を高める。そういう趣旨でおっしゃっているのです。

一方、公務員同様“公”のためにあるはずの政治家は、権力欲を持ち続けているので認知症になりにくい。サラリーマンでも“つぶれそうな会社”にいる人は生き延びようと必死なので認知症になりにくい。“守り”の事務職よりも“攻め”なければ仕事を取れない営業職の人も認知症になりにくい。同じ教師でも数学・美術・音楽・体育などのクリエイティブでいることが求められるような科目の先生は認知症になりにくい。

つまり、職業に関わらず生きる意欲を持続させざるを得ない人は認知症にはなりにくいと言っているのです』(50代男性/都内大学病院もの忘れ外来担当・認知症専門医)

高齢でも意欲次第では認知症に“なりにくい”

ご相談者様のご職業が“教師”であっても、認知症に“なりにくい”環境を作ることができるかもしれません。

『よく、「手を使う職業の人はボケない」と言われます。脳の構造は手に関する領域が一番広く場所をとっていることや、脳の神経回路であるシナプスを強くするには(習慣的な動きでなくクリエイティブな動きで)手を動かすのが良いことなどから、この説にはある程度の医学的根拠はあると考えられます。

しかし、長年手先を使って生きてきた“職人さん”でも、高齢になると一定の割合で認知症を発症します。これは、高齢になって自信が揺らいでくると同じ動きをすることが自己目的になり、本来同じ手作業の中にもあった微妙な創造性やオリジナリティーを失い、前頭葉と側頭葉の血流を少なくさせることにも原因があるのではと想定されます。

認知症のなりやすさは職業によって決まるのではなく、高齢でも何かに向かって意欲を持ち続けることができているかどうかで決まるのだと思います』(50代男性/前出・認知症専門医)

ご相談者様が、「人生の後半に何とかご自分の得意な方法で成功を手にしたい」という意欲をずっと持ち続けていれば、今のお仕事が学校の先生であるにせよ、認知症にはなりにくいと言えるのではないでしょうか。

【参考文献】
・『ここまでわかったボケる人ボケない人』フレディ松川・監修

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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