げんこつはアウト? 子育てママが悩む「しつけ」と「虐待」の線引き

【ママからのご相談】
年中の娘に、しつけとして“お尻ペンペン”をしています。これを虐待だとは思っていませんが、無意識に旦那や他人の前でしていない自分に気がつきました。どこか後ろめたいと感じているのだと思います。

“お尻ペンペン”や“ゲンコツ”などは、古き良き日本のしつけだと考えてはいるのですが、ささいなことでも、「虐待だ!」と騒がれる昨今ではあまり大きな声で言えない主張でもあります。虐待としつけのボーダーラインはどこにあるのでしょうか?

a ママが普段しているしつけは、果たして本当に“しつけ”なのでしょうか?

ご相談ありがとうございます。ママライターの木村華子です。

平成25年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待相談対応件数は73,765件。この数値は年々増加傾向にあります。厚生労働省が定義する虐待には『身体的虐待』のほかに『性的虐待』『ネグレクト』『心理的虐待』があり、いわゆる“体罰”以外の虐待も含まれているのですが、身体的虐待(体罰)自体の件数も数を増やしているのは事実です。

相談者様のおっしゃる通り、昨今ではささいなことでも、「虐待だ!」と騒がれる世の中なのかもしれません。そんな背景が、相談対応件数の増加に関わっている一面もあるのでしょう。しかしその反面、虐待によって命を落としてしまうような悲しい事件も起こっています。もしかするとその中には、純粋に、「しつけのためだった」と考えている親も存在しているのかもしれないですね。

たとえ発端がしつけであっても、大切なわが子を傷つけてしまったのであれば、それは紛れもない虐待です。自分が普段しているしつけは、果たして本当に“しつけ”なのでしょうか……。今回は、虐待としつけのボーダーラインについて考えてみましょう。

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“お尻ペンペン”や“ゲンコツ”は虐待なのか?

『虐待』と言い表せば犯罪ですが、“お尻ペンペン”や“ゲンコツ”と表現すれば何故かソフトな印象を受けます。

厚生労働省の公式サイトで『児童虐待の定義と現状』を確認したところ、身体的虐待には、

殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束するなど

と記されていました。この定義で考えれば、“お尻ペンペン”や“ゲンコツ”も虐待に含まれるように感じます。

しかし、多くの人は母親が子どもにゲンコツをするシーンを目撃しても通報はしないでしょう。ゲンコツには、どこか親の愛情のようなものさえ感じることもありますね。やっていることは“頭を殴る”という動作であるのに、虐待だと感じない方も大勢いらっしゃるはずです。

Q.“お尻ペンペン”や“ゲンコツ”を虐待だと考えますか?

これらが虐待に当たるのか否か、子育て中のママに問いかけたところ、以下のような意見がありました。

虐待だと感じる派

・『虐待だと思う。実際に、私は子どもにゲンコツをしてしまう。感情的になってから手を出していると自覚があるので、いつもものすごく後悔する。また、体罰で言い聞かせた内容は大抵聞こえていない様子。ゲンコツしてもしなくても、言うことを聞くときは聞くし、聞かないときは聞かない』(20代・ママ)
・『子どもには絶対に手を上げたくない。たとえお尻ぺんぺんやゲンコツでも、虐待はいいこととは言えない。暴力で言うことを聞かせようとすることは、子どもの考えを完全に無視した支配だと感じる』(30代・ママ)

虐待だとは思わない派

・『虐待とは思わない。必要であれば、体罰してでも教えなければいけないこともある。もちろん程度は弁えるべきだし、自分勝手な理由で手を出すことは良くないけれど、たとえば誰かを傷つけてしまったときや、危険なことをしようとしたとき、ママが本気で怒っていることを伝えるすべとして上手に付き合うべきだと思う』(30代・ママ)
・『自分が子どものころは、親にも先生にもゲンコツくらいされていた。大人を怖いと感じていたけど、その恐怖心があったからこそ道をそれずに成長できたと感じることもある。あのときの私のように、子どもが正しくないことをしたときは、手を上げてでも教えなきゃいけないこともあると思う』(30代・ママ)

どちらでもない派

・『どちらとも言えない。ケースバイケースでしつけにも虐待にもなると思う。でも、“ゲンコツやお尻ペンペンは虐待じゃないですよ”って決めてしまうと、程よくできないタイプの親が、「虐待じゃないから!」と過度な暴力に走りそうで危険だと感じる。だから、一応虐待だと決めてしまう方が子どもの安全を守れるのではないか』(20代・ママ)


お尻ペンペンやゲンコツを虐待だと感じるか否かは、ママ本人が育ってきた環境や経験によっても大きく異なってくるようです。実際、“しつけだと思う派”と“虐待だと感じる派”は半々である印象を受けました。

わが子を“自身の手”から守る、安全なボーダーラインを持ちましょう

しつけと虐待のボーダーラインは、その人その人で異なってしまいます。大切なわが子を“ママの手”から守るためには、ママ自身が安全なボーダーラインを持っていなければいけません。

私個人の考えでは、お尻ぺんぺんやゲンコツを虐待だと思いません。しかし、これらの体罰が日常化するようでは問題があるのではないかと感じます。

確かに、子どもたちは時々予測不可能な悪さをすることがあるでしょう。場合によってそれは、誰かを危険にさらしたり、傷つけたりしてしまう恐れがあることも……。言い聞かせるだけでは予防ができない場合、ゲンコツが飛んできたって仕方のないケースもあるかもしれません。

しかし、そういった場面も毎日頻繁に起こるわけではないはず。悪さの内容によっては、言ってきかせれば十分であったり、子どもの事情に耳を傾ければ逆に親側が納得してしまうことだってあります。「悪いことをした子どもが悪い」「これはしつけだから」というママ・パパの言い訳が、しつけを虐待に変えてしまうのです。

子育てをしていれば、子ども相手にカッとなってしまうことが多々ありますね。そんなときこそ、体罰を一番遠くに忘れてしまうべきなのではないでしょうか。

相談者様は、なぜご主人の前でお尻ペンペンをしないのでしょう? 子どものために行うしつけであれば、誰に見られても恥じることはないはずです。もしも頻繁に体罰を繰り返してしまっているのであれば、手をあげる前に、「今、パパがいても同じように怒れるか」を思い出してみてください。

本当にこれってしつけなのかな? と、時に立ち止まってみることも必要なのではないでしょうか。

【参考リンク】
平成25年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数等 | 厚生労働省

●ライター/木村華子(ママライター)

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