子どもに遺伝する? 完治が難しい「ドライアイ」との付き合い方

【パパからのご相談】
40代。自営業です。5年ほど前に仕事上のストレスから免疫が弱ったところをヘルペスウイルスに襲われ、角膜ヘルペスを発症して大変な思いをしました。角膜炎の方は治りましたが、角膜修復のために使い始めたヒアルロン酸点眼薬を常に携帯していないと目がゴロゴロして困る“ドライアイ”の症状が遷延化してしまい、角膜ヘルペスの発症から5年が経った今でも目薬を携帯せずに外出することはできません。“ムコスタ”というドライアイの特効薬も使用したことがありますが、完治はしませんでした。このまま一生ヒアルロン酸点眼薬を肌身離さず持ちつづけなければいけないのでしょうか。また、遺伝的に、今9歳の娘がいずれドライアイを発症しないかが心配です。

a たとえ完治はしなくても、“失明”のような重篤な結果には至らない病気と考えましょう。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

ドライアイが完治する病気かそうでないかは、眼科の専門医の間でも意見が分かれているようです。実際に“ムコスタ点眼薬”や“ジクアス点眼薬”といったドライアイの特効薬ともいえる薬を使用してもドライアイが完治しないということで悩んでいる患者さんは、私の周囲を見渡しただけでも相当数存在しているような気がします。

ただ、考え方によっては、ドライアイはたとえ完治しなくても、“失明”のような重篤な結果に至る病気というわけではありません。対症療法をつづけてさえいれば“大ごと”にはならないと考え、気長に病気とつき合っていくといった態度で暮らして行かれた方がベターかと考えます。

また、お子さんへの遺伝が心配とのことですが、ドライアイを発症させる原因となる病気の中には、遺伝性を指摘されるものもあることは事実ですが、程度としてはそれほど強い遺伝ではないようです。

ここでは、「ドライアイは完治しにくい」という立場の眼科医にその理由と、子どもへの遺伝的影響について伺ってみました。

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現代社会の生活様式そのものがドライアイを遷延化させるため、完治はしにくい

『ムコスタ点眼薬やジクアス点眼薬を使用してもドライアイが完治しない患者さんが相当数存在する原因は、現代社会の生活様式そのものにあります。現代の私たちの暮らしはパソコン、スマホ、ゲーム機器の使用による眼の酷使やエアコンによる空気の乾燥などが眼のために良くないと分かってはいても、それら抜きで成り立つわけもなく、点眼薬によるムチン(涙の成分)の分泌促進では追いつかないほどドライアイを遷延化させる構造になってしまっているのです』(50代男性/都内眼科医院院長・眼科医師)

涙点プラグの装着手術は、一定の効果が期待できるものの問題点も少なくない

『点眼薬による治療で思うように効果が得られない場合、涙点(涙の排出口)にプラグを挿入して栓をし、患者さんご自身の涙を眼の表面にとどまらせるという“涙点プラグ装着手術”を行うことがあります。保険適用の手術のため安価(2015年9月現在の相場で片目3,000円から5,000円程度)であり、これといった痛みもなく数分で終了することから、ドライアイで悩む患者さんからは施術を希望する声も多い手術ですが、問題点もあります。涙点をふさぐと眼の老廃物やホコリ・異物なども眼にとどまりやすくなり、眼に悪い影響を与える場合があるからです。また、プラグの装着後に違和感を訴える人も患者さんの中にはいらっしゃいます』(50代男性/前出・眼科医師)

他の病気によって発症するドライアイも多いが、強い遺伝性を疑わせるものはない

『ご相談者様が心配する、お子さんへの遺伝の問題ですが、ドライアイは現代の生活様式の他にも、他の病気が原因となって発症するケースが少なくありません。代表的な病気には、

・マイボーム腺機能不全
・シェーグレン症候群
・スティーブンス・ジョンソン症候群

などがありますが、ご相談者様のように“角膜ヘルペス”が引金になる場合もあるでしょう。このうち、“シェーグレン症候群”の発症要因に遺伝の可能性があることが指摘されているため、「シェーグレン発のドライアイは、子どもに遺伝する」と危惧されている面があるようです。しかしながら、この場合も、それほど強い遺伝性が確認されているわけではありません。一般論としては、ドライアイに関してお子さんへの遺伝を心配し過ぎることは、あまり意味のないことのように思われます』(50代男性/前出・眼科医師)

“完治する派”の論拠には民間療法的なものが多く、エビデンス上の問題が否めない

『最後に、「ドライアイは完治することができる」としている眼科医師たちの見解についてですが、現時点ではそういった言説の論拠としては民間療法的なもの(サプリメント、呼吸法など)が多く、エビデンス上の問題があることは否めないと思います。今、わが国にはおよそ2,200万人のドライアイ患者さんがいて、オフィスで働く人の3人に1人はドライアイともいわれており、多くの患者さんが根気よくドライアイとおつき合いされています。ドライアイは“治りにくい”ものの、“失明に至る”病気というわけではありません。対症療法はかなり開発されてきている疾患ですので、「眼がゴロゴロする」、「眼が乾いた感じがする」と思ったら、眼科に行って診察を受けましょう』(50代男性/前出・眼科医師)


“一病息災”という言葉もあります。ドライアイになったら、眼科で適切な治療を受けたうえで生活習慣に気をつけ、「1つ病気があることによってかえって健康に気を配り、結果的には元気に生きて行けるようになった」という“一病息災”の状態をモットーにして暮らして行かれるのも、ベテラン眼科医がおっしゃるようにベターな態度と言えるのではないでしょうか。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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