薄情なだけ? 子どもが「イジメの傍観者」になってしまうワケ

【ママからのご相談】
小学校高学年の息子が2人います。先日息子のクラスでイジメがあったと学校から手紙が回ってきました。新学期当初からあったようです。息子も知っていたようなのですが、言い出せなかったと言っています。止めさせなかった理由を聞いても言わないので困っています。

a イジメを止められなかった理由は、“援助行動における傍観者効果”にあります。

こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。

イジメは、どちらの側になったとしてもつらい心の内があります。イジメを止めに入ることができないことにも心理的な理由がありますので、そのときの心の状態を知っておくこと大切です。

お子さんも、「言いたいけど……」という気持ちでいっぱいだったでしょう。まず、そのことに相談者様は気をかけてあげて欲しいと思います。“援助行動における傍観者効果”について知って欲しいのです。

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クラスメイトたちがイジメ被害者を助けることができない理由

イジメが教室で行われているのに、目撃した生徒達がみな口をつぐんでしまい、イジメが起きていても誰もなにも言わなくなってしまうのには理由があります。

それは、“援助行動における傍観者効果”というものです。立正大学で社会心理学を教えていらっしゃる齊藤勇先生の著書にこうあります。

目の前で緊急事態が起こった場合、目撃者が複数いると、援助行動は起こりにくくなることがわかっています。その理由は、責任の拡散です。

目撃者が大勢いると、「自分が助けなくても誰かが助けるんじゃないか」という気持ちが先に立ってしまい、みんながみんなそう思ってしまうために手を差し伸べる人がいなくなってしまうのです。

実際にこういう気持ちが働いて、犯罪が起きても何もすることができなかったという事件が日本でも海外でも多く起こっています。

子どもの感情が鈍くなってしまっているのではない!

「クラスメイトがイジメを苦にしている姿を見ても何も思わないのはおかしい」と思われるかもしれませんね。しかし、子どもたちの感情が鈍くなってマヒしているのではありません。

「自分が助けなくても誰かが助けるんじゃないか」という気持ちだけでなく、「止めたら、自分が標的にされるかも」という気持ちを持ってしまうのも事実です。自分を守るという防衛本能が働くのは当然のことです。

防衛本能が働いている心と、イジメをやめさせたいと思う心の狭間で苦しんでいる子どもたちが大勢いるのです。心の動きはとても複雑で、発達段階にある子どもの心は、ストレスを抱え込んでしまっています。決して、感情が鈍くなってしまっているのではありません。

中にはイジメを止めに入ってくれる心の強い子どももいますが、少数です。そういう子になれないからと言って、お子さんを責めたりするようなことはしないでくださいね。「どうして自分はそうなれないんだろう」と思っているのは、お子さん自身なのですから。

イジメを見過ごさないようにするための働きかけ

子どもがイジメのことを親に相談できないのは、「親に心配をかけたくないから」です。また、先生に言えないのは、「対処してくれない」と思っている、もしくは、「自分がチクったことをイジメの加害者にバラすかもしれない」と思っているからではないでしょうか。ご相談者様もそのような経験はありませんか?

私は、学習塾で講師をしていたときに、中学生の生徒からこのような相談を受けたことがあります。非常に悩んでいました。このときは、子どもに了解を得て、親御さんから学校へ連絡をしてもらい、担任と学年主任の先生に対処していただきました。それで何とかイジメ問題は終結し、この中学生も安心して学校に通うことができる状態になりました。

大人は、イジメが起こっていそうな雰囲気や空気感、物証などがクラス内外・家庭内で発見・感じたときにすぐに何らかの対処しないといけません。

・靴あとがついたランドセルを見ても何も言わない
・服が異様に汚れていても何も聞かない
・机に落書きがされていても見ないふり

このような“いつもと違う何か”ということは、親や先生が一番に感じることだと思うのです。むしろ、子どもを守るために感じとらなければいけないことではないでしょうか。

イジメは本当につらく、悲しいものです。加害者も被害者もそして傍観者も。大人が助け船を出してあげないといけない場面です。だから、ちょっとした変化を見逃さないことが必要なのです。

「親だけでは守り切れない」と学習塾で講師をしていたときに言われました。だからこそ、教育者や周りの大人がみんなで子どもを守ってあげることが大事なのです。特に、学校の先生や塾講師など子どもと関わりのある大人同士での協力が必要不可欠です!

相談者様もお子さんのことを攻めたりしないでくださいね。好きで傍観者になったわけではありません。この気持ちを破って成長していくのは子ども自身なので、親に怒られたりすると萎縮したり、自分を責め続けてしまうことになります。

まずは、ツラかった気持ちを共感することから始めましょう。相談者様のお役に立つことができれば幸いです。

【参考文献】
・『面白くてよくわかる!社会心理学』齊藤勇・著

●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)

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