自殺なんてさせない! 子どもをイジメから守る“医学的・法的措置”とは

【パパからのご相談】
40代。転勤が多く、一人っ子の中1の息子は夏休み前にしてもう2つめの中学校です。6月に転校してまもなく、「学校でガンをつけた」と川原に呼び出され、5人に囲まれて殴られたそうです。顔は腫れ、鼻血の痕もありました。学校に掛け合うために、と思い、中2の首謀者と数度話し合いましたが、のれんに腕押しでした。危険なので学校は休ませたまま夏休みに入っています。しかし、人に暴行を働いたのにぬくぬくと学校に行っている5人のことは許せません。息子は、「パパもママも心配しないで。そのうち学校にも行くから」と言いますが、親を心配させまいとしているだけだということは明らかで、本当はかなり追いつめられていると思います。こんなとき親が取るべき対処法としてはどのような措置があるでしょうか?

a 中学生が死を選ばぬように、ありとあらゆる医学的・法的措置を取らなければなりません。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

子どもにとって、“いじめ”が死の危険を最もはらんでいる時期は、中学生時代の3年間です。逆に言えば、中学3年間さえ何とかやり過ごしてしまえば、悲しく痛ましい“いじめ自殺”の危険性が大きく低下します。それほどまでに中学生時代というのは心理的に不安定な時期であり、その不安定な気持ちこそが“いじめる側”に群集心理的な快感を与え、集団で個をいじめる卑劣な犯罪行為に走らせます。

一方で、この年代に属する子が“いじめられる側”になった場合、死を選んでしまうほどの精神的苦痛を受けることになります。ですから、中学生の子どもを持つ親は、子どもが死を選ぶことだけはないように、医学的・法的な措置を含むありとあらゆる手段をもって、子どもを卑劣な犯罪行為から守らなければなりません。

ここでは、関東地方にある精神科・心療内科分野の専門病院で思春期外来を担当する児童精神科の医師にお話を伺いながら、中学生の子どもが“死”を考えるほどのいじめに遭遇た際に取りうる手段について、いろいろな角度から考えてみたいと思います。

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学校に相談をしても効果がないと判断し、自ら行動した人もいます。親は覚悟を持ってください

『以前私が診察し、その症状からいじめ被害の存在を疑った中学生の男の子がいました。その子の父親は、子どもが集団暴行を受けていることを学校の先生に言ったものの、全くらちが明かなかったのだそうです。そこで、自ら学校に乗り込んで職員室に加害者たちを呼び出し、大勢が見ている前で彼ら一人ひとりを殴ったといいます。行為の良し悪しについてはここでは論じませんが、加害者の中学生たちが、「こいつをいじめたら、こいつの父親からボコボコにされる」と恐れたのか、実際にいじめはなくなりました。

一方、親の直接行動が裏目に出て、その後子どもへのいじめ行為がエスカレートしていったケースも多数見てきました。いずれにしても言えることは、中学生の子どもが深刻ないじめ問題に遭遇してしまった場合には、親は子どもの命を守るために相当の覚悟を持たなければいけないということです』(50代男性/児童精神科医師)

子どもがいじめられているときに親がするべきこと9つ

『北海道で精神科病院を開設し、長年にわたっていじめ問題を医学的に考察されている医師の太田耕平先生によると、子どもがいじめられているときに親がするべきことは以下の通りだそうです。

(1)……つらい気持ちをよく聞き受けとめてやること。実態を詳細に把握すること
(2)……誰でもいじめられる可能性があることを教えること
(3)……親こそが具体的な力になってやれるのだと子どもに伝え、学校の先生と何度も会うこと
(4)……いじめている加害者の親(保護者)と会い対策を練ること。特に父親が対応すること
(5)……子どもが、「いやだ!」「やめろ!」とはっきり意思表示できるように教育すること
(6)……スポーツなどで子どもの体力や筋力の増進をはかること

これらのどれをとっても、「なるほど」と唸ってしまうほど的を射た提案でありますが、さらに私は、

(7)……本質的な解決にならなくても、子どもが死を考えるようになる前に転校させること
(8)……いじめによる傷を医師と連携して撮影、LINEのログを保存して証拠をそろえておくこと
(9)……そろえた資料に基づいて、できれば弁護士と連携して警察に訴え、法的措置をとること

といった3点も追加したいと思います』(50代男性/前出・児童精神科医師)

子どもへのいじめに対抗するために、法の力でできること

ここまで、児童精神科医の見解に基づいて医学的な立場から子どもがいじめられているときの対処法について考えてきました。

過去のわが国における中学生のいじめ問題の事例を振り返るにつけ、「学校側に相談したところで効果はなく、かえって事態の隠蔽に走られるだけだ」といった親側の根強い不信感が厳然と存在することは紛れもない事実です。そこで、今度は子どもの命をいじめから守るために、学校側の問題解決能力に頼るのではなく、法の力でどのように対抗できるかを考えてみたいと思います。

『私が地元で常に連絡を取り合っている知人の弁護士は、「費用のことは心配せずに、証拠をもって相談に来てほしい。一緒に警察署に行きましょう」と言っています。民間人が単独で訴えに行くよりは、弁護士が同行した方が警察は話しをちゃんと聞いてくれる傾向があるそうです。知人の弁護士はまた、次のように述べています。

(a)……いじめの過程で“殴る・蹴る”の被害を受けているなら『傷害罪』に該当する
(b)……それによって持ち物を壊されているなら『器物損壊罪』が成立する
(c)……ネットやLINE上に個人を特定できるような誹謗中傷を書き込めば『侮辱罪』に該当
(d)……川原に呼び出されてカツアゲをされたのであれば『恐喝罪』が成立する

もっとも弁護士は、「加害者が14歳未満の場合は刑法上の犯罪ではなく非行という扱いになります。また、加害者たちは20歳未満で、少年法の適用を受けるため、必ずしも大人と同等の処罰を受けるわけではありません」とも述べています。では、それでも弁護士同行で警察署に被害届や告訴状を提出することに、どのような意味があるのでしょうか。

弁護士は、「最も大きな意味として、抑止効果が挙げられます。お前たちのやっていることは“犯罪”なのだぞという明確なメッセージになり、警察官が事情を聴きにくれば、加害者たちにとっては一定の心理的プレッシャーになります」と言っています』(50代男性/前出・児童精神科医師)

それでも加害者が態度を改めないのであれば、何度でも転校すること

いじめの問題は、どのような場合であれ重く、やりきれないものです。

世の中には、「いじめに遭いたくなければ私立の中学校か公立でも中高一貫校へ行けばいい。勉強や課外活動で忙しくていじめどころではなくなる」などと、軽い気持ちでおっしゃる方がいます。確かに一面の真理を突いてはいるかもしれませんが、デリケートなご発言とはいえません。全ての家庭がそのような中学校に子どもを通わせることができるわけではないのです。

しかも、“私立ならいじめはない”というのも正しくはありません。実際に私も“気品”をモットーにしているような私立の男子中学校に3年間通いましたが、弱い者をターゲットにしたいじめは少なからずありました。

今回の医師・弁護士のお話にあるような対抗措置を取っても、加害者が態度を改めないこともあるでしょう。そんなときは、何度でも、何十回でも転校をするべきだと思います。中学校は義務教育です。公立中学校には受け入れる義務があります。ご相談者様が転勤族であることをよい方に利用してしまいましょう。息子さんは新しい学校で自己紹介する際には、「父の仕事の関係で、年がら年中転校しています」と、笑い話にしてしまえばいいのです。

冒頭にも申し上げましたように、中学生時代の3年間さえ何とかやり過ごしてしまえば、いじめが原因で死を選ぶという危険な時期からは脱することができるのです。高校生になると、みなばかばかしくなっていじめという行為をしなくなっていきます。

極端な話、たった3年間なのであれば、毎月毎月転校をしたっていいではありませんか。これから子どもさんを中学校生活へと送り出す親御さんには、そのくらいの覚悟を持って子どもの命を守っていただきたいと思います。

【参考リンク】
いじめ問題の医学的理解 | 医療法人耕仁会グループ札幌太田病院

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●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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