ストレスで早熟に!? 夫婦ゲンカが“子どもの身長”に与える影響とは

【ママからのご相談】
30代。派遣社員をしながらフリーカメラマンの夫とともに小4の男の子を育てています。先日子どもが学校から、子どもの低身長治療が専門の小児科医の先生のことが書かれたプリントをもらってきました。とても参考になり、小さめの息子のためにより詳しく勉強したいと思ってその先生のホームページを開いたら、「子どもの身長を伸ばすには夫婦ゲンカはしない方がいい」と書いてありました。

両親の仲が悪いと子どもが本能的に早く大人になろうとして早熟になり、そのことが子どもの背の伸びにストップをかけるというのです。私たち夫婦は基本的には人生観が近く話が合うのですが、性格はだいぶ違うためケンカもよくします。これでは、うちの息子はあまり身長が伸びないのではないかと心配です。

a ご夫婦の人生観さえ一致していれば大丈夫。子どもはゆっくり成長できます。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

子どもの低身長治療が専門の小児科医である額田成(ぬかた おさむ)先生は、「思春期が早く訪れて骨が固まってしまうと、身長の伸びが止まるときが早く来てしまう。その意味で、身長の伸びにとっては思春期の到来は遅ければ遅いほどいい」という趣旨のことをおっしゃっています。

その際に、両親の夫婦仲が悪いと“子どもは身の危険を感じ、本能的に早く大人になろうとする。そのことが思春期の発来を早めることになる”というのが、額田先生の説のようです。

ご相談者様は旦那様と性格がだいぶ違うとのことですが、夫婦は基本的な人生観さえ一致していれば大丈夫です。そのことは、子どもから見ても分かります。性格は人間なら一人ひとり皆違っていて当然で、性格の一致などはもともと求めるべきではありません。

人生観が一致している夫婦はケンカをしてもまた仲直りできるので、子どもは安心してゆっくりと大人になって行くことができます。ご相談者様の息子さんも、焦って早く大人になろうとすることはないでしょう。ここでは都内で小児科クリニックを開業する医師に伺ったお話を参考にしながら、“子どもの身長の伸びと親の夫婦仲”という問題について、一緒に考えてみることにしましょう。

150804suzukikatsuyoshi

日本人の子どもは早熟すぎるために欧米の子どもに比べて背が伸びない!?

『前出の額田医師らが1970年代生まれの男性について国別にその精通年齢を調査したところ、ドイツの男の子は14歳1か月、アメリカの男の子は14歳0か月、デンマークの男の子は13歳5か月だったのに対して日本の男の子は12歳10か月で、欧米の男の子に比べて1年程度も早く精通が始まってしまっていたのです。

この「失われた1年間」こそが、日本人が欧米人よりもかなり身長が低いことの根本原因となっていると、額田医師らは指摘しています。額田医師らの調査では女性についても同様の傾向の結果が出ており、日本人の女の子の初潮年齢は12歳6か月で先進諸国の中で最も早く、欧米の女の子より約6か月早く初潮が訪れています。

この調査では日本とアメリカの男の子の身長の成長曲線を比較検証しているのですが、13歳半のときは日本人の子ども158.8cmに対し、アメリカ人の子どもは159.9cmでその差は僅か1.1cm。しかし、15歳になると日本人166.3cmに対しアメリカ人169.0cmとその差が2.7cmに広がり、17歳では日本人170.0cmに対しアメリカ人176.2cmと6.2cmもの差が開いてしまい、その後はご承知の通りで、「並ぶのがいや」になるような身長差になって行くことが分かったのです』(50代男性/都内小児科クリニック院長・小児科医師)

思春期の発来を適度に遅らせる方法はあるのか?

『それでは、身長の伸びが早く止まらないようにするためにも思春期の発来を人為的に適度に遅らせる方法というのはあるのでしょうか。なかなか難しい問題ではありますが、少なくとも心がけ次第で実行できる方法が2つあります。

1つは栄養の取り過ぎに注意することです。栄養の取り過ぎで太っている子は、女子であれば初潮を早く迎え、男子であれば精通が早まり思春期を早く迎えてしまいます。しかし一方で、身長を伸ばすにはタンパク質(アミノ酸)、カルシウム、炭水化物などの栄養をバランスよく食事から摂取することが不可欠です。要は、度を超えた暴飲暴食や偏った栄養摂取により“肥満”の状態になることのないよう注意するということです。

2つめは、両親の夫婦仲についてです。期せずして夫婦ゲンカになったときには、言うべきことを言ったあとに、「でも、自分のこういうところは悪かった。それについては謝る」と、素直に謝ってしまうことです。この態度を心がけていれば、もともと人生観が一致しているご相談者様のような夫婦であれば、ケンカは深みにははまりません。このような家庭で育っているお子さんは安心してのびのびと過ごすことができるため情緒が安定し、本能的に早く大人になろうとすることはなくなるのです』(50代男性/前出・小児科医師)

いたわり合う両親が子どもに目を向けることが一番大切

いかがでしたでしょうか。

もちろん、子どもの身長を決定する要素は両親の仲が全てではありません。バランスのとれた栄養や運動、成長ホルモンの分泌を促す睡眠、そして(これは努力でどうにかすることのできない要素ではありますが)遺伝の影響も無視することはできません。

けれど見方によっては栄養、運動、睡眠という子どもの身長を伸ばす遺伝以外の3要素の恩恵に子どもが十分にあずかるためにも、両親の夫婦仲がよいことは大前提となるのではないでしょうか。

『わが国における成長ホルモン研究の第一人者である鎮目和夫(しずめかずお)博士も、「両親が夫婦ゲンカばかりしていると子どもの身長は伸びなくなる」とおっしゃっています。今の子どもたちは時代の要請もあり、みな相応の知識と論理的思考力を身につける必要があるため、日々ストレスにさらされながら生きていますが、ケンカばかりしている両親ではそのストレスが子どもにとって“有害レベル”に達しているのかどうかすら、それほど子どもに目を向けていないため分からなくなってしまうでしょう』(50代男性/前出・小児科医師)

ご相談者様は派遣社員として、旦那様はフリーカメラマンとして、毎日たいへんなご苦労をされていらっしゃることと存じます。それでも1日が終われば明るい笑顔で食卓を囲みながら、家族でその日あったことを楽しく話し合うご両親の姿を、息子さんは見ています。お仕事上からもご相談者様ご夫婦は、「弱い立場の人に優しくあれ」といった共通の人生観をお持ちのはずです。そのような家庭環境の中で育っている息子さんが、「早くこんな家は出て行こう」などと思うはずがありません。

息子さんの身長は今は平均より小さめかもしれませんが、ご心配には及ばないと思います。

【関連コラム】
自己肯定感が低くなる!? 夫婦ゲンカが子どもの心に悪影響なワケ
コレが一番の原因!? 夫婦喧嘩を回避する“言葉遣い”のコツ

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

注目の記事

あなたにオススメの記事

パピマミをフォローする