多額の借金で難聴に!? ストレスによる“心身症”の根本的な改善法

【男性からのご相談】
40代。故郷で雑貨商をしていた父が昨年他界。母は7年前に先立っています。私は一人息子ですがここ20年ずっと東京暮らしで、父の商売のことは亡くなる前に破産をしたらしいということ以外ほとんど何も知りません。父は持ち家も無かったので遺品整理も近所に住む遠縁の者に任せました。ところが、ここ1か月の間に郷里の税務署から、「お父様が残した未納の国税債務およそ1,000万円を、唯一の法定相続人であるあなたに払っていただきます」という内容の連絡が頻繁に来るようになりました。

寝耳に水の私は、ショックである日を境に耳がよく聞こえなくなってしまったのです。耳鼻科に行っても、「心因性難聴だから心療内科の方がいい」と言われ、紹介された心療内科でカウンセリングと投薬を受けていますがさほど効果がなく、妻も心配しています。どうしたらいいでしょうか。

a 家庭裁判所に相続の放棄を申述してください。原因から解放されなければ治りません。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

心因性難聴は外耳や内耳、脳幹に器質的な障害がないにもかかわらず聴力が低下してしまう“機能性難聴”と呼ばれる病気のうち、原因となる精神的ストレスが明らかなもののことを言います。実は私も若いころにかかったことがあり、器質性障害がないのに本当に耳が聞こえなくなる、不思議と言えば不思議な病気です。

自分の場合もそうでしたが、この病気は原因となっている精神的ストレスを取り除き、そこから解放されない限り根本的にはなかなか治りません。ですから、ご相談者様の場合は、税務署から支払いを催促されている、お父様が残したマイナス財産を含めた相続の放棄を家庭裁判所に申述しないと抜本的な解決はありえません。

ここでは都内でメンタルクリニックを開業する心療内科の医師に伺ったお話を交えながら、心因性難聴を含む広義での心身症の根治という問題について、一緒に考えてみましょう。

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心因性難聴を含む広義での心身症の根治には、原因となるストレスを取り除くことが必要

『ご相談者様の“心因性難聴”のように病気の原因となっている精神的なストレスが明らかである場合、私たち医師にはたとえ専門が心療内科や精神神経科であったにしても、それをカウンセリングや投薬で根本的に治療してさしあげることはなかなか難しいと言えます。おそらく、今のご相談者様にとってはありとあらゆる“音”が、税務署からの電話の呼び出し音であったり、税務署員の強い口調の催促であったりするわけですから、音が聴こえなくなるという身体的な症状はある意味で不安や恐怖から自分の身を守るために“合理的”で“都合の良い”状態であると考えられるからです。

数年前、中小企業の社長をなさっている60代の男性の患者さんで、斜頸(しゃけい)といって首が曲がった状態で固まってしまった人が、知り合いの整形外科医からの紹介で私のクリニックへ来られました。診察してみると患者さんの会社はその当時資金繰りがひっ迫していて、“支払手形の不渡り、倒産、自殺”といった三段論法的な不安で患者さんの頭の中はいっぱいだったのです。結局、気持ちをリラックスさせる薬を処方して様子を見たのですが、斜頸は治りませんでした。

患者さんはその後クリニックへ来なくなってしまったのですが、1年近く経ったころに久しぶりに現れると、斜頸がすっかり治っていたのです。お話を聞くと、患者さんは同じ業界の中堅企業に会社を丸ごと売却し、その中堅企業の相談役に収まって資金繰りの苦労と“不渡り、倒産、自殺”の恐怖からすっかり解放されていたのでした』(50代女性/都内メンタルクリニック院長・心療内科医師)

相続放棄はお父様の死亡から3か月以上経っていても申述できるケースがある

このように心療内科の専門医のお話を伺ってくると、ご相談者様の心因性難聴を根本的に治す方法は、故郷の家庭裁判所に相続放棄の申述をなさることしかないようです。

その際、「父親が亡くなってからとっくに3か月以上が経過しているのに、国税の未払い債務を放棄するなんてことはできっこないよ」といった類いの不確かな情報にまどわされてはなりません。

ご相談者様はお父様の晩年の経済的状況について、商売でつくられた負債が理由で自己破産されたことなどからも、マイナスの財産も含めた相続財産は全くないと信じてこられたのであり、そう信じてこられたことにはご相談の文面を拝読しただけでも相当な理由があることがわかります。

まさか、自己破産をしても免責の対象とならない国税の未払い債務があったなどとは知るよしもなかったでしょう。このような場合には、マイナスの財産も含めた相続財産の全部または一部の存在を“知った”時点から3か月以内に申述すれば、相続放棄の申述は受理される場合もあるのです。

ご相談者様は今すぐに、お父様の最後の住所地の家庭裁判所に相続放棄の申述をしてください。裁判所に相談してやり方を聞き、事務手続きを全部ご自分でされるのであれば、総額でも数千円の費用で済みます。また、費用は数万円程度かかりますが司法書士に手続きのサポートを依頼することも、確実に申述を受理されるためのよい方法の一つです。

まずは何よりも優先して相続放棄を申述し、受理してもらってください。受理されたらそのことを税務署に連絡し、証明書を提出すれば二度とお父様が残した国税の未払い債務の支払い催促をされることはありません。

『その段階に至れば、ご相談者様の心因性難聴はきっと快方に向かわれているかと思います。病気というと一般には“医者が治すもの”というイメージがあるかもしれませんが、“明らかに精神的なストレスが原因の病気”の場合、医学ではなく、隣接諸領域の専門的な措置を取らない限り根本的には治らないケースがあります。今回のようなご相談に適切に対処するためには私たち医師も法学や経営学をはじめとする隣接分野の勉強を日頃からもっと関心を持ってしていないといけないなと、改めて感じさせられるご相談でした』(50代女性/前出・心療内科医師)

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●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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