ガールズトークが苦手!? 「女性のアスペルガー症候群」の特徴と対処法

【ママからのご相談】
30代、小学3年生の男子のママです。息子が発達障害のアスペルガー症候群と診断されています。

息子の発達障害について勉強していくと自分も当てはまるところが多くあり、専門機関で診断したところ、自分もアスペルガー症候群だということがわかりました。

これからどういうことに気をつけていったらよいでしょうか?

a 女性のアスペルガー症候群は男性の場合と悩みが異なります。女性ならではの悩みに注目し、休みを多くとり、家族に助けてもらいましょう。

ご相談ありがとうございます。ママライターの馬場じむこです。

発達障害者支援法が施行されたのが平成17年4月。

最近でこそ、発達障害についての本やテレビの特集が多くなってきておりますが、それまでは、既存の障害者福祉制度の谷間に置かれ、その気付きや対応が遅れがちであったといわれています。

また、アスペルガー症候群は男性にみられることが多く、そのため本やネットで紹介されることは、男性のアスペルガー症候群の情報が中心になりがちとのことです。

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女性のアスペルガー症候群はなにより人間関係に悩む

どんぐり発達クリニック院長の宮尾益知先生が監修した『女性のアスペルガー症候群』には、このような記述があります。

アスペルガー症候群の女性は会話に悩みがちですが、それでも男性に比べると、社会性やコミュニケーション能力は育ちやすいようです。男性は幼児期から会話のすれ違いが目立ちますが、女性が会話で困り始めるのは、だいたい10代になってから。女性どうしのガールズトークが複雑になってきてからです。この男女差には、男女の脳機能や社会的役割、生活スタイルなどの違いが関わっています

育児はアスペルガー症候群の女性にとって苦手な場面ばかり

女性同士の会話の難しさなどは、女性が少ない職場であったり、お仕事をされていなければ関係ないように思われるかもしれません。

しかし、子どもが園や学校に行くことになれば、ママ友とのやりとり、女性の先生とのやりとりが発生します。

そして、子どもの体調不良や急な園・学校などの準備などで、自分なりのリズムが崩れて苦しく感じる場面も多いでしょう。

こういったとき、簡単なことなのにつらく感じる自分を責めるのではなく、育児はアスペルガー症候群にとって苦手な場面も多いことを自覚したほうが気持ちが楽になります。

人間関係と双璧をなす問題が体調不良

また、アスペルガー症候群の男性は体の不調が問題になることはさほど多くないです。

しかし女性では主要な悩みになるのが、体調不良のひどさです。体質的に、神経系の機能不全が起こりやすいようです。

悩みに対応する方法2つ

では、このようなアスペルガー症候群の悩みに対して、どのように対処していけばよいでしょうか?

いくつかの対応方法がありますが、その中から2つをご紹介します。

(1)疲れや痛みに早めに対処する

アスペルガー症候群の人のなかには、疲れや痛みを感じにくく、体が疲れているのに、勉強や仕事をがんばってしまう人がいます。

その結果、体調不良になるのです。こまめに休憩をとるようにしましょう。

アスペルガー症候群の人にとって、人間関係のなかで生きていくのは、他の人が想像している以上につらく、過酷で、疲れのたまることです。

(2)家族にトラブルを“解説”してもらう

アスペルガー症候群の人は、暗黙の了解を察することが苦手です。誰かに教えてもらわないと、なかなか理解できません。

そこで、身近な家族に解説者となってもらい、さまざまなマナーやルールを学ぶのです。

人から叱られたり注意されたりしても、意味がよくわからなかったら、家族に聞いてみてください。

一般常識的に問題となったのはどこなのかを、説明してもらいましょう。このやりとりを習慣化して、世の中を理解していきます。


疲れや痛みに対して早めの対処によって楽になれることも多く、不得意な“空気を読む”ことについては、自分で何とか頑張るより、できる人に頼るほうが心の負担も少ないように感じました。

対処法を上手に使って毎日少しでも負担が少なくなることをお祈りしています。

【参考文献】
・『女性のアスペルガー症候群』宮尾益知・監修

【参考リンク】
・発達障害とは | 発達障害情報・支援センター

●ライター/馬場じむこ(書評ブロガー)

編集部追記

今回のコラムでは、アスペルガー症候群について、「不得意な分野は家族や周囲の人に頼りましょう」という視点でアドバイスをいただきました。

「女性のアスペルガー症候群」について、一般的にはどう言われているのか、編集部でまとめてみました。

アスペルガー症候群について

アスペルガー症候群は、発達障害の中で分類されている広汎性発達障害の中のひとつ。

【発達障害】
・注意欠陥・多動性障害(ADHD)
・学習障害(LD)
・精神発達遅滞
・連動発達遅滞
・広汎性発達障害

発達障害は上記5つに分類され、さらに“広汎性発達障害”は以下5つをグループとします。

【広汎性発達障害】
・アスペルガー症候群
・自閉症
・レット症候群
・小児期崩壊性障害
・特定不能の広汎性発達障害

“広汎性”という言葉が“広い範囲で障害がある”と誤解されるやすいことから、今では『自閉症スペクトラム障害』と呼ぶことが多くなっているようです。

発達障害の中でもアスペルガー症候群は、知的障害を伴わないものの、興味・コミュニケーションについて特異性が認められています。

自閉性障害の主な三つの症状である、『社会相互作用・コミュニケーションの障害・常同行動』のうち、コミュニケーションの障害が軽微なものを指します。

男児に多いことでも知られており、男女比は4:1と言われています。

原因はまだ解明されていないようですが、男の子の脳は、女の子の脳よりも抵抗力が弱く、ダメージを受けやすいということ。

また、胎児期の最初の脳は、女の子の脳パターンであり、男の子はそこに男性ホルモンが作用して、脳のパターンが変化すると考えられています。

そのことが男の子に発達障害が多いことと関係しているのかもしれないという考えがあるようです。

ちなみに、オーストリアの小児科医のハンス・アスペルガーにちなんで付けられた診断名が名前の由来になっているそうです。

アスペルガー症候群の特徴3つ

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アスペルガー症候群の特徴として、“知能低下は認めないもののコミュニケーションや興味に大きな偏りが見られ、それによって生活にさまざまな支障を来たしている方”に対して付けられているようです。

以下、具体的にみていきましょう!

(1)対人関係の障害

相手と程よい距離間を持って、自然なコミュニケーションを取ることが苦手と言われています。

簡単に言うと“人付き合いが上手にできない”ということ。

相手と話していても、目が泳いでしまったり、表情がその場にそぐわないものであったり、対話する距離感が近すぎたりという不自然さが認められます。

また、冗談が通じず、真に受けてしまうことがあるようです。

普段何気なく行なう、アイコンタクトや身振りや表情での意思疎通が困難なことが多く、対人関係による“不器用さ”が認められているようです。

(2)想像力の障害

相手の気持ちになって考えることが苦手なのも特徴の一つ。

「もし自分が○○さんだったら……」や「○○さん、喜ぶだろうな」と“想像”することを困難とします。

(3)限定された興味・こだわりを持つ

興味やこだわりが人一倍強いことが多いことが知られています。

ときに常人では考えられないような集中力、記憶力を発揮して偉業を達成する人もいると言われています。

このような特定の領域に関して非常に優れた能力を発揮することを『サヴァン能力』と呼びます。

有名人・著名人の中には、アスペルガー症候群と言われる方が多いと言われますがこれは興味やこだわりの強さが良く働いた例のようです。

この特徴は一長一短と言われ、悪い方向に向いてしまうと人との衝突を起こしかねません。

些細なこだわりを曲げることができなかったり、周りからすればどうでもいいことでも習慣として行動に移さないと気が済まないといった症状が多いようです。


その他、以下2つも症状として認められているようです。

・不器用……細かい作業が苦手であったり、運動神経が悪い
・感覚過敏……細かい物音が気になったり、特定の肌触りの服しか着れなかったりする

自閉症とアスペルガー症候群について

自閉症とアスペルガー症候群の境界線は明確に区切られている訳ではないようですが、ことばの発達や会話からそれぞれに特徴があるようです。

自閉症とアスペルガー症候群の共通する特性

・想像力の障害
→いつも電車に乗るときに同じ時間に同じ席に座らないと気がすまないなどの変化を好まない

・社会性の障害
→人と付き合うことが苦手・困難

・コミュニケーションの障害
→ことばの使い方や言語の発達など

これらは『3つ組の障害』と呼ばれています。

教育や援助の方法で大切なことはこの3つ組の障害をもっているかどうか。

アスペルガー症候群でも自閉症でも3つ組の障害があれば、教育や援助の方法は共通してくるそうです。

自閉症とアスペルガー症候群の違い

・知的な遅れがある自閉症
→ことばの発達に遅れがみられる

・知的な遅れのない自閉症(高機能自閉症)
→自閉症と同じくことばの発達に遅れがある
成長するにつれてことばの発達の問題が目立たなくなるのが特徴

・アスペルガー症候群
→ことばの発達には遅れがない
→会話能力もある
しかし、他人との会話で流れを読むことができない


大きな違いは、言葉の遅れの有無と言われています。

自閉症の場合は、言葉の遅れがみられますが、アスペルガー症候群の場合はないようです。

ちなみに、自閉症の症状は2歳までにあらわれることが多く、遅くとも3歳までには必ずあらわれると言われています。

一方、アスペルガー症候群の子どもや大人は一見して障害があるようには見えないことが多く、話もできれば勉強なども人並み以上にできることがあります。

人前で独り言を言ったり常同運動をしたりすることはまれ。

“自閉症にみえない自閉症”とも言われているようです。

アスペルガー症候群は遺伝する?

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アスペルガー症候群の原因は精神的なものと思われがち。

しかし、実際は『遺伝的要因』や『先天的な理由』から発症するケースが多いと言われているようです。

アスペルガー症候群が含まれる『広汎性発達障害』は遺伝的な影響があるとされます。

そのため、親子でアスペルガー症候群だったり、両親のうちどちらかが自閉症的要因を持っている場合などに子どもに遺伝する可能性があるようです。

実際、子どものアスペルガー症候群を疑って病院に診察にきた結果、その保護者も発達障害だったと判明するケースも少なくないようです。

しかし、現段階ではこの病気の診断が難しいこともあり、ハッキリとした原因が解明されていないようです。

また、動物実験段階ではあるようですが、化学物質や貴金属が発達障害と関係しているという説もあるようです。

“家族に化学物質や重金属に敏感な方がいて、さらに妊娠中に母親がこれらにさらされると発達障害が発生するのではないか?”という仮説。

あくまでも仮説ではあるものの、近い将来、発症を防げる方法が分かってくるかもしれませんね。

女性特有のアスペルガー症候群の悩み

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アスペルガー症候群の女性の特徴として、思春期まであまり目立たないことや社会性の乏しさも男性より症状がでないことが挙げられるようです。

年代別でも異なってくるようなので以下具体的にみていきましょう!

幼児期

・目が合いにくい
・感覚過敏がある
・自分の世界でのごっこ遊びはできるため、アスペルガー症候群の典型例には見えない
検査しても、診断されない場合がある

小学生時代

・おしゃべりのように見えて、実際は会話がすれ違い、友達が増えにくい
・目が合いにくい、感覚過敏があることに加えて、徐々に女子のグループに入れないことが目立ってくる

中学・高校生時代

・体調不良が目立ちはじめる
・思春期に入ると、女子のグループに入れないだけでなく男子との付き合いが苦手
・家族や友達など親しい人から、女性らしさの不足を指摘される

大学生・社会人時代

・対人関係に関する悩みも体調不良も、深刻になってくる
・不眠などの睡眠障害や月経時の不定愁訴に苦しむ
性的な被害にあってしまう場合がある

結婚・出産時

慢性的な体調不良に悩んでいる
・対人関係の悩みは、夫婦関係のこじれや、育児への戸惑いへとつながることが多い
・子どもが発達障害を疑い診断を受けることで、自身の特性に気づく場合も多い

主な体調不良

女性のアスペルガー症候群の場合には、体調不良が主な悩みとなるようです。特に多い症状としては、

・睡眠障害(不眠・寝起きの悪さ)
・吐き気、腹痛、便秘、下痢
・朝起き上がれないほどの疲労感
・原因不明の発熱
・月経前症候群が重くなりやすい

など。

自律神経失調症おような身体症状が起こりやすく、またこだわりの強さから“摂食障害”になるケースも少なくないようです。


「アスペルガー症候群の特徴」や「女性特有の悩み」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

アスペルガー症候群はなかなか周囲に気付かれないのも特徴で、周囲から煙たがられることも多いと言われています。

最近では以前に比べ耳にすることも増えましたが、それでも偏見は存在し生活しやすい環境とは言えないようです。

互いに生活しやすい環境を築いていくためにも、もっと理解を深めていく必要がありそうですね。

(パピマミ編集部/笠原)

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