もしやネグレクト? “放置子”の特徴と見かけたときの対処法

【ママからのご相談】
数週間前の休日、年少になる娘と近所の公園で遊んでいると、「一緒に遊ぼー」と女の子がやってきました。小学校低学年くらいの子です。

最初は楽しく遊んだのですが、その子から変な匂いがするのに気付きました。

よくよく見てみれば、髪の毛もお風呂に入っていない感じで、服も洗ってもらっているのか疑わしい様子です。

「おばちゃんのおうちはどこなの?」と聞かれたのでつい教えてしまったら、次の日から毎日のように家にやってくるようになりました。

子ども相手だからむげにもできず、強く言えない私も悪いのですが、正直面倒くさいと感じています。

毎日のように来るその子を見て思ったのですが、いわゆる“放置子”のようです。

体に傷など虐待の跡はないようですが、あまりにもガリガリに痩せているし、休みの日などは朝かなり早く(7時台に)やってきたり、結構夕方遅くまで家に居座っていたりもします(門限が無い?)。

私も自分の子育てに手一杯なので深く関わりたくないのですが、その子がかわいそうにも感じます。

「今後関わらないようにするべきなのかも……」という思いと「なんとかしてあげたい!」という思いで悩んでいます。

a 放置子、ネグレクトも立派な虐待です

ご相談ありがとうございます。ママライターの木村華子です。

“放置子”とは、その名の通り親から放置されている子どもを指すネットスラングです。育児放棄されていることも多く、ネグレクトの被害にあっていることが懸念されます。

“虐待”と聞けば、子どもに身体的な暴力を振るったり、性的な行為に及んだり……といったイメージを持たれがちですが、厚生労働省は虐待の定義を、

・身体的虐待
・性的虐待
・ネグレクト
・心理的虐待

の4つに分類していますので、相談者様が遭遇している女の子のケースも虐待に当てはまる可能性が考えられます。

今回は、放置子を見つけたときの対処法について考えてみましょう。

放置子に向けられるネガティブな印象

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上にも書きました通り、“放置子”というキーワードはネットから発祥した言葉です。そのためか、インターネットで“放置子”と検索すれば、実にさまざまな体験談やエピソードがヒットします。

意外にもたくさんのママが遭遇している放置子なのですが、その内の多くは、「放置子に関わるとデメリットが多いから、早めに関わりを絶った方が良い」といったネガティブな意見です。

放置子に関わることで発生しうるデメリットには、以下のようなものがあります。

・放置子の親に注意しようとしても、親が非常識なケースが多く、トラブルにつながる恐れがある(放置の原因に母親の浮気が関係していることも……)

・放置子は、子どもよりも大人(ママ)にかまってほしいのか、とにかく人懐っこい。粘着されると毎日でも訪れる

・家に上げると、お菓子やジュースなど食べ物をもらおうとする。勝手に冷蔵庫を開けられる

・小学校高学年になってくると、放置子本人の人格も過激になってくる。同情ができない

このような理由から、ネグレクトの被害者かもしれない子どもたちがうっとうしがられている現状があるようです。

確かに、ご自身のお子様を育児中のママにとって、他の子どものことまで心配をする余裕は少ないかもしれません。

しかし、育児をしているママだからこそ、放置子を拒否してしまう自分へ罪悪感や嫌悪感を抱いてしまうこともあるのではないでしょうか。

もしも自分にできる範囲の行動があるのであれば、してあげたい、してあげるべきだと思いませんか?

“放置子”と“鍵っ子”の違い

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放置子の問題を語るとき、人によっては「鍵っ子と同じなのでは?」という意見を持つこともあると思います。

たしかに、一昔前によく見られた“鍵っ子”は、親の十分な保護を受けていないという点において、放置子とよく似ています。

しかし、具体的に考えていくと放置子と鍵っ子の間には微妙なニュアンスの違いがあることが分かると思います。

鍵っ子は高度経済成長期に多く見られましたが、これは共働き世帯の増加とともに増えていったと言われています。

そこには、“どうしても預け先が見つからないから”というやむを得ない事情がありました。

つまり、“本当は子どもと一緒にいたいけど、仕事のせいで一緒にいられない”という家庭が多かったのです。

一方、現代において“放置子”と呼ばれる子どもたちは、どちらかというと“子どもと一緒にいたくないから放置している”というネグレクト的要因が強いとされています。

本当はきちんと子どもの世話ができるのに、親がその努力をしていないケースが多いのです。

前者は“親の愛情をきちんと受けているけど、一人で過ごしている子”ですが、後者は“親の愛情を受けられず、一人で過ごしている子”という風に分類してもいいかもしれません。

そう考えると両者の根本の問題が大きく異なるため、放置子と鍵っ子を安易に同一視することは避けた方がいいでしょう。

放置子の特徴6つ

放置子

(1)清潔感がない

放置子の多くは親に満足に世話されていない傾向にあり、いつも清潔感がないという特徴があります。

たとえば、

・髪がぼさぼさ
・服が汚れている
・体臭が強い
・靴がボロボロ

など一目で“まともに育てられていない”と感じる容姿をしていることもあります。

(2)甘え上手

親から放置されて育っている子どもは、常に“親代わり”となる大人を探しています。

少しでも親切にされると一気に心を許し、とても喜びます。その様子はとてもかわいらしく、甘え上手であることが多いようです。

大人たちはただでさえ放置子に対して「かわいそう」という同情の気持ちがありますから、思わず気を許して家に招き入れ、後々大変なことになるケースも少なくありません。

(3)節度を知らない

一度家に上げてしまうと、放置子はその後も毎日のように家に押し掛けてくるようになります。

普通の子どもであれば「迷惑だろうか」と考えるような状況でも、放置子はお構いなしに甘えてきます。

自分の家に“居場所”がない放置子にとって、自分を受け入れてくれる家庭は温かくて心地よいものなのです。

そのうちまるで自分の家のように振る舞いはじめ、勝手に冷蔵庫の中の食べ物を漁ったりするようになることもあります。

これは放置子自身に問題があるのではなく、「他人に迷惑をかけてはいけない」という教育を親からなされなかったことに起因すると言われています。

(4)弱いものいじめをする

放置子の中には、自分よりも立場の弱い子どもや動物に対して弱いものいじめをする子もいます。

放置子が弱いものいじめをする原因にはいろいろありますが、虐待を受けている子どもであれば、自分が普段やられていることを他人にすることでストレスを発散しているという見方もできます。

また、“かまってほしい”という欲求から注目を集めるために行っているのではないかという指摘もあります。

(5)暴力的

放置子は親からの愛情に飢えているため、誰に対しても“かまってほしい”という強い欲求があります

しかし、周囲の人から面倒くさがられたり邪険にされたりすると、感情をコントロールできずに暴力を振るうケースが多いようです。

これは、まだ幼い放置子は“悲しい”という感情を上手に言葉で表現することができず、他者に伝わりやすい“暴力”という手段を用いて気を引こうとしているのだと考えられます。

(6)夜中に一人でウロウロしている

親から見放されてしまった放置子は、子どもが普通出歩かないような時間帯に一人でウロウロしていることがあります。

幼い子どもの深夜徘徊はとても危険で、女の子の場合は子どもを狙った犯罪に巻き込まれる可能性がとても高くなります。

放置子になってしまう理由

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放置子になってしまう理由には、さまざまな要因があります。そのなかでも大きな割合を占めるのが、“親からのネグレクト”でしょう。

望まない妊娠だっために愛情を持てない、自分もネグレクトされて育ってきたために正しい接し方が分からない、などの理由によって育児放棄されてしまうのです。

また、ネグレクトには親の貧困や発達障害、精神疾患なども関係しており、一概に悪意のもとで行われているものだとは言いきれません。

若年層の貧困化や地域社会の疎遠化、待機児童問題など社会的な背景も大きく影響しています。

放置子はある意味、現代のひずみを象徴している存在とも言えます。

放置子を見かけたときの対処法

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もしも放置されていると思われる子どもを見かけたら、公的機関に通告することを考えてみてください。

『児童虐待の防止等に関する法律第6条』では、“児童虐待を受けたと思われる児童を発見したものは、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない”と義務付けています。

もしも、「この子、放置子かな? ネグレクトされてる?」と感じたら、

・児童相談所全国共通ダイヤル……189(いち・はや・く)

に問い合わせましょう。最寄りの児童相談所につながります。

通告は匿名でも可能ですし、実名で通告したとしても誰が通告したかを知らされることはありません。

また、もしも本当は虐待がなかった場合、つまり間違った通告であったとしても、それによって罰せられることもありません。

「わたしが通告したことがばれて、ご近所でトラブルを起こしたくない……」
「もしも虐待されていなかったら、迷惑をかけてしまうことになるかも……」

と心配される方も多いでしょうが、通告者のプライバシーはきちんと保護されているので、安心してください。

放置子に困ったエピソード3選

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(1)お金や物を盗む

『うちのマンションには放置子がいます。その子はなぜかやたらと同じマンションの友達の家で遊びたいと言いだすらしく、毎日違う友達の家で遊んでいました。

ある日、その子が息子や他の友達と一緒に私の家へやってきました。他の子の親からは「ごめんねー」みたいな連絡がありましたが、その子の親からは何もなし。

仕方なく遊ばせていたら、物を投げたり障子の紙を破ったりとやりたい放題。思わず怒って返したら、子どものオモチャがいくつかなくなっていることが判明。後から聞いたら、他の家でもお金や物を盗みまくっていたそうです』(40代ママ)

放置子を家に招いたばかりにさまざまなトラブルに巻き込まれたというのは、よくある話のようです。

放置子は普通の子どもと違って親から“マナー”を習っていないことが多いので、こちらの常識は通用しません。

もし放置子が押し掛けてきても、「ごめんね、ご両親から報告のない子どもは家に入れてあげられないの」などと断るようにしましょう。

(2)子どもがケガさせられた

『公園で子どもと遊んでいたら、身なりがボロボロのいかにも放置子って感じの子が話しかけてきました。どうやら娘と一緒に遊びたいらしく、手をつなぎたいと言ってきました。

正直汚かったので娘に触らせたくなかったのですが、断るのもかわいそうなのでOKしました。すると、手をつないだ瞬間に娘をぶんぶん振り回してしまいには転ばせてしまいました。

その放置子は悪びれる様子もなく、そのままどこかへ行ってしまいました』(30代ママ)

放置子は比較的攻撃的な傾向にあり、周囲の子どもに乱暴することもしばしばあるようです。

子どもと遊んでいるときに放置子を見かけたら少し離れて様子を見てみるのもいいかもしれません。

(3)親が非常識すぎる

『これは放置子っていうか、その親の話なんですけど。顔見知りの放置子(息子の同級生)が家の中に勝手に入って食べ物を漁っていたから、すぐにその子の家に行って親に事情を説明しました。

すると、パジャマ姿で母親が出てきて「パンぐらいいいじゃん」「いくら払えばいいわけ?」と逆にキレてきました。この親にしてこの子あり、と強く思いましたね』(30代ママ)

普通、子どもが悪さをすればその親が叱るものですが、放置子の親の中にはまともに取り合わない人もいるようです。

そのため、放置子に悩まされている場合はその親ではなく、学校や児童相談所などに連絡するのが効果的です。

まとめ

「放置子の特徴」や「放置子に困ったエピソード」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

放置子は素行が悪く迷惑をかけがちな傾向にありますが、彼ら自身は望んでそうなっているわけではありません。

迷惑行為の裏には「かまってほしい」という普通の子どもと変わらない純粋な感情があります。そのことに気づいて邪険に扱えない人もいるでしょう。

そんな場合でも、深入りしてはいけません。一生面倒を見られる覚悟があるなら構いませんが、中途半端に深入りすればその子を取り巻く環境を壊して悪化させる可能性もあるからです。

もしも放置子を見かけたら、公的機関に問い合わせてみましょう。どうすれば放置子を救えるのか、それは専門家が一番よく知っているからです。

目先の感情にとらわれず、その子にとって何が最善になるのかを考えるようにしたいですね。

【参考リンク】
第3章 通告・相談への対応 | 厚生労働省

●ライター/木村華子(ママライター)
●追記/パピマミ編集部

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