カラオケで治る!? プチうつ病は“音楽療法”で改善できるか

【男性からのご相談】
50代。早期定年後の再雇用で長年勤めた総合商社の子会社の役員を仰せつかっています。最近、仕事をしていると体が鉛のように重く、休日にゆっくり休んでも疲れが取れないため、男性更年期障害を疑って病院の専門外来を受診したところ、血中の男性ホルモン値は正常で、更年期障害ではないことが判明しました。そこで次に心療内科で診てもらうと、「プチうつ病です。ホルモン補充療法などは必要ありません。音楽療法などが有効です」と言われ、医師に紹介された音楽療法士さんの指導のもと、若いころ好きだったフォークソングを、患者仲間の皆さんと一緒に歌うようになったら、数か月ですっかりよくなりました。

厳密な意味での“医療行為”ではなくても、私のように音楽療法で良くなる人は多いのでしょうか?

a プチうつ病には精神神経科的な薬物療法もとられますが、音楽療法などの代替医療で“治った”という事実を、多くの医師が認めています。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

中高年の心身の不調というと、最近は女性のみならず男性も、まず“更年期障害”を疑えといった風潮があるように見えます。しかし、更年期障害の原因は“性ホルモン”の減少であり、症状が似ているように見えても、ドーパミンなどの“神経伝達物質”の減少が原因の1つと考えられている“うつ病”・“プチうつ病”とは違う病気です。

原因が違うので治療法も異なり、男性更年期障害の改善には男性ホルモンの補充が有効です。一方、プチうつ病には薬物療法もとられますが、医学的なエビデンス(根拠)はともかく、音楽療法のような“代替医療”で治ったという患者さんが大勢存在することを多くの医師や看護師たちが認めており、この事実を軽んじることはできません。

ここでは、ご相談者様の“プチうつ病”に関して、都内で心療内科クリニックを開業する医師と、神奈川県在住の音楽療法士の方によるお話に基づいて、代替医療の効果のほどについて考えてみたいと思います。

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音楽療法はエビデンスを集積している段階ですが、大切なことは“音楽療法で治った”という事実

『最初に更年期障害を疑って男性更年期専門外来を受診されたこと自体は、間違いではないと思います。男性の更年期障害の原因は“男性ホルモン(テストステロン)の血中量が減少すること”であるため、“血中の男性ホルモン値が正常である”と明らかになれば、保険が適用されないテストステロン補充療法をうけて高額な治療費を請求されることもないからです。

一方、ご相談者様がそのように診断されたという“プチうつ病”ですが、うつ病に比べて、症状が軽いだけでなく、うつ状態の時間が短いものをいいます。女性に多い病気ですが、男性の場合は、サラリーマンでいう“定年”や“早期定年”の年齢に目立って見られます。うつ病と違って、少し頑張れば仕事や日常生活が普通にこなせるため、うつ病のようには薬物療法を用いないことも多く、心療内科の医師によく話を聴いてもらう、医師の判断に基づいて副作用のない音楽療法のような代替医療(現代西洋医学の領域において科学的に未検証な医療体系のこと)を受ける、などの方法が推奨される傾向にあります。同じように代替医療といえるアロマテラピーが、「現代医療と併用する場合、正しい知識をもった専門医の指導下でないと逆効果である」との報告が増加していることもあり、安心感を持って始められるのも音楽療法のいい点だということができます。

この音楽療法ですが、現在、わが国ではその医学的根拠(エビデンス)を集積中の分野であり、国家資格はありません。ただし、日本音楽療法学会という団体が認定している『音楽療法士(Music Therapist=MT)』は、資格に相応の社会的信頼性が定着しています。そして、このMTの指導下で行われる音楽療法で、たくさんのプチうつ病患者が“治った”という事実を、相当数の現場の医師たちが認めているのです。私自身も精神神経科・心療内科の医師として、音楽療法のエビデンスの確立に寄与したいと願ってます。同時に、“エビデンスはともかくとして、プチうつ病の患者さんの多くが音楽療法で治っている”という事実を重要視したいと考えています』(50代女性/都内心療内科クリニック院長・心療内科、精神神経科医師)

1960年代~70年代のフォークソングは、音楽療法の必須楽曲の宝庫

『ご相談者様は現在50代ということですから、若いころ好きだったフォークソングというと、主に1960年代から70年代にかけて流行した楽曲が中心かと思います。実は、この時代の和製フォークソングは音楽療法の必須楽曲の宝庫なのです。中でも九州大学名誉教授の北山修先生が作詞された楽曲の数々は、聴いて癒される“受動的音楽療法”のみならず、歌い演奏することで積極的に関わる“能動的音楽療法”の分野で多用されています。「落ち込んだときに無理に明るくなろうとせず、悲しい今や過去を、それはそれとして認め、そこばかり見ていても仕方ないと割り切って決別する」、そんな姿勢が、具体的な“ことば”として表現されているのです』(40代女性/神奈川県在住・音楽療法士)


いかがでしたでしょうか。前出の心療内科クリニック院長によれば、うつ病の患者に、「頑張れ」という激励の言葉は禁物であるものの、プチうつ病の患者には有効なのだそうです。

プチうつ病の患者は、体が重いなどの身体的症状はあるものの、精神的な抑うつのレベルはうつ病ほどでないため、むしろ少し頑張って社会との関わりを持つようにした方が“生きがい”を得られる、というのがその理由だそうです。

社会との関わりを持つ上で、引きずっていても仕方のない“過去”と決別する際に、北山修先生の楽曲に表れているような“割り切り”の促しが効果的だというのが、神奈川県在住の音楽療法士さんの見解です。

ご相談者様の場合は、担当の音楽療法士さんが“能動的音楽療法”を選択されたことによって、患者仲間の皆さんと一緒に声を出して歌ったこともよかったと思います。この際、音楽療法のプログラムがいったん全て終了したあとも、親しいお仲間の人たちとカラオケに行かれたりして、楽しみで歌うことを続けられてはいかがでしょうか。

現時点で「医療行為」として認められていなくても、ご相談者様のプチうつ病が音楽療法でよくなったことは紛れもない事実なのですから、その経験をこれからの人生に活かさない手はないと思います。

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【参考文献】
・『音楽療法の必須100曲・ノスタルジー編』菅田文子・著

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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