団塊ジュニアも70代に! 子どもの進路にオススメしたい仕事分野2つ

【パパからのご相談】
40代の、税理士です。中学生の息子が将来の進路について考えはじめているようなのですが、彼が今の私の年齢になる2045年頃の世の中がどうなっているかイメージできず、気の利いたアドバイスをしてやることができません。

私自身は父親の跡を継いで税理士になり、譲り受けたお得意先も多かったおかげでこれまでは何とかやってこれました。しかし、昨今は私が開業している地域でも税理士の主なお得意先である中小零細の工場や商店が一軒また一軒と廃業しており、「税理士の仕事を継ぐといい」などと息子に軽々しくは言えません。

30年後の2045年、私たちが暮らす社会はどのようになっているのでしょうか。息子はそこでどんな仕事に就いたらいいのでしょうか。

a 将来のことは誰にも予測できませんが、必要性が高まっている分野はあります。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

正直に申しまして、30年後の世の中がどうなっているのかという問題に対して明確な答えを出すことは私にもできません。ましてや30年後の2045年といえば、「これまでの人類の傾向に基づいた人類技術の進歩予測は通用しなくなる」とされる“技術的特異点”の年でもあります。

簡単に言えば、「人工知能が人間を超える年」ということであり、これを“2045年問題”と呼ぶ場合もあります。ただし、“必要性が高まっている分野”ということであれば、いくつかの例をお示しすることは可能かもしれません。

記述にあたっては医療社会学にも詳しい、都内で内科・心療内科クリニックを開業する医師にうかがった話を参考にさせていただいております。

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30年後に必要性が高まる分野2つ

高齢者が生き甲斐を持つことをサポートする分野

『30年後のわが国が人類史上に例を見ないスケールの“超高齢化社会”になっていることだけは、避けて通ることができません。2045年といえば団塊ジュニアも70歳~74歳となり、日本中が高齢者だらけの社会になっています。ただし、そのこと自体はもうかなり以前から認識され、それに向けた対策も打たれてきているため、労働人口が激減した中にあっても医療介護に従事する人(医師・歯科医師・看護師・准看護師・薬剤師・介護福祉士・精神保健福祉士・社会福祉士・訪問介護員・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)は激増していきます。

ただし、そういった職に就いている人がこれまで同様に日本人が中心かというとそうではなく、資格の取得がより容易な分野であればあるほど海外から招き入れた労働者の方々が就いている可能性が高いです。医療介護従事者が激増する一方で、従来の医療介護従事者にはそこまで求められていなかった役割が高まっていきます。“高齢者に生き甲斐を持たせる”役割がそれです。そしてこの役割は、“人工知能にとっても難しい”残された分野でもあります。30年後の後期高齢者と言えば今の私たちのような世代の人たちですので、「ただ、生かされている」だけでは納得しない場合が多いのではないでしょうか。

30年後の介護の現場では、高齢者が“生き甲斐”を確認することをサポートするような活動が、職業として成立している可能性があります。例えて言えば、“自叙伝執筆代行業”などがそうです。また、「昔、こんな物があったんだけど」といった高齢者が語る記憶をもとにして、今はどこにも存在しなくなった物(家具でも置物でも装飾品でも)のデータを3次元数値化し、懐かしい物のレプリカを再現・製造する“3Dプリンタ屋”なども繁盛している可能性があります。高齢者の“食事”や“入浴”などをお手伝いする従来の介護関連職とは違い、高齢者の“こころの健康”をサポートしてさしあげる分野の仕事が具体的なものとして成立していることでしょう』(50代女性/都内内科心療内科クリニック院長・医師)

私たちならではの感性が活きる「文化」創造分野

総務省統計局の資料によれば、2014年(平成26年)時点でわが国の労働力人口6,587万人に占める第3次産業(サービス業)従事者の割合は71.6%と、すでに7割を超えています。ちなみに第1次産業(農林水産業)従事者の割合は3.7%で第2次産業(工業・製造業)従事者の割合は24.8%でした。

普通に考えれば、30年後のわが国では国内で製造業に就業している人は、ほんの一握りのグローバル・テクノクラートだけ。農業従事者の割合に至っては1%も割り込み、日本国内で働く人の80%~90%はサービス業従事者という状態になっているかと思います。

“国内にある仕事はサービス業ばっかり”にもかかわらず、人口が減り、現役世代が総人口の半分以下のレベルをどんどん割り込んで行っている状況では、小売業や卸売業、飲食業などの“日常生活に密着した仕事”は人件費の高騰を抑えることが各社共通の死活の問題になっているため、ここにおいてもやはり、海外から招き入れた労働者の方々が中心となって働いている状況が予想されます。

海外から来られた方々と無益な競争を避け、合理性では人間がかなわなくなった人工知能たちとの社会的分業を実現するためには、私たちは“仕事をする”ということに関して発想を転換する必要があるのかもしれません。

日本総研調査部主席研究員の藻谷浩介氏は、『日本は徹頭徹尾“マネー資本主義”のアメリカ合衆国(以下、「合衆国」)や、世界の工場たる“アジア・アフリカ諸国”の真似をするのではなく、資源もないのにわが国に対して貿易黒字を出しているイタリアやフランスといった国々を参考にした方がいい』という趣旨の指摘をしています。

藻谷氏によればイタリア人もフランス人も日本人みたいにあくせく働いてるわけではないのに、“ブランド衣料品”や“宝飾品”、郊外や田舎で作られた“ワイン”や“チーズ”や“パスタ”・“オリーブオイル”などを私たちに売り込んで、貿易黒字を出している。しかもこういった商品群は今絶頂のITやハイテクがコア技術というわけでもなく、デザインと食文化を売っている。日本に向いているのは、むしろこのような生き方なのではないか、という趣旨の指摘です。

この藻谷氏が指摘するような考え方は、わが国の工業製品が今では以前ほど世界で認知されていないにもかかわらず、“宮崎アニメ”や“寿司”“しゃぶしゃぶ”“天麩羅”などの和食が世界中のいたるところで「Fantastic!」「Cool!」と絶賛されていることを考えると、一定程度的を射ているような気がいたします。

それでは、私たちならではの感性が活きる“文化”創造分野の仕事を具体的に挙げてみましょう。

(1)職人……盆栽職人・江戸切子細工職人・包丁職人・(ランドセルなどの)革製品職人など
(2)自然環境や食品を扱う熟練技能職……造園師・日本料理の調理師など
(3)(1)や(2)を総指揮できるプロデューサー
(4)(1)や(2)をトータルに売り込めるグローバル営業マン
(5)技術者としては立場が逆転した人工知能たちがやった仕事の責任を取る管理職
(6)医師・薬剤師はじめとするメディカル関連でクリエイティブ・パワーが高い研究職
(7)日本を含む複数の国の資格を持ち、法概念の地域による違いに精通した弁護士
(8)元々は外国のものだった料理を(ラーメンのように)発展的に日本料理にする仕事
(9)(人工知能に描けない絵を描く)絵描き・イラストレーター・アニメーター

「自分が“文化大国”を支える一人だ」と誰もが思える健康な社会を

『前出の藻谷氏は、近年の合衆国における医療産業の成長について触れ、次のような趣旨のことを述べています。(2014年の時点で)合衆国においては国民1人あたりの医療費が日本の約3倍もかかっている。理由はもちろん、日本にも熱心に呼びかけている“自由化された医療”の推進で、一般の庶民には受けることができないような高額の高度医療に医療機関が力を入れるため、2014年現在GDPの17%を医療関係が占めているような状況です。これは“間違った成長”“悪い成長”の典型例であって、医療費がかさむことで経済は大きく成長はするけれど、普通の人々に無縁なものばかりが発達する経済成長は本末が転倒した話である、という趣旨の見解です。

本末転倒したGDPの成長などは長続きしませんが、“文化をその時代風にクリエイトして商品化し、それを国内はもちろんのこと世界中の人たちに伝える仕事”は、広くわれわれ庶民の生活感情に根ざしていますから、30年後にもきっとその時代ならではの輝きを放っていることと思われます。私たちの一人ひとりが“文化大国”を支えている一員なのだと誰もが感じられるような“健康な社会”を構築することが、30年後の後期高齢者であるわれわれの務めなのではないでしょうか』(50代女性/前出・内科心療内科医師)


終わりに、ご相談者さまに申し上げたいのですが、税理士のお仕事も上に挙げたようなクリエイターたちに財務や商法に関する知識の面でアドバイスができるコンサルタント的なものであれば、息子さんたちの時代に必要性が大きく高まっていることが考えられますので、息子さんの進路選択の際に参考にしていただければと思います。

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●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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