アスリートに多い? 靭帯損傷の治療に効果的な“RICE処置”とは

【男性からのご相談】
最近スポーツ選手が靭帯損傷という記事をよく見かけます。自分は経験したことがないのですが、やはり大ケガなのでしょうか?
そもそも靭帯についてよく知らないので、教えてください。

a 靭帯(じんたい)とは骨と骨とをつないで離れないようにしている、筋状の結合組織のことです。

ご相談ありがとうございます。理学療法士のOHSAWAです。

靭帯は皆さんの体にあるものですが、骨や筋肉に比べて知識が乏しいものですよね。今回は靭帯のことと、靭帯を損傷してしまった後の対処法などをご説明させていただききます。

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靭帯とは

靭帯とは骨と骨とをつないで離れないようにしている、筋状の結合組織のことです。

薄くて硬い丈夫なゴムのようなもので、筋肉のように自由に伸び縮みする伸縮性はありません。関節を安定させるだけでなく、動きも制御する働きももっています。

靭帯の損傷とはどういうことか

スポーツや事故などで強い負荷がかかったときに、靭帯の一部が傷つき裂けたり破けてしまったものです。

例えば、足首を捻ってしまい、痛みはあるものの明らかな損傷が見られない場合は、皆さん経験のある“捻挫”と診断されることが多くあります。

一部のみの損傷であれば部分断裂と呼ばれることが多く、最近ではレンジャースのダルビッシュ投手が右肘の“内側側副靭帯の部分断裂”との報道がありました。

また、接触型のスポーツで起こりやすい膝の“前十字靭帯損傷”は、大相撲の遠藤関が先日受傷してしまいましたよね。靭帯は損傷の程度により、重症度が変わってくるようです。

では次に靭帯を損傷した後の治療法をご紹介していきます。

靭帯損傷の治療

損傷の軽度である捻挫であれば、即座にRICE処置を適切に行うことが重要です。RICEとはそれぞれの頭文字をとった治療方法とその順序を表しています。

【RICE処置】
R:rest(安静)……炎症を抑えるために患部を安静にします
I:ice(冷却)……氷嚢やアイスパッグなどで患部を冷やし炎症を抑えます
C:compression(圧迫)……腫れを防ぐために患部を圧迫します
E:elevation(拳上)……心臓より高く患部を拳上し、血流のうっ滞を防ぎます

中等度以上の靭帯損傷の治療は、症状の重さに応じて“手術”と、手術をしない“保存療法”に分かれます。

損傷の程度が軽度であったり、ケガからあまり時間が経っていない状態であれば、ギプスやサポーターなどで固定する保存療法を行い、安静にしていればほぼ治ります。

手術が必要になるのは靭帯が完全に切れた“靱帯断裂”、複数の靭帯が損傷したり、半月板などの周辺組織も損傷しているような“複合損傷”です。

靭帯は完全に切れると自然に再生することはありません。よって手術は他の部位の腱を切り取って、切れた靭帯の代わりにする“靭帯再腱手術”が行われます。

再腱手術を行った後は長いリハビリが必要になるため、プロスポーツ選手や事故などにより複数の靱帯断裂がある場合や、合併症により保存療法では歩くのも難しいような人、などが対象となります。

ちなみにダルビッシュ投手の肘の靭帯は完全に切れたわけではありませんが、今後完全断裂してしまうリスクなどを考慮して“靭帯再腱手術”を選択したそうです。

しかし、靭帯が断裂しても、患部をしっかり固定しつつ周辺の筋肉を鍛えることで、日常生活や軽めのスポーツ程度なら問題なくできるようになるようですよ。

損傷の程度に関わらず、早めの対処は大切ですので、ぜひRICEは覚えておいて実践してみてくださいね。

●ライター/OHSAWA(理学療法士)

編集部追記

今回のコラムでは、靭帯損傷について、「損傷の程度に関わらず、早めに対処しましょう」という視点でアドバイスをいただきました。

「靭帯損傷」について、一般的にはどう言われているのか、編集部でまとめてみました。

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靭帯はどこにある?

靭帯とは、すじ状の結合組織で骨と骨とをつなぎ関節を形作っています。主成分はコラーゲン。薄く硬い丈夫なゴムのようなもので関節の可動域を制限する働きがあります。

人間の体には主として頚椎にたくさんの靭帯が複雑に存在しています。

これらの靭帯が外力などによって損傷を受けた場合、その状態を『靭帯損傷』と言います。

またこの靭帯が完全に切れてしまうと『靭帯断裂』となり、場合によっては手術が必要なケースもあるようです。

最も多いと言われる“膝靭帯損傷”とは?

“膝靭帯損傷”はスポーツ選手に多く、ニュースなどで耳にしたことがある方も少なくないのではないでしょうか?

膝の靭帯は、関節の前側と後側、内側、外側に、それぞれ

・前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)
・後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)
・内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)
・外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)

の4本があります。前述の通りこれらの靭帯に大きな外力が作用し損傷してしまうと、『靭帯損傷』。

1本の結合組織が完全に断裂してしまった場合は『靭帯断裂』と診断されます。損傷頻度としては“前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)”が高いそうです。

主な原因

“膝靭帯損傷”はスポーツ中での受傷が多いようです。

中でも“前十字靭帯”の損傷が多く、傾向としては、ジャンプの着地時に膝をひねる動作(膝の方向が内側に入る動き)やピボット動作で、靱帯が損傷されやすいとされているようです。

代表的なスポーツとしては、スキー、バスケットボール、サッカー、ラグビー、バレーボールなどで、『非接触損傷』と大きな外力を受ける『接触損傷』に分けられるようです。

主な症状

前十字靱帯には大きく分けて、“関節の安定性を保つ働き”と“関節の位置覚を司る”2つの役割があります。

この靭帯を損傷してしまうと、膝がガクッとなったり、ずれた感じが起こります。

また、受傷時には、「プチッ」と断裂音がするようです。主な症状としては“不安定感”が挙げられるようです。

受傷してから次第に腫れが目立つようですが、1か月が経つと痛みは落ち着き普段通りの生活が送れるようになるようです。

しかし一時的な炎症が治まっただけなので、油断は禁物です。

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放置すると“半月板損傷(断裂)”の可能性も!

上記の症状(膝くずれや不安定感)が続くと内側半月板(関節のクッション)が擦り切れてきます。

それによって半月板損傷(断裂)が合併し、半月板を切除しなければならなくなることも頻繁に起きているようです。

それだけではなく、関節表面の軟骨が削れて行きます。

“不安定感”を感じたら、治療の必要があるので早めに病院で診てもらいましょう!

放置し続けると、曲げる角度によっては痛みがずっと残ってしまったり、正座ができなくなってしまうようです。

後遺症を残さなためにも、症状がある場合は適切な処置をしてもらいましょう。

治療法

状態にもよりますが、靭帯が“少し切れた”程度であれば『保存療法』が行なわれ、靭帯に負担がかからない角度でギブスなどで固定をし自然にくっつくのを待ちます。

1か月もあれば改善されるようです。

一方、完全に断裂してしまった場合は、『保存療法』または『手術』が行なわれます。切断面が近く経過次第でくつっきそうと判断されれば『保存療法』。

難しい場合は『手術』によって、靭帯縫合や再建(切れた靭帯を除き腱を移植)術が行なわれます。

傷口はどのくらい残る?

膝のお皿の下方の両脇に約1cmほどの傷跡が2か所。脛骨(けいこつ)に約3cmほどの傷跡が1か所残ります。

同時に半月板の縫合術も行なう場合は他に4cmほどの傷跡がつく場合があります。

再建手術をしなかったらどうなる?

スポーツを続けていると、繰り返し“膝くずれ”を起こしてしまうようです。

筋力が回復しても改善されないことが多いため、アスリートの場合は復帰するために再建手術を行なうようです。

リハビリ方法

靭帯が安定してきたら固定を外しリハビリを行います。リハビリポイントとしては、

移植した腱に余計な負荷を与えないようにしながら、本来の機能を回復させること
・関節周辺の筋力を極力保ち続けること
・アスリートの場合は、その運動能力を落とさないようにすること

が挙げられるそうです。そして具体的には、

【手術直後〜2、3か月】
……鎮痛処置、関節可動域・膝周りの筋力の回復

【術後2〜5、6か月】
……バランス能力、膝周りの筋力強化、神経・筋強調運動の獲得

【術後3〜10か月】
……アジリティー、スキルアップ、再受傷の予防

など。病院によってメニューは異なるようですが、完全なるスポーツ復帰までには早くても半年。遅くても1年を要するのが一般的なようです。

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日頃から心がけたい予防法

まずは、筋トレとストレッチ! 筋力の柔軟性を高めておくことが必要なようです。

【筋トレ】
腹筋・背筋・大腿四頭筋・ハムストリングス(ひざを曲げたり太ももを後ろに蹴り出したりするときに働く筋肉)などを主に、体幹と太ももを鍛えることが大切なようです。

【ストレッチ】
ポイントは、“膝が内側を向き、つまさきが外側を向く”姿勢をとらないようにすること。足を中心にハムストリングスの柔軟性を高めることを意識することが重要なようです。

食事から回復・改善!

リハビリやストレッチでの回復・予防も大切ですが、おいしい食事からの回復法もあるようですので、ご紹介していきます。

靭帯を作るのに必要と言われる“たんぱく質”“ビタミンC”をたくさんとると早い回復が見込めるようです!

靭帯の主成分は“コラーゲン”なので、鶏皮や手羽先、牛すじなどを積極的にとるのもおすすめなようです!

コラーゲンは靭帯や骨だけではなく美容にも効果があるので、日頃から意識してみるのも良いかもしれませんね。

ここでの注意ポイントとして、何でもかんでも大量に摂取しようとしないこと。一度にたくさんとれば治りが早いというものではありません。

適度な量を適度に摂取していきましょう!


「術後のリハビリ」や「予防法」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

靭帯損傷はアスリートに多いようですが、私たちも日常生活を送る中で起きる可能性はあるようです。

激しい運動はしていない人でも、『椅子から立ち上がったら「プチッ」と切れてしまった』というケースも少なくないようです。

本格的な筋トレまではできなくても、日頃から体全体をゆっくり伸ばすストレッチを習慣づけられると予防になり良いかもしれませんね!

(パピマミ編集部/笠原)

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