妊娠高血圧症だとキケン? 母子の命に関わる病気“子癇”の症状と予防法

【ママからのご相談】
妊娠25週くらいのとき、けいれんを起こして意識を失いました。病院に行ったところ、「子癇(しかん)」と言われました。

初めて聞いたのですが、どういう病気か詳しく教えてください。

こんにちは、スチューデントドクターのひでくらてすです。ご相談ありがとうございます。

妊娠中のご病気ということで大変ご不安でしょう。『子癇』は母体だけでなく、胎児にも危険が及び、診断も治療も難しい病気です。

今回は、『子癇』の基本的な内容についてお話ししていきたいと思います。

『子癇』とは?

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子癇とは、妊娠高血圧症候群の妊婦が妊娠20週以降に初めて意識障害を伴うけいれん発作を起こした場合に診断されます(“てんかん”など二次性のけいれんは含まない)。

また、子癇は時期によって妊娠子癇、分娩子癇、産褥(さんじょく)子癇の3つに分類されます。

最も多いのは妊娠子癇ですが、重複して発生することもめずらしくありません。

発作時期によって区別される“子癇”

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子癇の分類と頻度は下記とされ、発症時期は妊娠中に起きる”妊娠子癇”がもっとも多く、次いで産褥期→分娩期の順になるようです。

・妊娠子癇:38~53%
・分娩子癇:18~36%
・産褥子癇:11~44%

子癇での死亡率として、最近では減少傾向にあるようですがそれでも母体が10〜15%、胎児が25〜40%と言われているようです。

子癇の原因と危険因子

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子癇の原因はまだはっきりとわかっていませんが、高血圧に伴う脳の浮腫が原因と考えられています。

妊娠高血圧症候群などによって高血圧が持続することで脳血管の調節機能が破綻し、血液の成分が脳の血管外へあふれだすことで脳がむくみ、脳の機能が障害されてしまうのです。

また、妊娠高血圧症候群以外にも子癇の危険因子として、10代の妊娠、初産婦、多胎妊娠(双子など)が考えられています。

子癇を引き起こす可能性がある“妊娠高血圧症候群”とは

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妊娠20週以降、分娩後12週まで血圧の上昇、または高血圧に尿タンパクを伴う症状がみられた場合、それが妊娠前から持っている症状でないとき“妊娠高血圧症候群”と診断されます。(以前は『妊娠中毒症』と言われていました)

悪化すると、“子癇(しかん)”の他、“肺水腫(はいすいしゅ)”、“常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)”、“脳出血”などの母体の生命にもかかわる症状を併発する可能性もあります。

中でも、“子癇”は最も重症とされるようです。

子癇発作では、症状によって4期に分けられ、

【第1期】……意識を失い、瞳孔が散大し、顔面の筋肉が細かくけいれん

【第2期】……全身が硬直し、からだは弓なりにそり返り、呼吸も一時停止して顔面が紫色になる

【第3期】……口から泡を吹き、全身がけいれん

【第4期】……けいれん発作はおさまるが、いびきをかいて深い昏睡状態におちいる。意識が回復する場合と、再び第2期の状態にもどり、発作をくり返す場合がある

とされています。“妊娠”“分娩”“産褥”期に妊娠高血圧症候群があり、意識喪失とけいれん発作が見られた場合、“子癇”と考えられるそうです。

前述のとおり、原因は不明で未だにはっきりしたことが分からないとされていますが、妊娠が終了すると治ってしまうケースがほとんどだそうです。

子癇発作のまえぶれとして、目の前がちらちらしたり、視野が狭まるなどの眼症状、悪心・嘔吐、胃痛などの胃症状、頭痛、めまい、耳鳴りなどの脳神経症状などがみられることがあるそうです。

少しでも違和感を感じたら早めに医師に相談することをおすすめします。

子癇の症状

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必ずというわけではありませんが、子癇の発作は“前駆症状”から始まります。具体的には頭痛や眼がチカチカするといった症状や、上腹部の痛みなどが発生します。

それらの症状が出た後、突然気を失い、口元からけいれんが始まります。

その後、けいれんは全身に至り、しばらくの昏睡状態を経た後に、突然に目を覚ます、というのが典型的な経過です。

ほとんどの場合、気を失ったことは覚えていません。

早期発見が重要な“子癇前症”とは

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子癇前症は妊娠高血圧症候群の一型。尿タンパクを伴う高血圧で、妊娠20週以降に発症します。

200人に1人の割合で血圧が非常に高くなり発作が起きるケースがあり、この状態におちいると“子癇”とされます。

早期の発見がとても重要な症状とされ、特に高年で初産の場合は注意が必要なようです。

通常の症状としては、無症候性であるか、むくみや過度の体重増加を起こすことがあるとされています。

“子癇前症”を発症しやすい人の特徴

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・初回の妊娠
・多胎妊娠
・これまでの出産で子癇前症を発症したことがある
・肥満
・高血圧や血管障害がある
・血液凝固疾患がある
・20歳未満の場合や35歳以上の場合

など、明確に解明されているものではないようですが、発症する率が少し高くなると言われているようです。

他、遺伝的素質もあるという考えもあるそうです。

高齢出産も関係してくるようですので、平均初婚年齢が上がる日本においてはもっとも注意をしなければいけなそうですね。

妊娠高血圧症候群が与える胎児への影響

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重症な場合は子宮や胎盤を流れる血液の量が減少し、胎盤のはたらきが悪くなることによって、胎児への酸素や栄養が不足してしまう可能性があります。

発育に影響をおよぼし、早産、子宮内胎児死亡、未熟児、死産などの原因になることもあり、場合によっては、後遺症を残すこともあるようです。

決定的な治療法としては、“できるだけ速やかに出産すること”であるため、状況次第では早産の時期であっても、母体の救命処置として帝王切開を行わなければならないことがあるようです。

“脳内出血”と“子癇”の症状は似ている?

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2006年、大淀町立大淀病院では“脳内出血”を“子癇”と判断し、結果母体が命を落とす事件がありました。

分娩中に母体が急変し、“いびき”、“異常肢位”“異常な高血圧”や“けいれん発作”などの症状を起こしたたため、子癇の強直性けいれんと医師は考え子癇発作をおさえる注射を打ち、転送の手配を行なったものの受け入れ先がみつかず依頼から約3時間後に搬送先の病院で帝王切開で出産。

しかし結局母体は同日に死亡するといったことが起こりました。

専門医の意見はさまざまであり、『意識を失う前に、妊娠高血圧症候群などの高血圧の所見が認めれなかったこと、さらに瞳孔異常がみられたこと、けいれん発作が続き長時間意識を失ったことから、子癇であるとは考えにくい』という一方で、『子癇と脳出血が合併した状況』という見解も。

裁判の結果、“脳出血を起こしてからの経過が急激であるため緊急の対応が可能な場合でない限り救命は困難であった。さらに対応可能な条件がそろっていたとしても救命できたかはわからない”とし、原告の請求を棄却する結果となったようです。

本件のように出産中に脳内出血を起こすことはまれなケースのため、前例がなく判断は難しいとされるようです。

しかし、前述のとおり子癇による母体の死亡率が10〜15%と命の危険性のある症状であることも事実。

妊娠高血圧症候群の中でも最も重症とされる“子癇”。

子癇発作のまえぶれがみられた際には、早急に治療が行なえる病院へ入院することが必要とされているようです。

子癇を予防するための食生活・生活習慣

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心がけることは、減塩、高タンパク、低カロリーの献立! 脂肪は植物性を中心とし、糖分も減らしましょう。

塩分摂取は1日7〜9gに抑えることが推奨されています。タンパク質も豆腐や魚を中心に脂身の少ないものをとるようにしましょう!

もちろん、心身のリラックスも重要です。ストレスは避け、十分な睡眠時間をとることも大切なようです。

子癇を発症したときの処置と予防法

子癇では母体のみならず胎児の管理も重要です。子癇によって母体が呼吸障害を起こした場合、胎児にも影響が及ぶからです。

そのため発作を起こした場合は気道の確保や酸素吸入による処置が必要になり、時には胎児の命を救うため帝王切開を行うこともあります。

また、子癇は強い光や大きな音が誘因となるので、できるだけそういった刺激を避け、安静を保ってください。

加えて、薬物療法による血圧の管理や脳の鎮静を図ることもあります。

子癇は、病院の管理技術向上により全体としては減少傾向にあります。ですが、それでも診断は簡単ではなく、母子ともに危険が及ぶ大変難しい病気です。

けいれん発作を経験した場合は速やかに産科のお医者さんに相談しましょう。

まとめ

「妊娠高血圧症候群と子癇との関係性について」や「予防のための食生活や生活環境」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

日本では、妊婦さんが妊娠高血圧症候群にかかる割合は4%程度と言われています。妊娠高血圧症候群で最も大切なことは“早期発見と早期治療”だそうです。

そのためにも、「自分は大丈夫だ」と他人事にせず、妊娠中の定期健診は必ず受診し、少しでも異変や違和感を感じたら医師に相談していきましょう。

●ライター/ひでくらてす(スチューデントドクター)
●追記/パピマミ編集部

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