地域ぐるみの子育て支援事業「ファミリーサポートセンター」とは

【ママからのご相談】
30代。小1の一人娘のママです。娘は学童クラブに入っているので放課後18時までは心配ないのですが、私が週に3日働いている地元のスーパーでの品出しアルバイトの勤務時間が、今までの11時~15時から17時~21時に、この4月から変わることになりました。勤務の間だけ娘を預かってもらえる信頼のおける場所はないものか探しています。

夫は非正規雇用の商業デザイナーで普段は20時までに帰れる日も多いのですが、繁忙期だと帰宅が23時頃になるため、いい預け先が見つからないと私が働くのは厳しそうです。働ければ家計がとても助かるので、いいお知恵をかしてください。ただ、料金の高い民間の学童などを利用するという選択肢は、わが家ではありえません。

a 厚労省所管の「ファミリー・サポート・センター」事業と市区町村の子育て支援事業を上手に利用しましょう。

ご相談ありがとうございます。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

ご相談者さまの場合は、厚生労働省が管轄している“ファミリー・サポート・センター”事業と、お住まいの市区町村が独自で行っている子育て支援事業を、上手に利用されるのがよろしいかと思います。

ファミリー・サポート・センター事業とは、乳幼児や小学生の児童をもつ勤労者が子育てと仕事を両立できるように“児童の送迎・預かり等の援助を受けることを希望する人”と“援助を行うことを希望する人”とが会員となり、調整を行って子育てを地域で相互援助する手伝いをする組織です。かつての労働省が構想して始まりましたが、実際のファミリー・サポート・センターの設立運営は各市区町村が、その地域の特性を踏まえた独自の子育て支援事業を併設する形で行っています。

ここでは、ファミリー・サポート・センター事業の理念と実態に詳しい、都内で小児科クリニックを開業する医師からお話しを聞きながら、当該事業についてご説明して行きたいと思います。

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ファミリー・サポート・センター事業は料金も支援内容も市区町村によってまちまちです

ファミリー・サポート・センターの事業は、その支援の内容も、利用者が支払う料金も、自治体(市区町村)によって異なります。たとえば同じ“東京都民”で、同じ“17時から21時までの間”だけ子どもを預かってもらいたい場合でも、○○市に住んでいる人と△△区に住んでいる人とでは受けることができるサービス(支援)も、それにかかる費用も全く違ってきますので、ここでは順を追って具体的にご紹介させていただくことにいたします。

(1)ご相談者さまが東京都の練馬区民だとしたら

ご相談者さまが東京都の練馬区にお住まいだとします。練馬区のファミリー・サポート事業では、練馬区在住の“利用会員”であれば生後58日の赤ちゃんから小学校3年生の児童まで、練馬区在住で20歳以上の、区の保育サービス講習会を終了した“援助会員”のかたに、平日1時間800円の利用料金で預かってもらうことができます(土日祝日は900円)。

ただし練馬区のファミリー・サポート事業は活動時間が7時から20時までのため、旦那さまも帰宅が遅くなる日だと、21時過ぎまで預かってもらう必要のあるご相談者さまには適しません。

この場合ご相談者さまは、練馬区が“子ども家庭支援”事業の一つとして行っている“子どもトワイライトステイ”(夜間一時保育)の制度を利用されるといいでしょう。これだと17時から22時まで区の定めた6か所の預かり施設で預かってもらえますので、安心です。対象年齢は満2歳から12歳(小学生)までで、あらかじめ親子で面接・登録が必要となるサービスです。月ごとに申し込みが必要で、費用は1回2,000円です。

学童クラブへお子さんを迎えに行っていただくこともできますが、施設から徒歩10分以上かかる場合は片道1,060円の送迎費が別にかかります。

(2)ご相談者さまが東京都の調布市民だとしたら

ご相談者さまが東京都の調布市にお住まいだとしたら、どうでしょうか。調布市在住の“依頼会員”は、講習を受けた20歳以上の“協力会員”に、6か月の赤ちゃんから小学校6年生までの子どもであれば、平日1時間700円の謝礼で預かってもらうことができます。ただ調布市の場合も活動時間は7時から19時までで、ご相談者さまの希望には沿えそうもありません。しかしよくみると調布市ファミリー・サポート・センターの案内には土日祝日に加えて“早朝及び夜間”も1時間900円の謝礼で対応可能と読める表記があるので、ここは当該センターに電話して、ざっくばらんに相談してみましょう。

ファミリー・サポート・センターの事業は、援助を提供する側の会員さん(かつて子育てを経験されたリタイア世代のかたがたも多くいらっしゃいます)のボランティア精神の上に成り立っている面がどうしてもありますので、必ずしも依頼会員の希望通りに協力会員さんが預かり業務に対応できるとは限りません。

そこで調布市でもやはり“トワイライトステイ”の制度を、市の『子ども家庭支援センター・すこやか』で設けています。市内在住の1歳6か月の赤ちゃんから小学校6年生までの子どもなら、半年ごとの登録制で17時から22時までの夜間にあずかってもらうことができます。利用料金は1日1,000円で学童などへの迎えにかかる送迎代は1日200円です。1日あたり16人という利用定員はありますが、ご相談者さまの場合でしたら早速ファミリー・サポート・センターの方へ登録して4月から可能な範囲で利用してみて、利用できる状況にムラを感じるようでしたら8月中旬のトワイライトステイの締め切りまでに会員登録しておくとよいでしょう。

ファミリー・サポート・センター事業の課題と「地域のみんなで子育て」する意義

『ファミリー・サポート・センター事業の最も大きな課題は、利用会員に対して協力会員の数が絶対的に不足している点です。援助を提供する側の会員さんは、あくまでも有償のボランティアで援助をしてくださっているのであって、それをビジネスとしているベビーシッターさんではありませんので、「お金を払うから夜間でも預かってください」というわけにはいきません。協力会員(提供会員)には家庭の主婦のかたもとても多いので、夕食の支度に追われる時間帯や旦那さまが帰ってくる時間帯に断られることは、全国的にみてもまず例外なく多いです。

「リタイア世代の協力会員さんであれば大丈夫では?」と思われるかもしれませんが、高齢になれば就寝時刻は若い人より総じて早くなりますし、肉体的に疲れがたまった夜の時間帯は、やはり断られることが多いのです。このように、依頼が集中する時間帯の提供会員さんの確保はおおむねどこの市区町村でも共通した課題となっています』(50代男性/都内小児科クリニック院長)

このような課題以外にもファミリー・サポート・センターの事業には、“事前の打ち合わせが面倒”とか“書かなければいけない書類が多くて寸暇を惜しんで働いている身としては煩わしい。会員登録にも手間がかかる”といった問題点が指摘されることが多いのは事実です。

でも、ご相談者さま。ご覧になったことがおありかどうかわかりませんが、『ALWAYS 三丁目の夕日』という映画がありました。あの映画が描いた昭和30年代前半の東京では、地域の人たちが自分の子どもも他人の子どもも関係なく、地域全体で子育てをしていましたね。もちろん2015年の今、あれをそっくり真似しようなどとは申しません。ただ、「まずは自助。自分の努力と家族の絆で乗り越えよ」と頭ごなしに言われてしまうと、私などはちょっと首をかしげてしまうのです。

努力はしているけれど、それでも生活が大変だから、頼れる家族も近くにいないから、料金の高い民間の学童などに払えるお金はないから、働いてる間だけ地域の人たちに子育ての援助をしてほしいのです。その意味では依頼する側も、少々事務手続きが煩雑でも、「面倒くさい」とか言ってないで、行政が仲立ちして地域の協力者を紹介してくれるシステムがあるわけですから、それを大いに利用すべきではないでしょうか。いってみれば“ネット時代の“三丁目の夕日”子育て”です。

『当日などの急な依頼でも、提供会員さんの都合がつくかどうかは別にして、スタッフは対応はしてくれます。一人で悩まずに、相談してみることです』(前出・都内小児科クリニック院長)

ぜひ、お住まいの市区町村の子育て支援窓口を訪ねて、4月からのことを相談してみてください。あなたと、行政のスタッフと、あなたのお子さんの笑顔を待っている協力会員の人と、“三人寄れば文殊の知恵”で、いい方法が見つかる可能性はあるかと思います。

【参考リンク】
ファミリー・サポート・センター事業について|厚生労働省

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●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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