ストリートミュージシャンの路上ライブが許可されている場所と申請先

【ママからのご相談】
18歳で大学生の息子のママです。母親に何でも話してくれる年齢ではないので本人からではなくネット動画で確認したのですが、息子は9か月ほど前からストリートミュージシャンをやっており、新宿駅や中野駅、渋谷駅付近などの路上でアコースティックギター1本で自作の曲を歌っています。親バカですが声が良く、ライブはいつもかなりの数の人達が聴いてくださっているようです。

ところが最近、夜遅く帰ってきた息子の表情が冴えないので思い切って聞いてみたら、「風当たりが強くなってきた」と言うのです。素人考えでも無許可の路上ライブが法に抵触しそうなことはわかりますが、自分の感性で快く思わないからといって若者のささやかな夢まで攻撃するのはどうかと思います。

路上ライブを合法的に堂々と行える場所があるかどうかぜひ教えてください。

a 都内でも申請すれば堂々と演奏できる場所があります

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

路上ライブ、いいですね。私もストリートミュージシャンたちの音楽を聴くのが大好きで、心に響くような歌声に出遭ったときには本当に幸せな気分になります。

これまでに何人かの有名になったシンガーソングライターたちがストリートで歌っていた時代に出遭い、話をしてきましたが、最近では新宿駅の東南口で出遭った女性シンガーで、“路上から武道館へ”という夢に向かって歌いつづけ、その夢を実現させた人が印象に残っています。

ご相談者さまがおっしゃるように、許可を得ないストリート・ライブは、道路交通法をふまえた各都道府県ごとの道路交通法規則に抵触する場合がほとんどであるため、違法行為と言えます。

ただし憲法が定めた“表現の自由”がありますので、違法だからといって全部が全部警察官から演奏の中止や撤収を強制されるわけではありません。

しかし、息子さんのように、行政そのものからのプレッシャーではなく路上ライブを快く思わない一般の通行人からの“通報”が以前より多くなってきたと感じているアーティストは、“不寛容”が増殖する昨今は確かに多いかもしれません。

今回は、路上ライブができる場所と申請方法についてお話ししていきます。

ストリートミュージシャンが路上で演奏する目的4つ

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路上ライブを行うには申請が必要とはいえ、無許可で行っている人も多いのが現状。

警察に注意される、通行人にクレームを入れられるなどのリスクを背負ってでも、路上ライブを行うのはなぜなのでしょうか。

ストリートミュージシャンが路上で演奏する目的について、ご紹介します。

(1)自分の歌・演奏を多くの人に聴いてほしい

純粋に、「自分の歌や演奏を不特定多数の人に聴いてもらいたい」という目的で路上ライブを行う人が多いようです。

(2)スカウトされたい

路上ライブをしていれば、音楽業界の関係者の耳に入る可能性も高いでしょう。

そのため、スカウトされることを目的に路上ライブを行う人も少なくないようです。

(3)宣伝

普段はライブハウスなどで活動しているミュージシャンが、ライブの集客やCDの販売など、宣伝を目的に路上ライブを行うこともあるようです。

(4)お小遣い稼ぎ

ストリートミュージシャンの多くがギターケースや空き缶を前に置き、演奏しています。通行人は、歌が良かったり気に入ったりしたら、お金をそこへ入れていきますよね。

そうした小銭でお小遣い稼ぎをするために路上ライブを行う人もいるようです。

ただ、お金をもらえるかどうかは実力によるところが大きいので、一円ももらえないということもざらにありそうです。

路上ライブの取り締まりが厳しい理由と受ける罰

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路上ライブは無許可で行えば違法となります。ただ道路で歌っているだけなのに、どうして? と思いますよね。

それは、『道路交通法』で路上ライブが禁止されているからです。道路交通法では、道路の使用についても警察の許可が必要だと定められています。

その理由としては、ミュージシャンやそれを見ているお客さんたちが道路を占領してしまうことが問題だからとのこと。

また、道路交通法の規制だけでなく、大きな音が出ることから騒音関係の問題があることも、路上ライブが厳しく取り締まられる理由となっています。

なお、路上ライブで取り締まられた場合、『道路交通法』の規定で定められている「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」という罰を受けることになります。

ただし、無許可で路上ライブを行ったからといって、直ちに懲役や罰金が課されるわけではないそう。

警察の撤収命令に従わない場合や、何度も路上ライブを無許可で繰り返し行っている場合に限り、罰則が適用されるようです。

路上ライブの許可を得るための申請先

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路上ライブを行いたい場合、路上ライブを行う場所の使用許可を取らなければいけませんが、使用許可を申請する先は、実は場所によって異なります。

・道路上(歩道を含む)で行う場合……警察に道路の使用許可申請をする必要があります。

・駅の構内など私有地で行う場合……土地の所有者に使用許可申請をする必要があります。

路上ライブを合法的に行える場所2つ

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(1)井の頭公園アートマーケッツ

若者が“住みたい街”として人気の高い吉祥寺駅(JR中央線・京王井の頭線)からも近い東京都武蔵野市と三鷹市にまたがる都立井の頭公園。

公園を核とした賑わいを創出して周辺地域にも波及させ、公園から新たな文化を発信していくことを目的として、“井の頭公園アートマーケッツ”というストリートパフォーマンスや手作り作品の出展を登録制で実施する事業を2007年1月から開催しています。

アートマーケッツでは登録者のことを“アートキャスト”と呼び、アートキャストたるストリートミュージシャンたちは、公園管理者である“東京都”、事業主催者である“井の頭恩賜公園100年実行委員会”とともにアートマーケッツ事業の協働運営主体者となります。

アートマーケッツで歌いたい(出展したい)希望者は、毎年12月上旬に公表される次年度の募集概要に基づいて応募しますが、ご相談者さまの息子さんの場合満16歳以上で最少年齢基準は満たしているものの20歳未満でもあるため、親権者の同意が必要となります。

応募結果は翌年2月に届きますが、審査に通った場合は12,000円の年間登録料を支払って登録を完了します。

全国でもあまり前例のない画期的な試みであるため、1日の活動定数よりも登録者数が大きく上回ってしまっているとか、募集期間が終了したら次に応募できるチャンスが1年近く待たなければ来ないとか、いろいろな問題点はあります。

しかし、合法的に堂々と屋外ライブをやりたいというストリートミュージシャンの希望に応えるひとつの試みではあり、息子さんに、「こういうのがあるよ」と情報だけでも伝えることには、意味があろうかと思います。

(2)柏駅

次にご紹介するのは、多くのストリートミュージシャンたちを輩出してきた千葉県の柏市が、「柏の街のイメージアップにも貢献してきたアーティストたちが一部の配慮の足りないパフォーマーのせいで世の中から排除されてしまうことのないように、いつまでもストリートに歌声が聞こえる柏の駅前であり続けるために」という理念に基づいて作られた、ストリートミュージシャン認定制度“柏ルール”です。

【柏ルールの概要】
(a)URLからのダウンロードも可能な“認定申請書”の全項目に記入

(b)メンバー全員の現住所が明記された身分証明書のコピーを添付

(c)かしわインフォメーションセンターで手数料180円とともに(a)と(b)を提出

(d)約3週間程度で、柏駅前イメージアップ推進協議会から認定書が郵送で届く

(e)アンプやドラムスは使用しない。活動時間を守る。CDを含め“販売行為”をしない

(f)認定を受けた者がルールを守ってする限り、路上ライブ活動を妨げない

だいたい、このような感じです。

井の頭公園アートマーケッツのように募集期間が終了したら1年近く待たなければならないといったこともなく、登録手数料も僅かであり、活動定数枠もなければ土日祝日以外の演奏活動もOKです。

そのため、場数を踏みたい若いストリートミュージシャンにとっては大変ありがたい、おススメの制度であると言えます。

なお、柏市の制度に興味を持ち同様のシステムを作っている自治体が最近はあるという話もちらほら耳にしますので、ご相談者さまも息子さんに話して、地元の自治体にそういった趣旨の制度があるかどうか調べてみることを奨められたらよろしいかと思います。

路上ライブで使うもの・持参するもの

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路上ライブをやりたいと思っている方のために、必要なものをご紹介したいと思います。

・アンプ(スピーカー付き)
・電源(発電機)
・マイク
・マイクスタンド
・楽器
・譜面台

などです。そんなにたくさんの機材を運ぶのはムリ! という場合は、「オールインワン・タイプ」と呼ばれるPAシステム(アンプ・ミキサー・モニタースピーカーが一体となっている機材)がおすすめです。

また、弾き語りの場合であれば、折りたたみ式の椅子があると便利です。

路上ライブにおすすめの『ヘブンアーティスト事業』とは?

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東京都生活文化局が実施している『ヘブンアーティスト事業』。

これは、東京都が実施している審査会に合格したアーティストに、東京都が指定した公共施設や民間施設などを開放し、アーティスト活動の場を提供していくという事業です。

現在、公園など54施設72か所が活動場所として開放されています。

ただし、大音量での演奏や物販などは禁止されているとのこと。ポータブルアンプ程度であれば大丈夫だそうです。

路上ライブ出身の有名ミュージシャン

ゆず

「路上ライブ出身と言えば、ゆず」と言っても過言ではないくらい、有名ですよね。

フォークデュオである『ゆず』のお二人は、デビュー前、地元・横浜で路上ライブを重ねていました。

人気が全国区となった今でも、路上ライブ時代からの根強いファンも多いそうです。

いきものがかり

最初は男性メンバーである水野さんと山下さんが二人で、ゆずのカバー曲を中心に神奈川県厚木市周辺にて路上ライブを行っていたそう。

そこに二人の同級生の妹である吉岡さん(現ボーカル)が飛び入り参加し、メンバーになったとのこと。

コブクロ

大阪で路上ライブを行っていたことで有名なコブクロ。

小渕さんと黒田さんは最初、それぞれ別々に路上ライブを行っていたそうです。

まとめ

「路上ライブの取り締まりが厳しい理由と受ける罰」や「使用許可の申請先」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

路上ライブには、相当な勇気や決意も必要なもの。自分の可能性や才能を試してみたい方は、道路や施設の使用許可を取ってから、路上ライブに臨んでみましょう!

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
●追記/パピマミ編集部

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