原因は人間性の劣化!? 恋愛しない若者たちが増えているワケと実態

【パパからのご相談】
50代、会社を経営しています。21歳の娘と19歳の息子がいますが、恋愛の“れ”の字も縁がないような暮らしをしており、スマホとゲームが恋人のような感じです。

彼らの人生なので文句を言うつもりはないのですが、“恋愛を知らない子どもたち”ばかりになってしまったら、彼ら自身の将来もこの社会の先々も、大丈夫なのでしょうか。

“恋愛を知らない子どもたち”が増えた理由を教えてください。

a 子どもたちのせいばかりではありません

ご相談ありがとうございます。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

結婚情報サービス会社であるオーネットの意識調査によると、2015年の新成人600人のうち、男性の50.0%、女性の45.7%が、今までに「交際した相手は1人もいない」と回答したそうです。

さらに特筆すべきこととして、「交際相手がほしい」と回答した人も全体の62.6%と過去最低を記録し、2000年の90.0%から大幅に減っていることが明らかになりました。

どうして若者たちは恋愛をしなくなったのでしょうか。都内でメンタルクリニックを開業する精神科医師にお話をうかがってみると、さまざまな問題が見えてきました。

若者が恋愛をしなくなった理由11選

150310suzukikatsuyoshi

(1)尊敬できる異性と出会えない

『クリニックを訪れる患者さんたちの話を聴いていると、男性・女性関係なく“人としての劣化”が最近目立ってきているように感じます。職場の中で口汚い言葉をわめき散らす、“力ずく”的な方法で女性に交際を迫るなど、とても人として尊敬できないような人物のエピソードを患者さんからよく聞きます。

テレビでは、本当ならお手本にならないといけない地位にある人々の口から「犯罪者集団の味方をするのか」「女のくせに子どもも産めないのか」といったような趣旨の、聞くに堪えない野次が飛びまくっています。

こうした社会の中では、若者が異性と交際したくても、交際しようと思う相手がこのような劣化の風潮に毒された人格では、とてもそんな気にはなれません』(50代女性/都内メンタルクリニック院長)

(2)経済的な尺度ばかりの社会

『恋愛しない子どもたち・若者たちの増加を“草食系”といった言葉で単なるライフスタイルの変化であるかのように片づけてしまう態度にも問題があります。

昭和に生まれた私から見ると、ここ数年は昔のように “経済的な価値尺度でしか物事を測れない”雰囲気に逆戻りしつつあるように映っております。

これでは男性と女性がお互いに畏敬の念をはらい合い、“異性”として“人”として大切にする姿を、子どもたちや若者たちに見せられないのではないかと危惧するのです。

ひとつ例を挙げてご説明しましょう。“男はつらいよ”シリーズの主人公である“フーテンの寅”こと車寅次郎は、経済成長最重視という当時の価値観に対して、「世の中お金が全てじゃないさ」という価値観を提示して人気を博し、人々の心にそれを広く浸透させました。

今はどうでしょうか。気の毒にも若い人たちは、みんな「経済的な価値尺度」という“物差し”の前で、委縮してしまっているように見えます。

・「年収100万円台や200万円台の人間に、人を好きになる資格などあるものか」
・「恋愛して結婚して子どもができたとして、アンタに育てられるの?」

悲しいかなこれらはみな、実際に私が患者さんの口から出た言葉をカルテに記したものなのです』(都内メンタルクリニック院長)

(3)ネットやSNSの発達

『男性も女性もすべからく劣化し、世の中の風潮は経済最優先のところにきて、ネットやスマホやSNSといった情報通信手段の発達が、若い人たちが本来持っている“嫉妬心”や“猜疑心”といったものの膨張に拍車をかけています。

若者や子どもは中高年のようには経験が多くないため、好きな異性の人間くさい諸行動をどうしても“許せない”ときがあります。

とくにSNSでは好きな人の生活を簡単に覗くことができるため、その人が別の異性と楽しく遊んでいることを知ると、嫉妬心を抱いて嫌な気持ちになり、「もう恋なんてしない」と恋愛を放棄してしまうのです』(50代女性/精神科医師)

ある程度年を重ねれば、そういったことには慣れるものですが、若い人はそうはいきません。その一途さが、若い人たちの財産でもあるのですから。

(4)3次元よりも2次元

今や日本は世界に誇ることができるアニメ文化を持っています。

今の若者は小さいころからアニメを見て育っている人が多いですが、中にはアニメや漫画のキャラクターに恋してしまう人もいるようです。

ネット上では「3次元の女は面倒くさい」「2次元は裏切らない」「生身の人間は怖い」などのコメントが見られ、現実の恋愛での失敗体験から架空の世界へ逃避している人も少なくないようです。

また、単純に2次元にハマりすぎて恋愛をする時間がないという人も多いようです。

漫画、アニメ、小説、映画、ゲームなど、2次元はさまざまな媒体で楽しむことができるため、2次元の世界に没頭してしまうと多くの時間を消費してしまい、恋愛する時間がないのです。

(5)お金がない

近年は不景気が長く続いていますが、その影響で若者の雇用や給料は減少傾向にあります。

しかし、異性とのデートでは、ショッピングや食事をしたり、娯楽施設で遊んだりと何かとお金がかかります

そのため、男性は「二人分も食事代を払えない」と嘆いたり、女性は「カワイイ服を買うお金がない」などと落ち込んで、恋愛に距離を置いてしまうのです。

(6)他にやりたいことがある

ネットの発達やそれに伴う文化の発展によって、現代の人は自分に合った趣味を探して追求することが容易になりました。

そのため、恋愛をせずとも「これさえあれば良い」と趣味に没頭して満足してしまう人が増加していると言われています。

また、異性に興味はあるけれど、「自分の趣味を理解できない異性は嫌だ」と恋愛のハードルを上げてしまっている人もいます。

(7)女性の社会進出

恋愛をしない若者が増えた理由の一つに、女性の社会進出が加速していることが挙げられます。

基本的に男性は「優位に立ちたい」という気持ちが強いものですが、自分よりも学歴や収入が高い女性が増えてきたため、主導権が握りづらくなっていると言われています。

そのため、女性に積極的にアプローチできる男性が減ってきているのです。

(8)傷つくのが怖い

ゆとり世代は、運動会で順位を決めない、体罰絶対禁止などの環境で育ってきているため、他の世代よりも心が繊細だと言われています。

そのため、恋愛においても自分が否定されるの怖く、なかなか最初の一歩を踏み出す勇気が出ないという人も多いようです。

(9)結婚したくない

景気の低下や年金受給問題、少子化や子どものイジメ問題など、テレビやネットでは暗いニュースが多く流れています。

そのため、「自分に家族を守れるのか」「もしかしたら自分の稼ぎだけじゃ家族を養えないのでは」などと悲観的になってしまい、“結婚”という重い責任を背負いたくないという人が増えているようです。

(10)出会いの場がない

最近の若者には、一日の行動範囲が会社と自宅の往復しかないという人が多く見られるようです。

一説には、若者の“お酒離れ(飲み会に参加しない)”、“車離れ(ドライブで外出しない)”、“消費離れ(買い物をしない)”などが原因になっているのではないかという指摘もあります。

(11)“親ラブ族”の増加

親ラブ族とは、親と一緒に買い物をしたり休日に遊んだりする子どものことを指しますが、近年ではこの“親ラブ族”が増加していると言われています。

親ラブ族は親との距離が近いがために、普通の人よりも自立が遅れやすいとされていて、「一緒に過ごすなら恋人より親がいい」と思う人もいるようです。

このことから、“親ラブ族”の増加が“若者の恋愛離れ”の原因の一つになっているのではないかという説もあります。

メディアが映す“恋愛しない若者”の実像

NHKでは若者たちのリアルな声を放送

【画像出典元】NHKおはよう日本「恋愛しない若者たち」(2015年10月19日放送)

【画像出典元】NHKおはよう日本「恋愛しない若者たち」(2015年10月19日放送)

2015年10月19日に『おはよう日本』(NHK)で放送された『恋愛しない若者たち』の特集では、若者たちが恋愛をしない理由についてリアルな意見を述べました。

番組の街頭インタビューでは、恋愛をしない理由について、

『仲良くなるまでが面倒』
『相手のことを考えて行動するのが面倒』
『自分の生活に、これ以上、恋人が入る枠がない』

などと回答する男性が複数登場。

男性らを取材した番組ディレクターは、「報われる保証のない恋愛よりも、他の趣味のほうが、より魅力的に見えてしまうのではないか」との見解を示し、「恋愛=コスパが悪い」という言葉を取材中に何度も聞いたそうです。

また、同番組が未婚の男女約400人を対象に行った恋愛に関するアンケートでは、回答者のおよそ4割が「一人で自由な時間を過ごしたいから」「趣味に使う時間がもっとほしい」などの理由で恋愛よりも自分の時間を優先したいと考えていることが分かりました。


この番組の内容からは、若者が恋愛に対する価値を、自身の生活よりも低く置いている傾向にあることが分かります。

小さいころから、さまざまなメディアや娯楽に囲まれてきた今の若者にとって、恋愛は特別なものではなく“他の娯楽と並列なもの”という感覚を持っているのかもしれませんね。

日テレの放送では若者の“恋愛離れ”が明確に

http://www.news24.jp/articles/2016/01/20/07320362.html

http://www.news24.jp/articles/2016/01/20/07320362.html

2016年1月20日に放送された『NEWS24』(日テレ)では、若者の恋愛離れが加速していることが分かりました。

同番組では、結婚情報サービス会社『楽天オーネット』が2016年の新成人を対象に行った「交際相手が欲しいか」というアンケート調査を紹介。

「交際相手が欲しい」と回答した人は、2000年には男性91.6%、女性88.5%とともに約9割を占めていたのに対し、2016年では男性63.8%、女性64.2%と大幅に減少していることが判明しました。

また、内閣府が20~30代で未婚・恋人のいない人行った「恋人が欲しくない理由」という設問の調査(2014年)では、

・1位……恋愛が面倒(46.2%)
・2位……自分の趣味に力を入れたい(45.1%)
・3位……仕事や勉強に力を入れたい(32.9%)

という結果に。

これを受けて、番組では「SNSの発達で若者の自立が遅れている」「非正規雇用の増加で男性が恋愛に受け身になっている」といった見解を示しました。


NHKで放送されたものと同様、恋愛をしない若者は「恋愛が面倒」「自分の時間が欲しい」と考えている傾向にあることが分かります。

一方、同番組では「結婚したい」と考えている20〜30代の割合が77.6%だったということも発表しており、若者の結婚願望自体は低くないことが分かります。

若者の“恋愛離れ”を解消するためには、安心して家族を養える環境や社会を作り、結婚しやすい環境にしていく必要があるのではないでしょうか。

恋愛をしない若者に伝えたいこと

160926renai

『精神医学会の大先輩にあたる方で若い頃フォークのシンガーソングライターとして活躍していた人が、その昔“戦争を知らない子どもたち”という楽曲の作詞を手がけ、大ヒットしました。

曲が発表された1970年当時の若者たちをそう呼ぶことによって、その時代の空気を見事に表現したものですが、それにならって言うならば、現代は“恋愛を知らない子どもたち”の時代と言えます』(50代女性/精神科医師)

恋愛を知らない子どもたちへ老婆心ながら申し上げます。いま世の中全体を覆っている“一にも二にも経済最優先”の風潮に、あまり左右されないでください。

人生にはお金も大事ですが、既に7割がた人生を生きてしまった者として言わせていただけるのなら、人生で大事なことは“どんな異性を好きになったか”、“その好きになった人とどんなものを食べ、どんな話をしてきたか”といったことなのです。

「男はせめて年収300万円は稼がなければ男とはいえない」だとか、「経済力のある男と一緒になれば専業主婦でいられる」だとか、そんなセレブリティ-に負い目を感じたような物言いをしていてはダメです。

行政のせいだとか大企業のせいだとか学校のせいだとか言ってみたところで何にもなりません。

傷つくことを怖れないで、好きになった人へ素直におつき合いを申し込んでみましょう。

スマホやゲームといった2次元の世界ではけっして得ることのできない充実した幸せがきっと待っています。

まとめ

「若者が恋愛しない理由」や「メディアが報道する“恋愛しない若者”」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

恋愛をするしないは個人の自由ですが、高齢化や少子化のことを考えると、若者の“恋愛離れ”は決して無視できるような問題ではないですよね。

安易に「草食系男子が増えたから」などとひと括りにせず、どういう原因があるのかを見極めるようにしたいですね。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
●追記/パピマミ編集部

data-ad-region="1"> data-ad-region="2">

注目の記事

data-ad-region="2"> data-ad-region="2">

あなたにオススメの記事

パピマミをフォローする