東京にタヌキが!? 一級河川『野川』で自然を感じるウォーキングのすすめ

【パパからのご相談】
50代ですが、小2の男の子のパパです。コンピュータゲームをほとんどやらないので、休日はもっぱら息子とキャッチボールやサッカー、サイクリングなどをして遊んでいます。息子も私も生き物が大好きなので、こんどバードウォッチングを兼ねたウォーキングをはじめたいなと思っているのですが、野鳥公園のような人工的に造られた環境の場所へ行く気は今一つおきません。昔の童謡の中に出てくるようなありのままの自然の風景(花が咲き、鳥が飛び交い、エビやメダカが泳ぎ、ときにはヘビやトカゲやバッタやタヌキに出くわすような)の小川の散歩道というのは、もはや東京の市街地には残っていないでしょうか?

a あります。一級河川『野川』の調布・狛江・世田谷エリアがそうです。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

ご相談者さまが探し求めていらっしゃる“夢のような場所”が、私の知るかぎり一か所あります。東京の国分寺市内に源を発し、小金井市・三鷹市を流れ調布市と狛江市の間を何度も縫って世田谷区に入り世田谷区玉川一丁目付近で多摩川に合流する全長約20kmの一級河川『野川』。

その流域には初めて訪れた人は誰でも、「今どき東京の市街地にこんな自然が残っているなんて信じられない」と驚嘆の声を上げるほどです。

この野川流域の中でも特に、甲州街道の馬橋から世田谷トラストまちづくりビジターセンターに近い神明橋にかけての調布市・狛江市・世田谷区にまたがるエリアの風景は、まさに童謡に出てくる野辺の小川そのものです。

ここではそのエリアですぐ眼の前に見られる野鳥たちを紹介しながら、ウォーキングの医学的な効用などについては野川近辺で内科クリニックを開業する医師のお話を参考にして、記述させていただきます。

150304katsuyoshi

京王電鉄の国領駅で降りて馬橋に出、“春の小川”散策をはじめましょう

京王線の国領駅で降りて線路沿いに新宿方面へ歩くと、野川にかかる甲州街道の馬橋があります。この橋の上から川面を覗くと、この辺りでよく潜水してオイカワなどの小魚を漁っている80cm程度の全長の“カワウ”と出遭うことがあります。多摩川の方から飛んで来ては大量の小魚を捕食していくようです。

11月頃から4月中旬までの日中なら、同じく多摩川の方から来ている全長40cm程度の東京都の都鳥“ユリカモメ”と遭えることもあるでしょう。また、この辺りではまれに全長50cm程度の猛禽類の“オオタカ”が野川の水を浴びに降りてくるのを目撃することがあります。

体の色が地味なため気づかずに見過ごしてしまう場合も多いのですが、空中から降りて来る際につばさを全く動かさず、グライダーのような感じで悠然と飛んで来るため、その飛びかたで気づくこともあります。

なぜ東京の市街地にこれほど自然が残っているのか

『23区内からほんの少し西に入っただけの市街地でありながらこれほどの自然が残っている理由は、“ハケ”と呼ばれる野川と並行して連なる崖の存在です。これは“国分寺崖線”と言われる河岸段丘で、太古に多摩川が武蔵野台地を削ることによってできた10~20m級の斜面のことで、ハケの下には数多くの湧き水が出、緑を潤し、生き物たちを育んできたのです。全国的には絶滅が危惧されている“メダカ”にしても、ここ野川に限っては逆に増えているという実態も明らかになってきています』(40代男性/都内内科クリニック院長・医師)

いにしえの昔、野川には“青い龍”が棲んでいたとされ、この神の龍が人間の勝手な振舞に怒り暴れると巨大地震のような大きな自然災害が起きると信じられていたため、この辺りに“国分寺”を建立し、龍の怒りを鎮めたのだとされています。

古代、東日本の中心地がこの辺り一帯であったことは、取りも直さず『野川』の存在に由来しているのです。

大町橋から野川大橋にかけて歩き、野性の生き物と共に生きていることを実感しましょう

散歩をつづけましょう。馬橋付近から野川沿いの遊歩道を歩き車橋を過ぎると、この辺りを縄張りにしている全長90cm以上の大きな“アオサギ”に遭えることがあります。ペリカン目サギ科で見栄えのする大型の野鳥です。留鳥ですので、一年中この辺で遭えます。

品川通りの大町橋が近づくと、早朝なら全長90cm級の“ダイサギ”や60cmくらいの“コサギ”らがコロニーを作っているところを目撃できることがあります。“ハクセキレイ”や“セグロセキレイ”よりは小型で全長20cm程度のかわいらしい“キセキレイ”にも、この辺りでは遭えることがあります。

私は以前この辺りで、巣立ちに失敗して地面で鳴いていた調布市の市鳥“メジロ”のヒナを手のひらに乗せて高くかざしてやり、上空で見ていた全長12cm前後の親鳥によく見えるようにしてやったところ、親鳥が急降下で迎えに来て一緒に飛んでいったという経験を持っています。

野鳥ではありませんがこの辺りには全長200cm級の“アオダイショウ”も棲息しており、4月に入ればバッタリと出くわすことがあります。集合住宅のゴミ集積所に居るネズミを捕食してくれるため、「人と共に暮らすヘビ」と言われています。

人間にむかってこない大人しいヘビですが、大きめの個体が下流から上流へと流れに抗ってすごいスピードで泳ぐ姿を見ると、昔の人が“青い龍”だと思った生き物は、このアオダイショウなのではなかったのかと思ってしまうほど迫力があります。一方、アオダイショウの天敵である“タヌキ”も、この辺りには棲息しています。

大町橋を過ぎると初夏になれば全長60cm程度の親鳥に引率されて泳ぐ“カルガモ”のヒナたちの隊列に遭えることがあります。1隊7~8羽といったところでしょうか。ちなみに“マガモ”も“コガモ”も“オナガガモ”も、野川ではたくさん見られます。

さて、野川大橋が近づいてくると、しばしば全長15cm程度の小型のキツツキ“コゲラ”が木から木へと飛び回って、木の幹をほじくり昆虫を食べているところを見ることができます。そしていよいよ“真打ち”の登場です。

水辺の宝石“カワセミ”とほぼ確実に出遭える場所は、野川の他にそうはありません

野川大橋から谷戸橋を経て神明橋へと至るエリアでは、いよいよこのウォーキング・ツアーの“真打ち”が登場します。言うまでもなく、水辺の宝石と呼ばれている“カワセミ”です。

頭から背中にかけてはメタリックな青緑色、胸から腹にかけてはオレンジ色で全長17cm程度の小さなこの鳥とほぼ確実に出遭える場所は、ここ野川の他にはそうはないため、連日のように立派なデジタル一眼レフのカメラを提げた団塊世代カメラマンの皆さんで賑わっています。

野川には20羽前後のカワセミが棲息していると言われていますが、魚を求めて上流から下流へ、下流から上流へと縦横無尽に飛び交っているため、20羽どころでなくもっと居るような気がするのですが、実際には私たちが同じカワセミのことを何度も目撃しているようです。

ウォーキングの医学的効用と、まだまだ紹介し足りない野性の生き物たちについて

そろそろ前方に神明橋が見えてきました。左手に一般財団法人世田谷トラストまちづくりが運営するビジターセンターがある、ここはもう世田谷区成城四丁目です。

ウォーキングをはじめてからここまで約3.5km。ビジターセンター内には野川に棲む魚のミニ水族館や、その季節に見られる野鳥や昆虫はじめとする生き物の特別展示があります。格安の自販機コーヒーを飲みながら一服していかれるのもいいのではないでしょうか。お子さんと一緒に楽しめる手作りのゲームもいろいろ置いてあります。

『ウォーキングには、血圧を下げたり、姿勢をよくしたり、心肺機能を高めたり、便通をよくしたりといった医学的な効用がいくつもあります。特に女性には多くの効用があると言われており、代表的なものが“骨粗しょう症の予防になる”点です。ウォーキングで適度に筋肉を使うことによって骨格組織が固定化され細胞の代謝が弱まるのを防いでくれます。また、野川のようにのどかな風景の小川を散策することは精神の緊張を和らげたり、創造力を高めたりといった精神医学的な効用もあると思われます』(前出・40代男性/医師)

この辺りには、ビジターセンターのシンボルでもある“ヤモリ”が棲息しています。全長10cm強の爬虫類ですが人家にいる害虫を捕食してくれるうえ人に対しては臆病で攻撃性も低いため、漢字で“家守”と書かれるなどして古くから親しまれているトカゲの一種です。

まだまだご紹介したい生き物がいっぱい暮らしている野川なのですが、最後に番外編の生き物をひとつ。野川のこの辺りには、比較的最近になってから毒ヘビであることが認識されるようになった“ヤマカガシ”も棲息しています。

大きめの個体でも全長150cm程度でアオダイショウに比べたら小さく、水田などを主な活動の場として古くから人間の身近に棲息してきたヘビであり、基本的にこちらから手出ししたりしない限り人に危害を加えることはありません。しかし、人間の方の認識の不足によってこちらから攻撃したりすれば、その毒の強さには相当なものがあり、1972年以降、死亡例も数例報告されています。

野性の生き物に関する知識を正しく持ち、昔から共生してきた彼らとこれからも共に暮らしていくうえでも、野川ウォーキングはパパにもママにもお子さんにもおすすめの、休日のレクリエーションです。3月下旬から4月上旬にかけては桜も見事ですよ!

ここからは小田急線の“成城学園前”駅西口まで歩いて16~17分。小田急線“喜多見”駅へは歩いて12~13分程度です。お疲れさまでした。

【関連コラム】
公園でアウトドア気分!? 子連れピクニックで活躍するグッズ3つ
よちよち歩きの子供とのお出かけに最適なスポット5選
公共の場での子供の声を“騒音”だと思うか

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

data-ad-region="1"> data-ad-region="2">

注目の記事

data-ad-region="2"> data-ad-region="2">

あなたにオススメの記事

パピマミをフォローする