退職後でもOK? “出産手当金”を確実に受け取るための条件まとめ

【ママからのご相談】
現在、妊娠7か月で会社勤めをしています。長年勤めてきて、子どもを産んでからも働き続けたかったのですが、夫の転勤が決まり出産後は退職することになりました。

退職してしまうと出産手当金を受け取ることはできなくなってしまうのでしょうか?

a退職後でも出産手当金を受けられる可能性がある

ご懐妊おめでとうございます。ママライターのぬかぽんです。

健康保険の社会保障の1つである“出産手当金”を受けられるのは、産前42日(多胎の場合は産前98日)と産後56日のあいだです。

そして“出産手当金”は、出産を機に退職してしまっても受け取ることができる場合があります。

ただしポイントがありますので、今回はその条件を詳しく見ていきましょう。

出産手当金とは

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近年、社員の産休・育休期間中の給与を保障する企業も出てきましたが、原則として企業が産休を取得した社員に給料を支払う義務はないため、その期間、ママは収入がなくなってしまうことになります。

これを支えるための制度として用意されているのが、『出産手当金』です。

健康保険、国家・地方公務員の共済組合から支給されるため、自営業者など国民健康保険の加入者には支給されません。

出産手当金の支給対象となる人

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出産手当金を受け取ることができるのは、正社員に限りません。

契約社員や派遣社員、パートで働くママであっても健康保険に加入し条件を満たせば対象になります。

2007年3月までは、退職後6か月以内に出産したママも対象となっていましたが、現在は変更されて条件がより厳しくなっています。

なお、妊娠4か月以上であれば、流産や死産、人工中絶であったとしても出産手当金支払いの対象になるとされています。

退職後に出産手当金を受け取るポイント3つ

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(1)健康保険加入期間が“継続して”1年以上あること

数年間会社員として働いていれば、通常は健康保険に加入してますのでこの条件はクリアします。

また、“継続して”とは、たとえば派遣スタッフのようにA会社に勤めていて、次にB会社に勤めたという場合でも問題ありません。

ただし、2月25日まではA会社、3月1日からはB会社で、2月26日~28日まで空いてしまうというように、加入期間が1日でも空白ですと“継続して”とはいえません

また、そのあいだの数日間に“任意継続”という制度を使って健康保険の加入期間を引き伸ばしたとしても条件をクリアできないのです。

また、空白の期間に国民健康保険に加入しても、健康保険とは制度が違うため“継続”にはなりません。

ちなみに“継続して1年以上”の健康保険加入期間がなくても、産前42日以内の、在職しつつ産休をとっていた期間については“出産手当金”は支払われます。

たとえば、予定日が3月31日で、3月1日に退職した場合。2月17日~2月28日までのあいだで賃金が支払われない日数分は“出産手当金”が受け取れます。

(2)出産日または出産予定日より42日以内(多胎の場合は98日以内)に退職していること

体調が悪く、出産予定日の42日(双子など多胎の場合は98日)より前から産休に入ってしまうというのはよくある話です。それでも退職日は慎重に考える必要があります。

というのも、“退職日”が出産日または出産予定日より42日(多胎は98日)以内の期間にないと、出産手当金は受け取れないからです。

また体調が回復して仕事に復帰できるケースもありますので、きちんと会社と相談して、“退職日”をこの日程の中で決めるようにしましょう。

(3)退職日に“仕事に就いていない”こと

たとえ、(1)(2)の条件をクリアしていても、“退職日”に仕事に就いていると出産手当金は受け取れません。

そのため、出産予定日前42日(多胎98日)以内の日の、実際に産休を取りはじめる日以降に“退職日”を決めるようにしてください。

出産手当金の申請方法

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しっかりとした手順を踏んで、きちんと出産手当金を受け取りましょう。

(1)受給資格の確認

まず始めにしなければならないのは、自分に受給資格があるのかどうかの確認です。

勤務先の担当部署か健康保険組合、あるいは会社を管轄している社会保険事務所に問い合わせましょう。

(2)健康保険出産手当金支給申請書をもらう

受給資格の確認ができれば、その場で『健康保険出産手当金支給申請書』をもらいましょう。共済組合の場合には『出産手当金請求書』と少し名称が異なります。

会社等で用意されていない場合には、全国健康保険協会のホームページから入手することも可能です。

この用紙に必要事項を記入していき、最終的に提出することになります。

(3)出産後に必要事項を記入

出産に備えて入院する場合には、(2)の申請書を病院へ持参するようにしましょう。

出産後、病院で申告書に、医師または助産師に必要事項を記入してもらい、受け取ります。

記載事項は、出産年月日をはじめ、病院の名称、住所などです。

退院後でも記入してもらうことは可能ですが、その後の手続きをスムーズに進めるためにも入院中に済ませておく方がいいでしょう。

(4)申告書の提出

必要な書類をそろえ、会社の担当部署へ提出しましょう。

申請書以外に、

・給与明細か賃金台帳のコピー
・タイムカードなどのコピー

が必要になります。

産休前に、郵送でいいのか、それとも持参する必要があるのかなど、提出方法を確認しておくようにしておきましょう。

すでに会社を退職している場合には、社会保険事務所へ提出することになります。

なお、出産手当金は産休期間ですでに経過している期間については申請することが可能なため、1日単位で申請することもできますが、一般的には産後56日が経過し就業できる状態となるタイミングで会社に申請書を提出することになるでしょう。

出産手当金として支給される金額

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健康保険法の改正により、平成28年4月から、出産手当金の計算方法が変更されています。

1日あたりの金額は標準報酬月額÷30日×2/3とされていましたが、この標準報酬月額の部分に変更があります。

改正以降、【支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額】が30日で割られ、その3分の2が1日あたりの金額になりました。

たとえば平成28年8月1日が支給開始日だとすると、平成27年9月〜平成28年8月の各月の標準報酬月額が合算され、平均額が算出されることになります。

支給開始日以前の12か月の各月の標準報酬月額が25万円だった場合は、以下のような式になります。

・(25万円×12か月)÷12か月÷30日×2/3=5,556円(支給日額)

これが受け取れるのと受け取れないのとでは、大きな差になると言えるでしょう。

ただし、産休中に勤務先から給与の支払いを受ける場合には、出産手当金からもらった給与の差額が支給されることになります。

つまり、3分の2以上の給与が保障される場合には出産手当金はもらえなくなるということです。

出産手当金の支給額が増減する場合

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出産予定日を8月10日と想定すると、出産手当金の本来の支給開始日は6月30日となります。

このとき、実際の出産日が3日早まって8月7日になったとすると、支給開始日は6月27日にずれます。

すると支給開始日は6月27日へとずれてしまいますが、27〜29日までの3日間は実際には産休期間ではなく勤務しているはずなので、出産手当金の支給対象外となり、支給額が減ることになります。

反対に、出産が3日遅れて8月13日となった場合、当初予定していた産前期間である42日間に3日プラスして産休に入っていたことになります。

この場合、“出産の予定日前42日+遅れた日数(3日)+産後56日”が支給対象になり、3日分だけ支給額が増えることになります。

実際に出産手当金が支給される時期

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申請を行ったとしても、実際に出産手当金が自分の手元にくる(口座に振り込まれる)までには時間がかかります。

申請の項目で説明したように、産後56日後に提出するのが一般的なため、そもそも産休中に受け取ることはできません。

実際にはこの申請後、およそ2週間から2か月後に振り込まれるようです。

申請が遅くなれば、産後から4か月後なんてこともあるため、このお金を産休中の生活資金として当てにするのは危険と言えるでしょう。

なお、受け取りを忘れていても、産休開始の翌日から2年以内であれば全額請求することができます。

出産手当金と扶養の関係

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退職を機に夫の扶養に入ると、出産手当金はもらえなくなってしまいます。

これは厳密には、出産手当金をもらっている期間はそもそも扶養に入ることができないようになっているということです。

健康保険上、扶養に入る“被扶養者”というのは年収130万円未満の人を指しますが、出産手当金は産休により給与の支給が受けられない人を支えるためのものですから、収入として扱われ制限を受けます。

130万円を1日あたりに換算すると約3,612円となり、おそらくほとんどの人がこれ以上の金額を出産手当金として受け取ることになるため、扶養に入ることができなくなるというわけです。

この場合、受給期間中は、退職する前に働いていた勤務先で健康保険の任意継続をするか、国民健康保険へ加入する必要があります。

保険料に差があるため、事前に調べてどちらを選択するか決めておくと良いでしょう。

なお、高額な出産手当金ですが、非課税所得に含まれるため、配偶者控除等が受けられる可能性も高いと思われます。

出産手当金と出産育児一時金の違い

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似たような言葉で紛らわしい部分もありますが、出産時にもらえるお金として、出産手当金の他に『出産育児一時金』というものもあります。

出産手当金が産休中の給与をまかなうものとして支給されるのに対し、出産育児一時金は“出産の費用”そのものに対して助成されるもの。

金額は一律42万円と決まっており、こちらも保険への加入や妊娠期間などについて条件があります。

なお、出産育児一時金は健康保険から病院へ直接支払われるのが原則であり、扶養に入っていても受け取ることができます。

まとめ

「出産手当金の申請方法」や「出産育児一時金との違い」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

手続きするさいのほんの少しの違いで、もらえるお金が大きく変わってしまうこの制度。

“知らない”ということが自分を不利な状況へとおとしめてしまうため、積極的に知る必要があるでしょう。

生まれてくる赤ちゃんに金銭的な負担をかけないためにも、取得できるものは確実に受け取るようにしたいですね。

●ライター/ぬかぽん(ママライター)
●追記/パピマミ編集部

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