法律が変わる!? 子どもやママの声が“騒音”から除外される見通し

【ママからのご相談】
この春から男の子を保育園に入れて職場に復帰する予定のママです。入園予定の保育園は以前、「園児たちが遊ぶときの叫び声がうるさくて仕方ない。明らかに“騒音”だから訴訟を起こす」と近隣住民の人たちから詰め寄られた経験があるので、ちょっと気になっていました。でも最近小耳にはさんだのですが、今度“子どもの声は騒音ではない”と法律で決まったとか決まるとかの話で……。安心してもいいものでしょうか?

a 都は15年2月に子どもの声を騒音とする条例の改正案を提案する方針です。

ご相談ありがとうございます。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

あくまでも東京都のことではありますが、都はこれまで子どもの声を“騒音”として規制する根拠となってきた『都環境確保条例』を改正し、子どもの声は規制対象から除外する方針を決め、2015年2月の都議会に提案することを決めました。

その意味ではご相談者様が耳にした噂は条件つきではありますが正しく、東京都について言えば“子どもの声を、その音量の数値だけをもって一律に騒音とは言わない”と条例で決めたことになります。

以下の記述は都内で小児科クリニックを開業する小児科医師に聴いた話しに基づいて、進めさせていただきます。

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一律の規制はなくなりますが、限度をこえる音には都が改善勧告できます

『東京都の条例見直し案では、騒音として規制する対象から除外するのは小学校就学前の乳幼児。イメージとしては保育園や幼稚園・公園などで子どもたちの遊びで発せられる声や足音や拍手の音、楽器の音、ボールの音、遊具の音などです。子どもと一緒に遊ぶ保護者らが出す声も除外の対象となり、“騒音”とは扱われなくなります。ただし、送迎時に保護者同士が交わす会話の声などは子どもの育成に必要な音とはいえないため、現行通り規制の対象になります』(都内小児科クリニック院長)

従来の都環境確保条例では『“いかなる者も”規制基準を超える騒音を発してはならない』という主旨の規定があり、住宅地や工業地などの区域別に決められた規制基準数値を超えれば、“いかなる者も”ということで子どもの遊ぶ声すらも訴訟の対象となってしまっていました。

『法律も条令も人間が作るものであり、子どもが伸び伸びと遊び、笑える環境を“騒音基準”を適用して抑制しようという態度は、どうかと思います。そのような条例が見直されるのは当然で、明らかに限度を超えて周辺住民が被害を受けていると判断されるような場合には都が施設側に改善の措置をとるよう勧告できるものとしているので、住民側の権利も尊重された改正案になってはいると思います』(前出・都内小児科クリニック院長)

つまり、基準数値を超えれば子どもの声でさえも一律に“騒音”扱いする態度には一定の釘をさしたものの、どうみても住民が苦痛を強いられ、被害を受けているととれるような場合はケースバイケースで東京都として対応することを決めた、ということです。

いい大人が“騒音”と言い切る姿勢こそ問題だが、実際的対応に必要だった条例改正

現に子どもをもつママやパパの立場からすれば、子どもが元気にはしゃいだり、泣いたりする声を“騒音”と言われたのでは、やるせなくて仕方ありません。私などは小学生の子どももいれば、これから保育園に入ろうという月齢の孫もおりますので、なおさらです。

たいへん残念なことではありますが、この“子どもの声は騒音”論争は、私たちが暮らす社会で“大人が大人でなくなってきてしまった”ことを示す典型的な話題であったと思います。

“子どもの声は苦手”というのなら、わかります。そのような方は大勢いらっしゃいます。けれど、そういう方々の多くはこれまで、ご自分で対策をとってこられました。「騒音を出しているから即刻退去しろ」「黙らせろ」とは、言わなかったものです。

『あくまでも私がクリニックを開業している地域においてではありますが、子どもの声を騒音と見なして訴訟を起こしている人たちは“一軒家の持ち家にお住まいの中高年層”が中心だと聞いています。資産的にも比較的恵まれ、社会的な地位もお築きになっていらっしゃる層の人たちが、1日のうちでそんなにあるわけでもない近隣保育園児の“外遊び”のときの声さえもガマンできないという現実に、小児科の医師としては愕然とする思いでした。その方たちは子どもを、私たちが暮らす社会の未来のための共有の財産だと思うことができないのです。おそらく東京都ではそういうことに対する危機意識が高まってきて、実際的な対応には都環境確保条例の改正が必要という結論に至ったのでしょう』(前出・都内小児科クリニック院長)

「静かにご本を読みたい人もいるんだよ」と教えることも忘れずに!

以前、私はこのサイト(パピマミ)で『精神科医が指摘! 高齢者によるクレームが増えている理由3つ』というコラムの結びとして、「ドイツのように、“乳幼児・児童保育施設及び児童遊戯施設から発生する音は、環境騒音から除外する”という主旨の法律が、わが国でも必要になってくるのかもしれません」と書きました。

偶然にも今回、わが国もさしあたり東京都から、ドイツと主旨を同じくする新しい条例が採択される運びとなりました。

ママやパパたちにとっては喜ばしいことではありますが、一方で子どもたちに、「静かにご本を読みたい人もいるのだから、大騒ぎし過ぎないように気をつけようね」と教えることも、忘れないようにしたいものです。

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●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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