留学せずにネイティブな「英語力」を身につけた人のエピソード3選

【ママからのご相談】
結婚する前に事務職員として勤務していた私立の大学に、学長室長をなさっていた当時30代後半の男性がいました。英語にとても堪能な方で、海外からのお客さまが来られるといつもキャンパス内を一人で案内されていました。

ところが機会あって伺ったところ、「私の英語は中学・高校・大学で普通に学んだだけです。留学の経験も、海外に長期滞在した経験もありません」と言われて、軽いショックを受けました。私も一応は大学まで英語の授業を受けてきましたが、とてもあのようには話せません。

いま中学生の娘には、たとえ留学する機会などがなくてもあの男性のようなネイティブ並みの英語力を身につけてほしいと思うのですが、どうしたらいいのでしょうか?

a “伝えたいこと”がある人は、“伝えたい相手”の言語を習得できます。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

実は、私も20代の前半まではただの一歩も日本から足を踏み出したことがなく、学校で英語を学んだだけだったのですが、20代の後半にさしかかったころ英国で得たある経験をきっかけに、英語で不自由はしなくなりました。

具体的な話しはこの後いたしますが、一言でいえば“伝えたいこと”がある人なら“伝えたい相手”の言語を比較的短期間で習得することはできるということです。

以下の記述は、都内のある大学で教授として言語学と英語の教鞭を取る言語学博士に伺った話しに基づいて、すすめさせていただきます。

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英語が話せるようになったエピソード3つ

(1)相撲の魅力を米国の人たちに伝えたかったHくんの場合

『若いころ講師として勤務していた大学に、相撲部で主将を務めるHくんという体の大きな青年がいました。大学も相撲部があるという理由で選んだ彼は、相撲部がなかった中学・高校時代は仕方がないので柔道部に入って格闘技の基礎を体得するほどの相撲マニアでした。もちろん大学では強豪校の相撲部には歯が立たず、選手としては三年生の途中で引退し、主将になってからはもっぱら相撲の普及と振興の活動に精を出していました。

このHくんが四年のとき、米国の学生の間の相撲愛好団体から、「相撲の“い・ろ・は”」というテーマでの講演を依頼され、英語が全くできないHくんはハタと困ったのですが、ある日突然何を思いついたのか、毎日毎日新宿にあった名画座にアメリカ映画を見に通いはじめ、一か月後に会ったとき、「先生、聴衆になったつもりで聞いてください」と頼まれたため、「相撲の“い・ろ・は”」の模擬講演を聴いたのです。Hくんの英語はまるでネイティブなみ。完璧でした』(50代男性/大学教授・言語学博士)

(2)ロック大好き女子高校生Mさんの場合

『Hくんが大学を卒業したころ、その大学の附属高校の女子生徒で、ロック・ミュージックが大好きで自らバンドを結成しヴォーカルを担当するMさんという人がいました。高3の最後の学園祭でロックの名曲メドレーを演奏することになったのですが、この学校、近隣に米軍の施設があるため軍関係の米国人が大勢学園祭を見にくるのです。あんまり恥ずかしい英語で歌うわけにはいきません。Mさんは学校の英語の成績はとびきり良いわけでもなく、普段はおとなしくて英語での発言もほとんどしない人だったのですが、本番の歌唱を聴いたときにはびっくりしました。

ジャニス・ジョプリン、ボブ・ディラン、ザ・フー、ジョン・レノン、デヴィッド・ボウイ、クイーンのナンバーを見事な英語で歌い上げたのです。アーティストの名前を聞いてみなさんお気づきかと思いますが、彼女はロックを歌うことで“平和の尊さ”を訴えたかったのでした。レノンの“HappyXmas(War IS Over)”を歌ったときには、米軍の関係者の人たちが目に涙を浮かべて聴き入っていました』(前出大学教授・言語学博士)

(3)日本の民話の素晴らしさを英国人に伝えたかった自分の場合

最後に恐縮ですが自分の体験談を。

それまで一度も海外へ行ったことがなかった私は20代後半にさしかかったとき、当時勤めていた会社からロンドンに3週間程度の出張を命じられました。少年時代から日本の各地方に伝わる民話の研究をするのが趣味で、50歳を過ぎたら民話も題材にして物を書ける随筆家になりたいと考えていた私は、ロンドンに渡ったらまたとない機会なので絶対にやりたいことがありました。現地の人に、日本の民話を聴いてもらうことです。

私は自分の部屋の押し入れに眠っていた中学・高校時代の英語の教科書を引っ張り出して音読してみることにし、何度も何度も読んでいるうちに教科書に載っている文章を全部空で言えるようになりました。そのあとで『鶴の恩返し』の絵本を開き、英国の人たちに読み聞かせるようなつもりで英語で話しはじめると、自分でも驚くほどスラスラと英語で話すことができたのです。

ロンドンに滞在していた3週間のあいだ、私はほぼ毎晩、ピカデリーサーカス周辺のカフェで主に地元の学生たちを相手に日本の民話を英語で話して聞かせました。最初のうちは2~3人の女子学生が物珍しさで聴いてくれただけでしたが、日本に帰国する日が近づくころには私の噂が評判になり、30~40人の地元の人たちが集まるようになったため、カフェの主人が私のために特設の時間帯を作ってくれるほどになっていました。

「You native English speaker?」と、品の良い中年の英国人女性に聞かれたときには、「伝えたいことが、伝わった」と実感し、うれしかったことを今でも覚えています。

英語圏の人たちに“伝えたいこと”を見つければ、誰でも英語は話せます

『以前、キリスト教の布教が目的で日本に来ていた米国の青年から聞いた話しですが、彼らは布教先の国が日本に決まると約1か月から3か月の間、研修所の一室に籠って布教先である日本の言葉を勉強するそうです。

その勉強の仕方というのは、朝から晩まで一日中、日本映画のDVDを観る。日本の唱歌やJポップのヒット曲・昭和の歌謡曲のCDを一日中聴く。そして、対訳形式の日本の名作物語を一日中読む。こういった方法で、彼らが“伝えたい”神様のことを日本人である私たちにわかりやすく伝える方法を身につけるということでした。これは、HくんやMさんが選択した方法と酷似している、きわめて目的合理的な言語学習方法だといえると思います』(前出大学教授・言語学博士)


日本の国内でしか、中学・高校の授業でしか英語を学んだことがなくても、英語圏で暮らす人たちにどうしても“伝えたい”こと、“訴えたい”ことがある人ならば、いたってポピュラーな方法で英語を習得することができるという実例を、いくつかお話しさせていただきました。

ご相談者さまが職員をなさっていた大学の、当時の学長室長さんもきっと、海外からその大学に訪れるお客さまたちに伝えたい“何か”があったのだろうと思います。

『あなたの中学生の娘さんにしても、そういった“伝えたい何か”さえ見つけることができたならきっと、相手から、「ネイティブですか?」と聞かれるような英語で伝えることができるはずです。少なくとも私はそう確信しております』(前出大学教授・言語学博士)

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●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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