精神科医が指摘! 高齢者によるクレームが増えている理由3つ

【ママからのご相談】
30代の会社員です。初めての子を妊娠しています。先日朝の通勤電車で優先席に座っていたら、乗ってきた70歳前後の女性から、「年寄りには席を譲りなさい」と言われ、仕方がないので立ちました。バッグにマタニティマークはつけていました。昨日は帰りの電車内で、優先席の前に立っていた若いサラリーマンの男性が、座っていた70代前半くらいの男性から、「携帯の電源を切れ。非常識だぞ」と怒られ、次の駅で降りていく場面に遭遇しました。今日の昼休みには勤務先近くのファストフード店の行列に並んでいたら、60代と見える男性に強引に割り込まれ、辟易しました。

お年寄りを敬わなければいけないのはわかっていますが、最近のお年寄りのクレームと不寛容さは度を過ぎているような気がします。どうしてこんなふうになってきたのでしょうか。

a 多くは“ルールを知らない”ことが原因。必ずしも“悪意”が全てではない。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

今、さまざまな分野の専門家が高齢者クレーマーの増加の問題を取り上げ、また高齢者に限らず若い世代にも他者に対する不寛容が高まっているといわれています。

ここではご相談者さまの疑問にお答えするため、特に“高齢者のクレームと不寛容”について、主に精神医学の立場から考えていきます。

記述にあたって都内で20年近くにわたってメンタルクリニックを開業し、高齢者の抱える心の問題と向き合ってきた精神科医にお話しを伺ったところ、“高齢者のクレームと不寛容”の多くが、“今の時代のシステムやルールを知らない”ことに起因しているという事実が明らかになってきました。

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高齢者が“知らない”から起きる問題3つ

(1)「“マタニティマーク”って何?」

『電車で出くわした70歳前後の女性ですが、“マタニティマーク”の存在そのものを知らなかったことが考えられます。もちろん中にはマタニティマークをつけている女性を、「むかつく」などといって敵視しわざとそのお腹を蹴るといったとんでもない事件も発生してはいます。

ある企業が行った調査では、嫌がらせなどマタニティマークをつけていて困ったことのある妊婦さんが9.3%もいることがわかっています。ですが、こと高齢者に関しては、“知らなかった・わからなかった”ことが、強引な、「席譲れ」の原因の大半ではないかと考えています』(50代女性/前出メンタルクリニック院長・精神科医師)

(2)「すいている方に並んで何が悪い?」

『ファストフード店の順番待ちの列への割り込みですが、銀行のATMの順番待ちの列と違い、お店側がちゃんと一列になって待てるデザイン設計を怠りいい加減な列が形成されているがために、60代くらいの男性はこれといった悪意もなく“すいていた方に並んだ”可能性も考えられます』(前出・精神科医師)

(3)「電波に強い、弱いってあるの?」

『電車内の優先席近くでの携帯電話の使用については、スマートフォンをはじめとして、現在使われている機種のほとんどが弱い電波でも通信できるようになっています。

携帯電話が発する電磁波が心臓ペースメーカーの動きに影響を与える可能性はきわめて低くなったため、今年の8月19日には総務省が携帯電話の使用規制について、その指針を緩和する主旨の発表をしています。70代前半くらいの男性は、そのことを知らなかったのではないでしょうか』(前出・精神科医師)

日常の暮らしのなかに“若い人”や“子ども”がいないことも原因の一つ

『高齢者の多くが最新の社会システムやルールに関して“知らない”状態になってしまった原因の一つに、日常の暮らしのなかに“若い人”や“子ども”がいないため、教えてもらえないという事実があります。

昭和の時代、お年寄りの多くは息子・娘夫婦と同居し、大勢の孫やひ孫たちと一緒に暮らしていました。中学生・高校生の孫たちから、「じいちゃん、今はこうなんだよ」「おばあちゃんね、それはこうやってするのよ」と教えてもらっていたものです。

今の高齢者は、多くが身近に子どもがいないため、新しい情報が入ってきにくいのです』(前出・精神科医師)

その意味ではご相談のようなケースでは、たとえば周りに居合わせた人が、「おばあさん、こちらのかたは妊婦さんですよ」と一言教えてあげるだけで場の空気がガラッと変わってくる可能性はあります。ただし今度はいわゆる“ブチ切れ”の恐れを考慮せねばならないので、「知らないのだから、許そう」程度の心がけでいればいいのだとも言えるでしょう。

子どもの声が騒音に聞こえる場合はうつ病の疑いも

『医学的に心配なのは、最近よく聞く“子どもの遊ぶ声が騒音にしか聞こえない”という問題です。

かつての高齢者は度が過ぎれば、「うるさいぞ」と叱りはしましたが、そうでなければ、「子どもが元気なのはいいこと」として、子どもの遊ぶ声を聞き流していました。そういった態度は、たとえ他人の子であっても“類として子孫を育てる”という本能からくるものでした。

それが“騒音”としてしか認識されないという訴えには、うつの疑いを念頭に置いて診察にあたる必要性も感じます』(前出・精神科医師)

ドイツのように、「乳幼児・児童保育施設及び児童遊戯施設から発生する音は、環境騒音から除外する」という主旨の法律が、わが国でも必要になってくるのかもしれません。

【参考リンク】
電波環境協議会における「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針等」の公表 | 総務省

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●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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