親の介護を見据えて今からやるべきこと4つ

【ママからのご相談】
シングルマザーです。現在は、両親が元気に過ごしていますが、年齢も80歳近くになり、将来的には介護を考えないとならない状況です。

私には兄がいますが海外赴任中ということもあり、頼ることもできません。万が一“介護する”ことになった場合、どうすれば良いのか分かりません。

a 地域包括センターに相談しておくこと。さらに、介護に関する情報を得ておくことが重要です

ご相談ありがとうございます。シングルマザーライフ研究家の此花(このはな)です。

「自分の親の面倒を見ることは当然」と考える一方で、介護したくてもできない状況になることも事実です。

親の介護のために仕事を辞めざるを得なかった方もいます。

今回は、親の介護についてお話をします。

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親の介護を見据えている人が知っておくべきこと4つ

(1)両親が元気なうちに話し合いをする

意外に思われるかもしれませんが、親御さんと介護について話し合いをしておくことをお勧めします。

親が倒れた場合に、「かかりつけの医師がいる」「普段から飲んでいる薬があるかどうか」など、あなた自身が知っておかなければならないことはたくさんあります。

そのための話し合いですから、しっかりと確認しておくことが必要です。

(2)地域包括センターの利用

これは、高齢者の生活を支える役割を果たす総合機関として平成18年4月から各市町村に設置されています。

親の住む地域の包括センターを探し、相談に行くことをお勧めします。

地域包括センターには、保健士・社会福祉士などの専門職の方がいますので安心して相談ができます。

介護予防についても支援していますから、ぜひ利用してください。

(3)介護保険サービスの利用には要介護認定の申請が必要

親の介護が必要になった場合でも、介護保険サービスがすぐに利用できるわけではありません。

地域包括センターなどで“要介護認定”の申請手続きをし、“要支援”“要介護”の認定結果が出たときに、初めて介護保険サービスの利用が可能となります。

申請には時間が掛かるので、早めの準備が必要かもしれません。この場合も地域包括センターの担当者に相談することです。

(4)一人で抱え込まない

兄弟姉妹がいても、それぞれの家庭状況で頼ることができない場合もでてきます。

だからと言って、一人で抱え込まないこと。地域包括センターの担当者や親のかかりつけの医師などと相談し、助けてもらいながら乗り切っていくことも必要です。

「助けを得ること、周囲を巻き込むこと」です。


親の介護については、不安がつきものです。介護についての情報を普段から得ておくこと。

公的サービスも利用できるものは利用するなどして、一人で抱え込まずに親の介護も自分の生活も守っていきましょう。

●ライター/此花(シングルマザーライフ研究家)

編集部追記

今回のコラムでは、「親の介護を見据えて知るべきこと」として、「話し合いをする」「要介護認定の申請方法」などのアドバイスをいただきました。

他にも介護のスタイルや介護トラブルの回避方法など、まだまだお伝えしたいことがあるので、「親の介護(介助、介添え、扶助、ケア)」について編集部でまとめてみました!

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“要介護度”を知ろう

一口に介護と言っても、その負担の重さや作業の方法などには大きな差があります。たとえば、掃除や立つときに支えてあげる程度の介護から、排泄や体を拭いたりといった重い介護まであります。

介護される人の健康状態によって、国では“要介護度”というものを設定して5段階に分けています。

要支援

要介護の前段階として、“要支援”というものがあります。日常の生活で他人の手助けが必要と判断される最初の段階です。

主に、掃除や身の回りのことを世話してもらったり、立ち上がるときに支えてもらうことが必要な状態の人が認定されます。

この段階では、食事や排泄などは自力で行うことができます。

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要支援の内容に加え、問題行動を起こすようになったり、理解力の低下が見られるようになると認定されます。

この段階から介護が必要な状態となります。

要介護2

自力での食事や排泄が困難になり、手助けが必要な状態になると認定されます。この段階では、身だしなみや家の掃除など、身の回りの一部ではなく、全般にわたって介助が必要な状態となっています。

私たちの多くが想像する“介護”はこの段階からではないでしょうか。

要介護3

今までは身の回りの世話の“介助(サポート)”でなんとかなっていた状態から、自分一人ではこなせなくなり、手伝いが“必須”になります

また、一人で立ち上がったり排泄したりすることができなくなっています。さらに全般的な理解力の低下がみられると、“要介護3”として認定されます。

要介護4

この段階から、歩いたり立ったりすることが自分一人ではできなくなります。また、これまでよりも多くの問題行動を起こすようになります

要介護5

介護の中でも、一番重い段階となります。上記の要件に加えて、食事も自分一人ではできなくなります。この状態の人を介護するのは、身体的・精神的に多大な負担があるとされています。

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介護の負担を軽減してくれる“介護保険”とは

介護保険とは、介護が必要な高齢者のケアにかかる負担を社会で支援しようという制度のことです。

介護保険には民間のものと公的なものがありますが、私たちがイメージする方の介護保険は公的な介護保険のことです。

代表的な保障内容としては、訪問介護や介護施設にかかる費用を9割負担してくれることが挙げられます。

しかし、以下でも説明しますが、いくらでも負担してもらえるというものではなく、利用限度額には上限があります。

“要介護度”と“介護保険の利用限度額”の関係性

介護保険で利用できる限度額は、上述した要介護度と関連して変動します。

要支援の段階では約5〜10万円、要介護1で16万程度、要介護5になると36万円まで利用することができます。

介護保険の申請方法

介護保険のサービスを受けるには、まず要介護認定をしてもらう必要があります。

認定には、市町村などの調査員が家や施設にやってきて、認定調査が行われるほか、お医者さんの診察も必要となります。一定の条件をクリアすると認定されます。

要介護認定をしてもらったら、今度はケアプランの作成を行う必要があります。

“要支援”枠の人は地域包括支援センターへ、“要介護”枠の人はケアマネージャーがいる居宅介護支援事業者へと依頼します。

そしてケアプランが完成したら、無事介護サービスを利用することができます。

セルフケアプランという選択肢

ちなみに、ケアプランは基本的にケアマネージャーに委託することが多いですが、自分でケアプランを立てる(セルフケアプラン)方法もあります。

メリット

セルフケアプランをするメリットとしては、他人任せではなく自分や家族が主体的にプランを組み立てることで、ムダのないケアをすることができます。

また、自分たちで作ったプランに沿ってケアをしていくことで、当事者意識が強くなり、介護への取り組みに熱意が生まれる場合もあります。

デメリット

自分でケアプランを立てる場合に懸念されることは、プランニング時に視野が狭くなってしまうことです。

事業者や介護施設などの情報収集を自分でしなければならず、偏ったプランになってしまう恐れがあります。

また、本来ケアマネージャーが行ってくれる煩雑な各種手続きも自分でしなければなりません。

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主な介護のスタイル

これまで介護の制度について見てきましたが、実際に介護が行われる場所には大きく分けて2つあります。

それは、高齢者住宅や老人ホームなどの“介護施設”と自分や家族の“自宅”です。どちらで介護を行うかは、

家族間の話し合い
・金銭状況
・本人の希望

などで決められることが多いようです。たとえば、家族間の話し合いであれば、きょうだい間で介護する時間や労働力があるのかを検討した上で決定します。

また、高齢者住宅や老人ホームはお金がかかるので、経済的な余裕も重要な判断基準となります。

本人の意思(身内に下の世話をしてほしくないなど)によっても左右されます。

介護施設の主な種類6つ

(1)高齢者専用賃貸住宅

各都道府県の知事や指定登録機関に登録された“高齢者用”の賃貸住宅です。入居対象者は主に自立できる状態の人か軽度の要介護状態の人を受け入れているようです。

ちなみに、バリアフリーや地方公共団体から助成が受けられる“高齢者向け優良賃貸住宅”というものもあります。

入居のメリットとしては、その契約のしやすさと住みやすさが挙げられます。

反対にデメリットとしては、全体的に費用が高いことと、重度の介護状態の人はいずれ場所を移す必要があることです。

(2)シルバーハウジング

高齢者用の公営住宅のことで、高齢者が住みやすいように安全性、快適性を追求した造りになっています。

シルバーハウジングでは、近くにライフサポートアドバイザーと呼ばれる生活支援員が配置されており、生活相談や緊急時の対応などをしてくれるため、高齢者は安心して生活を送ることができます。

しかし、シルバーハウジングは老人ホームなどと違って“自宅要素”が強いので、緊急時の対応が遅れてしまうこともあります。

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(3)有料老人ホーム(住宅・健康型)

住宅型有料老人ホームは、民間が運営する介護施設で、基本的に要支援程度の高齢者を受け入れています。

設備はバリエーション豊富で、施設によっては美容室や売店、カラオケや図書室などがついている場合もあります。

(4)有料老人ホーム(介護型)

大きく分けて2種類あり、要介護者しか入居できない施設と自立の人も対象となる施設があります。

基本的に民間の会社によって運営されているため、受け入れの基準やサービス内容は施設ごとに大きく変わります。

上記で紹介した施設と違い、寝たきりや認知症などの重い要介護者を受け入れるところもあります。

主なサービスとしては、食事から洗濯などの身の周りの世話・レクリエーションの開催、排泄や入浴などの介護、カウンセリングなどの精神的ケアがあります。

(5)ケアハウス

ケアハウスは他の施設よりも比較的費用が安く、身寄りがなかったり、家庭環境・経済面などの理由で一人暮らしをしている高齢者が主な入居の対象となります。

しかし、一般型とも呼ばれる自立型の施設では介護や医療のサービスが限定的であることに留意が必要です。

(6)特別養護老人ホーム

地方自治体や社会福祉法人などが運営する公的な介護施設です。主な入居者は重度の要介護者で、一度入居した人はそのまま一生をそこで過ごす人が多いとされています。

受け入れの基準は厳しく、国の財政不振のために施設の数も需要に対して不足しています。

そのため、約40万人以上が受け入れを待機していると言われ、入居までに数年を要することもあります。


専門の職員が介護サービスを行ってくれたり、高齢者同士で交流ができるなど、メリットがたくさんある介護施設ですが、その裏では危険な事件も起きています。

職員による暴力事件や窃盗事件、あげくの果てには殺人未遂など、要介護者にとってもその家族にとっても安心できない状況が続いています。

介護業界の過酷な労働環境が原因とされていますが、その実態は外からは見えづらいものです。

介護施設を選ぶ際は職員の態度や入居者の様子などをみて、安全な場所かどうかを見極めましょう。

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在宅介護のメリット・デメリット

メリット

一方、自宅での在宅介護では、介護施設にありがちな金銭的な悩みや長期間の入居待ち状態がありません。

また、施設内の規則などもないため、要介護者はリラックスして生活を送ることができます

必要に応じた介護サービスを自分で選択できるのも魅力です。在宅介護のメリットをひと言で表すと、自由が利くという一点に尽きるでしょう。

デメリット

その一方で、やはりデメリットとしてあげられるのが介護者の大きな身体的・精神的負担です。

介護者がパートナーや兄弟の助けがない状態で介護を続けると、いわゆる介護疲れを起こし、うつ病などの精神病にかかることが多いとされています。

そのため、家族間でよく話し合い、作業を分担したり、金銭の援助などで協力し合うことが大切です。


上記でも述べたように、在宅介護の負担はすさまじいものがあります。

親の介護のために仕事を辞めて生活が困窮し、心身の疲れから実の親を手にかけるという悲しい事件も起こっています。

とにかく一人で抱え込まないことが肝心です。周りに介護を協力してくれる人がいない状況であれば、役所などの公的機関に相談したり、介護サービスを受ける選択肢も考えるようにしましょう。

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介護離職をする人は年間10万人!?

介護離職とは介護を理由に仕事を辞めることを指しますが、年間で約10万人もの人が介護離職していると言われています。

また、総務省の調査によると、働きながら介護をしている人は約240万人にのぼるという結果が出ています。

なぜ介護離職をしたり、働きながら介護をする人が多いのでしょうか? それは、日本では介護休業が実際にはあまり使用されていないことに起因します。

「休んだらポジションを下ろされるかも」「リストラされるかも」といった、日本の会社組織の風習を不安に思い、活用することができないのです。

また、介護離職をする人の年齢は40代から増加する傾向にあり、再就職が難しくなる年齢であることから、経済的な困窮に陥るケースも少なくありません。

この現状を受けて厚生労働省では、各事業者に仕事と介護の両立を支援するよう呼びかけています。

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老老介護はなぜ危険なのか

介護問題では介護離職のほかに、高齢者が高齢者を介護する“老老介護(老老看護)”も同じく問題視されています。

老老介護は、“子どもがいない”、“親子ともに高齢”といったやむを得ない状況で高齢者同士が介護をする状態を指しますが、年老いた体への過大な負担からうつ病などに陥るケースが後を絶たないとされています。

また、精神的な病気だけでなく、介護者と被介護者がともに認知症にかかる可能性があり、そうなると火の不始末による火事介護の中断、放棄などのリスクもあります。

本人たちによる介護サービスの利用拒否も多く見られるとのことなので、しっかりと老老介護の危険性を伝えてあげる必要があります。

ケアラー(介護者)をケアする必要性

高齢化社会が加速する日本では、今後も要介護者はどんどん増えていきます。

その一方で少子化による介護者の減少が懸念されており、ケアラーへの十分なケアがとても重要な課題となります。

気軽に介護の相談ができるサービスやプライベートの確保、国からの十分な介護手当などケアラーへの配慮を前提とした制度の整備が必要です。

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介護トラブルを解決しよう

義両親の介護編

介護のトラブルでよく聞くのが、義両親の介護問題。とくに女性(嫁)が悩みがちな問題です。夫の両親とはいえ、自分からすれば赤の他人。

やはり介護を負担に思う人も少なくないようです。さらに、日本では“介護は女性がするもの”という意識がいまだに根付いており、男性よりも女性の方に介護のしわ寄せが行きがちになります。

そのことで余計に不満やストレスを抱えてしまうのです。

解決にはやはり夫の協力が必要不可欠です。金銭的な面や仕事面などから介護のことを今一度じっくり考慮し、夫婦間で話し合いましょう。誰だって自分の親は自分で介護したいものです。

しかし、環境によってはそれがとても難しいこともあります。「親は大事。絶対に自分で介護する」と意気込んで自分の家庭が崩壊しては本末転倒ですから、何が最善かをよく検討しましょう。

きょうだい間でのトラブル編

こちらも介護トラブルでよく聞くケースですね。きょうだい間の介護トラブルで多いのが、“誰が親を引き取るか”という問題。

「長男・長女だから」「お金を稼いでいるから」「子どもがいないから」などが主な争点となりますが、結局こじれてしまうことが多いようです。

また、相続の問題もあります。親を引き取って介護をしている人は、他のきょうだいよりも当然多くの財産を相続できると考えます。

しかし、親が「きょうだい平等に」などの遺言を残していたりすると、介護している側は納得ができず、裁判まで発展するケースも少なくないようです。

きょうだい間で介護トラブルを起こさないためには、まず事前に誰が介護するかを話し合うことが大切です。

そして、介護者が決まったら、他のきょうだいによる金銭の援助、相続の割合などを決めておきます。そうすると親が亡くなった後の泥沼の争いを避けることができます。


いかがでしか? 「介護のスタイル」や「介護トラブルの回避方法」などを紹介しました。

これから日本は、被介護者が増えて介護者が減るという、介護大国となります。誰もが回避できる問題ではありません。

他人事と思わずに、今のうちから両親や家族と介護プランについて話し合っておきましょう。

(パピマミ編集部/上地)

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