一見“イイ子”は危険? 子どもが親の顔色をうかがう理由と正しい接し方

【ママからのご相談】
もうすぐ6歳になる娘のことで相談です。あまり厳しく叱らなかったせいか、4〜5歳くらいから親のことを甘く見るようになって全然言うことを聞かなくなりました。

これではいけないと思い、悪いことをしたときはかなり厳しい口調で怒るようにし始めたところ(手は出しません)、今度はいちいち親の顔色をうかがって言動するようになってしまいました。

一見“いい子”になったようですが、いつまでも親の顔色をうかがってしか行動できない子にはなってほしくありません。

このへんの調整がよく分からなくなってきてしまいました。

あまり親として態度をころころ変えるのもよくないと思いますし、アドバイスお願いします。

a お子さんの心の安定を図ることから始めましょう

こんにちは。塾講師をしていたころに、似たような質問をされたことのあるメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。

相談者様のお子様は、大人の気持ちを察知できて、とても敏感で勘のいい子ではないかと思います。

そのため、「こうしたらお母さんに嫌われてしまう」といい子を装ってしまうようになったのではないでしょうか。お母さんの立場からすれば、不安でしょうがないですよね。

でも、6歳くらいのお子さんの考えは「お母さんに嫌われたくない」です。

お互いが無理をせず、お子様の心の安定を図りながら、良いことと悪いことのメリハリをつけて接していくことが大切です。

親が子どもを叱るということ

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小さな子どもは自分の力だけで生きていくことができないため、親の様子をつぶさに観察し受け入れてもらおうと行動します。

そこで、叱られたり不機嫌な態度を取られてしまうことで、子どもは自分の行動だけでなく存在そのものが否定されたかのように感じてしまうのです。

子どもは自分の身を守るために次第に親の顔色をうかがうようになり、これがその後の人間関係において重要な核として形成されてしまいます。

これによって、大人になってもその思いを持ち続けることにつながり、相手が親でなくなっても同じように顔色をうかがうようになってしまうのです。

人生脚本と幼児決断

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子どもは、3歳から遅くとも7歳ぐらいまでに「こんなふうに人生を送ろう」という『人生脚本』を書き上げると言われています。

これは自分の人生の“あらすじ”のようなもので、子どものころに下した『幼児決断』によって徐々に作られていくもの。

脚本の根幹となるのは、「親にいい子だと思われたい」「親に見捨てられたくない」という感情です。

なにか行動するたびに親から叱られていた人は、「怒られないように何もしないでおこう」というネガティブな幼児決断を下すようになります。

また、いつもは厳しい親が病気をしたときだけは優しくなった、という経験をした人は多いのではないでしょうか。

これにより「健康な姿ではなく病気がちな自分でいよう」という異常な決断まで下すようになってしまうのです。

このような幼児決断が積み重なることで、「自分はこんなふうに人生を送るのだ」という脚本が作り上げられることになります。

自分の持つ人生脚本に沿った人生を送る

人生脚本が作られるのは、人生のことについてまだなにも知らない幼児期です。

そのため、成長するに従いどうしても生きづらさを感じるようになります。

特に、交際、受験、就職などプレッシャーのかかる場面で不都合な反応をしてしまうことがあるでしょう。

人生の重要な局面では必ず姿を表し、その人の行動を支配するのです。

成長するにつれ、これにあらがおうと“対抗脚本”を作り出すこともありますが、人生脚本の方がより強い支配力を持っているた、潜在意識から消し去ることは容易ではありません。

子どもが親の顔色をうかがう理由3つ

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(1)子どもは親から離れることができない

子どものころに、親から認められたという経験に乏しい人は、自己肯定感が低い傾向にあります。

しかし、自分に自信が持てず自己肯定感が低くなったとしても、幼少期に自分の周りに存在するのは親だけであるため、そこから距離を置くことができません。

子どもにとっては親の評価が全てなのです。

(2)承認欲求が芽生えてくる

常に否定され、行動を抑制されながら成長してきたとしても、「褒められたい」「認めてほしい」という感情を失うことはありません。

これが承認欲求です。

そのためには親の持つ考えと自分の行動を一致させる必要が出てくるため、次第に親と違う考えを持つことを恐れて迎合するようになり、顔色をうかがうようになっていきます。

(3)顔色をうかがうのは、「嫌われたくない」の気持ちの表れ

これは私にも経験があります。

父が厳しい人でしたので、「怒られないようにしよう」「お父さんにいつも笑ってもらえるように頑張らなくちゃ」と考え、いつも顔色をうかがっていました。

私の当時の口癖は「お父さん、怒ってない?」です。母に毎回聞いていました。

親のことを本当に嫌いな子どもなんていません。

大好きなお母さんに、「怒られたくない」という気持ちの他に、「私が悪いからお母さんを怒らせている」という気持ちが働いて、顔色をうかがってしまうような行動になってしまうのです。

このような場合は、愛情不足が原因になっていることが多いです。子どもの愛情の欲し方は底なしです。ここまでやったからいいというラインなんて存在しません。

だから子どもが欲してきたときは、その都度埋めてあげる必要があります。

親にとっては本当に大変なことですが、顔色をうかがってしまう子どもには効果的です。

抱っこ、手を繋ぐ、頬ずりなどのスキンシップをしてあげてください。

子どもの自己肯定感を奪う親の特徴4つ

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(1)過保護・過干渉

子どもに対し過剰な愛情をかけ、危険な目に極力合わせないよう過保護に接することで、子どもの成長のチャンスを奪い、「自分ではなにもできない」という気持ちを芽生えさせることで自己肯定感が奪われることも。

また、必要以上に口を出してくる過干渉な親も、子どもが自分で行動を選択する自己決定権を奪ってしまうことにつながるため、子どもが肯定感を得る機会を失ってしまいます。

これは親自身の自己肯定感が低いことも原因のひとつであり、このような育てられ方をした子どもは自分の子どもにも同じように接してしまう傾向にあるため、負のスパイラルが生まれることになるでしょう。

(2)他人と比べる

子育ての基本は、子どもを独立した存在として見て導いてあげることです。

しかし、子どもが成長するにつれ集団生活が始まるようになると、次第に他の子どもとの差に目がいくようになります。

そこで「あの子にはできるのにどうしてあなたはできないの?」などと、子どもに直接的な言葉をかけることは厳禁です。

このような言葉をかけられて育った子どもは、人との比較でしか自分を認めてもらうことができないと思うようになり、常に他人の目を気にするようになります。

また、親が他人との比較でしか子どもを評価できないという考えに陥ってしまうと、親自身が「自分の育て方が悪かったのでは……」という考えを持ち、より一層子どもに対して教育的で否定的な言葉をかけるようになってしまいます。

親と子ども、どちらにとってもデメリットしかありません。

(3)ご褒美を与える

子どもに課題を与え、それが達成できたときの見返りとしてご褒美を与えることがあるかと思いますが、これも毒親の特徴です。

モノを与えられたとしても、そこに親の愛情を感じることはありません。

さらに、これを続けることで褒美を与えられなければ行動しない受動的な子どもになる危険性もあります。

子どもを褒める場合には、言葉や愛情で好きだということを示すようにしましょう。

(4)完璧を目指す

子どもはいろいろなことがうまくできなくて当然です。そこで完璧を目指そうとしてしまうと、どうしても親が手助けをしたくなります。

また、“半分できた”という場合でも“できなかったこと”に目が向いてしまうため、子どもを褒める機会を失ってしまうのです。

「できなくて当然」という考え方で接することが必要でしょう。

そもそも子どもの行動自体を評価するのではなく、存在自体を褒めてあげることが重要なのです。

顔色をうかがう子どもが大人になったときの特徴3つ

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(1)迎合グセがつく

承認欲求を満たすことは自分一人ではできません。他者との前向きなコミュニケーションがあってはじめて高めることができるものです。

この欲求を満たしたいという気持ちが過剰な状態になってしまうと、他者に“迎合”することにつながります。

表面上はスムーズな交流ができているかのようにも見えますが、これがクセになってしまえばのちのち自分を苦しめることになってしまうでしょう。

きっかけとして、“相手を認める”コミュニケーションは有効な部分もあります。他者から受け入れられることで自らの承認欲求が満たされていくからです。

しかし、これを継続すれば、自分の本来あるべき姿から離れていき歪んだ人物像ができあがってしまうことにもなりかねません。

迎合にストレスを感じるようになれば、それは距離を取るサインといえるでしょう。

(2)自己抑制するようになる

自分の行動を否定され続けてきたことで、子どもには「感情を表に出さない」ということが自分の中の正解になってしまうのです。

自分の感情を抑えることが“イイ子”である条件だとインプットされており、この考え方から抜け出すことは困難だといわれています。

(3)自分の子どもも同じように顔色をうかがうようになる

顔色をうかがいながら大人になってしまった場合、自分が親の立場になったときにその子どもも同じような傾向を持つ可能性が……。

自分を否定する人生脚本を持つ人は、おそらく「自分の子どもには同じような目に合わせたくない」と感じているでしょう。

しかし、ストレスを感じた際にマイナスな感情を生み出す脚本は潜在意識の中に組み込まれているため、無意識のうちに自分の子どもにも同じような態度をとってしまうのです。

それは自分の親と同じような教育をしてしまうからかもしれませんし、顔色をうかがう大人の姿を子どもが見て、同じように行動するからかもしれません。

もちろん、すべての人がこのようになるというわけではありませんが、可能性は低くはないでしょう。

子どもの自己肯定感を高める育て方4つ

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(1)成功体験を積ませる

子どもの「できた!」という経験は、自己肯定感を飛躍的に高めます。うまくできない姿を見て手伝いたくなったとしても、ぐっと我慢してください。

子どもにとっては、失敗することも成長するために重要なこと。

また、褒めることも大切で、できたことに対してはもちろん子どもの存在自体を丸ごと肯定し褒めてあげるようにしましょう。

(2)常に子どもの味方であることを伝える

子育てをしていると、つい感情的になってしまい子どもを叱ってしまうこともあるかと思います。

しかし、感情にまかせて怒ってしまうと、行動に対する評価の基準がブレてしまい子どもを混乱させてしまうことにつながります。

迷ってしまった子どもは、「分からないからやらないでおこう」とネガティブな選択をしてしまうことに……。

これを防ぐためにおすすめの方法が、子どもに自分が味方であると伝えることです。

これにより子どもは安心して行動に移すことができ、仮に感情的に叱ってしまうことがあっても信頼が薄れることはありません。

(3)話を真剣に聞く

子どもだからといって話半分に聞いていると、その不真面目な態度を敏感に察知します。

「自分の話は聞いてもらえない」と感じた子どもは、自らの意見を表に出さなくなり、内向的な性格に。

逆に真剣に話に耳を傾けることで、「大人と対等に話す自分」と思わせることができ、自己肯定感の高い子どもに育てることができます。

子どもと接するときに一番大事なことは、目を見て話をすることです。

ここで勘違いをしないでほしいのは、自分の目の高さから子どもを見下ろして合わせるのではないということです。

子どもの目の高さまで親が降りることが重要なポイントとなります。叱るときでも褒めるときでもこれは変わりません。

叱るときは、「これは叱らなくてはいけない」と感じたときに全力で叱ります。これは大切にしなくてはいけません。

命を危険にさらしてしまう行為をしたとき、人様に迷惑をかけてしまう行為、特にこの2つは大切です。

相談者様は、「態度をころころ変えるのは良くない」と思われているようですが、叱らなくてはいけないところはきちっと叱るべきですし、褒めるところはしっかり褒めることが大切です。

甘やかすのと甘えさせるのはまったくの別物ですから、この部分は気をつけましょう。

(4)存在自体を認める

子どもを叱るときには、その言動に対してのみ叱り、子どもの存在自体を否定するような言葉を使わないようにしましょう。

存在を否定された子どもは、褒められるかもしれない行動にも躊躇するようになり、次第に自己肯定感がうすれることになります。

「そのままのあなたでいい」ということを伝えることで、子どもは大きな愛情を感じることができるでしょう。

つい人の顔色をうかがってしまう人向けの対処法2つ

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(1)アサーティブコミュニケーション

嫌われることを恐れ、自分の望まない行動をイヤイヤ引き受けてしまうという人もいるのではないでしょうか。

そんな人におすすめのトレーニング法のひとつが、アサーティブコミュニケーションです。

アサーティブというのは“主張”という意味ですが、これは自分の意見を強引に押し通すことではありません。

自分の意見を誠実に表現し、それと同時に相手の意見も尊重しながら人間関係を築くことが求められます。

“素直な気持ちで”“柔らかで肯定的な言葉で”“双方を尊重する”という3つのことが軸となるコミュニケーション術です。

(2)交流分析

精神科医のエリック・バーン博士が開発した体系的な心理療法のことで、対人コミュニケーションのあり方から自分の心の状態を知るというものです。

この交流分析の理論に基づいた心理テストを行うことで、自分の心理状態を客観的に判断することができ、思考や言動を変えていくことにつながります。

人の顔色をうかがいすぎて自分で自分が分からなくなってしまったという人は、一度受けてみるのもいいのではないでしょうか。

まとめ

「子どもの自己肯定感を奪う毒親の特徴」や「顔色をうかがってしまう人におすすめの対処法」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

子どものころは、顔色をうかがうことが自分を守るための行動だったとしても、成長するにつれ自分を苦しめていくことになります。

本当の自分を出して、それを受け入れてもらえる人間関係が理想的ですよね。

すぐに自分を変えることは難しくても、徐々に意識を変えていくことでストレスのないコミュニケーションがとれるようになるのではないでしょうか。

【関連コラム】
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【参考文献】
・『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わるほめ方・叱り方』明橋大二・著

●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)
●ライター/パピマミ編集部

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