ベビ待ち女性に多く見られる「想像妊娠」の基礎知識4つ

【女性からのご相談】

結婚2年目です。そろそろ子どもが欲しくて、夫婦で子作りを頑張っていますが、なかなか授かりません。

すると最近、妊娠していないのに悪阻のように吐き気がしたり、生理が遅れたりします。これって想像妊娠ですか? 想像妊娠についての知識がないので、教えてください。

a 想像妊娠かと思ったら、まずは妊娠検査薬を!

こんにちは。助産師のHillです。

赤ちゃん待ちの時間、長くてつらいですよね。

毎月生理予定日近くなるとそわそわして不安定になり、妊娠超初期症状が出ているような気がして、検査薬をフライングで使ってしまう……そういう経験を持つ女性は、きっと少なくないと思います。

そんなとき、「これは想像妊娠なのかな?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。

今日は、この想像妊娠についてお話ししたいと思います。

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(1)想像妊娠とは?

想像妊娠とは、実際には妊娠していないのに、妊娠と同じ症状が現れることを言います。

日本語の響きでは、まるで造語の様で病名には聞こえませんが、英語では『Pseudocyesis』といい、きちんとした病気です。

症状としては、

・生理の遅れ
・つわり
・乳房増大
・乳首の黒ずみ
・腹部の膨大

など、妊娠と同じ症状が現れます。また、そのまま進行して予定日近くになると、陣痛や出血が起こる場合もあります。

妊娠と想像妊娠の決定的な違いは、

(a)尿中(血液中)のHCGが上昇しない
(b)子宮内に胎児がいない

の2点です。

つまり、妊娠検査薬で陽性になることはないし、エコーをしても胎児が見えることはないということです。

(2)なぜ起こるのか?

想像妊娠に関しては、あまり研究が行われておらず、多くのことが明らかになっていません。

しかし、過去の症例から、20歳〜39歳の女性で、長年妊娠を強く希望しているか、流産の経験がある、または繰り返している方に起こることが多いようです。

以前は、「女性は結婚したら妊娠するべき」という風潮があり、そのプレッシャーから想像妊娠の症例が多く見られたと言われています。

しかし、現在ではその件数は減少傾向にあるようです。この背景には、妊娠検査薬や妊娠初期のエコーの普及もあるでしょう。

なぜ妊娠していないのに、こうした症状が現れるかについては、「脳が妊娠している」と誤認して、エストロゲンを妊娠期と同様に多く分泌するからだと言われています。

患者女性が妊娠していると思い込み、その思い込みが脳の機能まで変えてしまうのです。

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(3)帝王切開にまで至ったケースも

2013年12月、ブラジルで、37歳の女性が緊急帝王切開を受けましたが、お腹の中に赤ちゃんの存在はなく、想像妊娠であったことが分かりました。

この女性は、妊娠初期から助産師による妊婦検診を受けており、子宮は順調に大きくなっていたとのことです。

予定日を1週間過ぎたころに陣痛と出血が起こり、病院に駆け込んだところ、胎児心拍が聞こえず、緊急事態と判断した医師によって帝王切開が行われましたが、子宮内に赤ちゃんはいませんでした。

また、2010年には、アメリカでも同様のケースがあり、やはり予定日を過ぎた女性が、2日間の誘発剤使用の挙げ句に帝王切開を施され、想像妊娠であったことが判明しています。

多くの場合、初期のうちに尿検査やエコーなどで妊娠していないことが判明し、それとともに症状は消えます。

しかし、上記のような例では、本人の思い込みがあまりにも激しく、初期の尿検査での陰性を信じようとせずに症状が持続したと推測されます。

日本では妊娠初期にエコーを受けることは常識ですが、多くの国々では、エコー検査の回数は圧倒的に少なく、また、本人の希望によっては一度も受けないという選択も認められています。

(4)想像妊娠を防ぐには

赤ちゃんが欲しいという願望があまりにも強いと、その感情をコントロールするのは難しく、想像妊娠に関しても、努力で防げるという種類のものではないと言って良いでしょう。

万が一、妊娠検査薬で陰性が出ても症状が続くようなら、それは重症と言えますので、産婦人科を受診し、心療内科などを紹介してもらいましょう。

妊娠検査の結果が陰性だとわかった時点で妊娠症状が消えるようであれば、心配することはありません。


大事な試験の前夜には良く眠れなかったり、遠足の前日にお腹が痛くなったりするように、期待や不安が、身体症状となって現れることは珍しくありません。

あまり深刻に考えず、また次の月を心待ちにすれば良いのです。

その際、「生理が来たからお酒を飲みにいこう」とか、「甘いものをたくさん食べよう」など、妊娠していたらできないようなことをして、少し自分を甘やかすのも良いかもしれません。

自分のところにもいつか必ず赤ちゃんが来ると信じて、ゆったり待てると良いですね。

●ライター/Hillまゆ子(助産師)

編集部追記

今回のコラムでは、想像妊娠を克服する方法として、「深刻に考えないようにしましょう」という視点でアドバイスをいただきました。

「想像妊娠(偽妊娠)」について、一般的にはどう言われているのか、編集部でまとめてみました。

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想像妊娠で実際にお腹がふくれるワケ

上記コラムでも軽く触れられていますが、想像妊娠をすることによって、お腹が膨張する人もいます。

妊娠しているわけでもないのに、どうしてお腹がふくれるのかと不思議に思いませんか?

実は、“想像妊娠によるお腹のふくれ”は、便秘が原因の一つなのではないかと言われています。

過剰なストレスにさらされると、人は便秘になりやすいですが、便秘が悪化すると、便が腸にたまってしまうため、お腹がふくれてしまいます。

想像妊娠をする人の中には“胎動”を感じるケースもありますが、これは便秘による膨満感や腸のぜん動運動を胎動だと勘違いしているのです。

また、想像妊娠に気づかずに出産予定日まで進行した場合に陣痛を訴える人もいますが、これも便秘の痛みが関係しているケースがあるようです。

妊娠検査薬が陽性になることも!?

想像妊娠は、妊娠したときと同じような症状がでてくるため、自分で見分けることが難しいとされていますが、その方法の一つに“妊娠検査薬”を使うことが挙げられます。

いくら妊娠の症状の似ていても、結局のところは妊娠していないため、検査薬が陽性になることはありません。

しかし、妊娠していないのに妊娠検査薬が陽性になったという事例も数多く存在します。

このようなケースには、ある“からくり”が隠されています。

皆さんは“化学流産”をご存じでしょうか。卵子と精子の受精が起こったにも関わらず、子宮の中で着床まで至らなかった場合の流産です。

この化学流産は妊娠の超初期に起こりますが、その間に妊娠検査薬を使うと陽性反応が出ます。

そのため、妊娠検査薬を使用したときには“妊娠している”状態でも、病院で受診したときには流産により“妊娠していない”という状況が起こりうるのです。

つまり、「想像妊娠でも妊娠検査薬で陽性になった!」というケースのほとんどは、化学流産が原因なのです。

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基礎体温でも想像妊娠かどうかを判断できる

妊娠検査薬を使ったり、エコー検査をすれば高い確率で想像妊娠であることを断定できますが、実はこの2つ以外にも、お金を使わずに想像妊娠かどうかを判断する方法があります。

それは“基礎体温をつける”ことです。

一般的に、妊娠をすると高温期が長く続くと言われていますが、想像妊娠の場合は約2週間程度で体温が下がります。

高温期(黄体期)は、受精卵を着床させるためにプロゲステロンが分泌されることで起こりますが、妊娠していない場合はそれが短期間で終わります。

この高温期が3週間以上続けば妊娠の可能性が大きくなりますが、想像妊娠の場合はそこまで至らないことが多いのです。

もし、妊娠していないのに高温期が3週間以上続くようであれば、『黄体存続症』(ハルバン症候群とも)の可能性がありますので、病院で診てもらうようにしましょう。

想像妊娠しやすい人の特徴

最近ではエコー検査の登場などにより、想像妊娠をする人は減少しましたが、今でも想像妊娠に悩んでいる人はいるようです。

そもそも、想像妊娠はどのような人がなりやすいのでしょうか。

一般的には、妊娠に強い関心を持っている“神経質”な女性が発症しやすいと言われています。

想像妊娠には2種類あり、“願望型”と“不安型”に分けることができると思います。

前者は、両親やパートナーなどに妊娠を強く望まれていたり、自分自身で強く願っていることでストレスが過剰になり、ホルモンに影響を与えるといったケースが多いようです。

後者は逆に、「絶対妊娠したくない」という不安から、妊娠症状に対して敏感になることで起こります。

いずれも妊娠による強い関心がストレスに変わることが原因ですが、中には会ったこともない理想の俳優との子どもを想像妊娠する人もいるようです。

自分自身では「会ったことないから妊娠するわけない」と分かっているはずですが、それを無視して想像妊娠まで行き着く情熱には、驚くべきものがありますね。

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男性でも想像妊娠することがある

上で書いた「理想の俳優との子どもを想像妊娠した」という話を信じられない人は、こちらも参考にしてみてください。

基本的には女性に起こる想像妊娠ですが、まれに男性でも発症することがあり、イギリスで実例が存在します。

その男性は、妻が妊娠した後に自分にも“つわり”などの妊娠症状が出ていることに気づいたといいます。

吐き気や体調不良などの症状だけでなく、“食べ物の好みが変わる”“お腹がふくれる”“体重が増加する”といった妊婦特有の症状も出たそうです。

「男性であれば妊娠するはずがない」と誰もが思う話ですが、実際に発症している人がいることから、上記の女性の話と同じように“人には常識を無視できる思いの強さ”があることが分かります。

実際にそれで身体症状まで出るんですから、なんだか神秘的な現象のように思えますね。

動物にも想像妊娠がある!?

上記では人間が引き起こす想像妊娠についてお話ししてきましたが、実はイヌやネコ、パンダなどのほ乳類も想像妊娠することが分かっています。

原因

正確には、動物の想像妊娠は“偽妊娠”や“疑似妊娠”と呼ばれますが、その理由は想像妊娠を引き起こす原因の違いにあります。

人は「妊娠したかも」という想像で妊娠症状が起きるようになりますが、動物の場合は発情期によるホルモンバランスの乱れが主な原因となります。

動物がホルモンバランスを崩す理由としては、たとえばイヌの場合は人間同様に黄体ホルモンを分泌させますが、発情後期というものがあり、黄体ホルモンの分泌がすぐにはなくなりません。

そのため、ホルモンの分泌が長引くことがあり、そうなると想像妊娠の状態を引き起こしやすくなります。

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症状

動物の想像妊娠も、人間同様に通常の妊娠症状と同じ症状を引き起こします。

たとえば、交配した後の食欲低下、食事量の減少、睡眠時間の増加、腹部の膨張などがあります。

また、イヌの場合は新聞紙などを用いて“巣作り”をしたり、愛着のある物(人形など)に母乳を飲ませようとする行動を取ることもあります。

対処法

基本的に、動物の想像妊娠には経過観察が取られることが多いですが、乳腺炎を引き起こしたり子宮蓄膿症から腹膜炎になったりするリスクがあるので、あまりにも想像妊娠を繰り返すようなら、避妊処置を受けさせることも一つの手です。

不妊治療によって卵巣を取り除けばホルモンの分泌が抑えられ、想像妊娠することがなくなります。


「想像妊娠しやすい人の特徴」や「男性の想像妊娠」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

今はあまりなくなったとされる想像妊娠ですが、病院や検査薬などで明確に否定される前は妊娠症状を感じたという人も少なくないようです。

どうしても不安になったら、基礎体温を測る、妊娠検査薬を使う、病院で受診するなどの対策をとって、不安を取り除くようにしましょう。

また、パートナーや親戚からの“妊娠プレッシャー”や過剰な妊娠願望は想像妊娠の原因になるので、なるべく気楽に妊娠を考えるようにしましょうね。

(パピマミ編集部/上地)

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