普通分娩との違いとは? 帝王切開手術の基礎知識4つ

【女性からのご相談】
現在妊娠32週です。妊娠経過は順調で帝王切開の予定はないのですが、やはり万が一のことを考えると不安です。

帝王切開と普通分娩では、その後の経過なども変わって来るのでしょうか?

a 入院日数が少し延びるだけで、基本的には変わりません。

こんにちは。助産師のHillです。

確かに、普通分娩のつもりで準備していても、現実には帝王切開になることもあり得ますよね。

特に、上のお子様をお持ちの方は、入院期間が延びたり、傷口が痛んで育児に支障が出たりなど、心配なことも多いかと思います。

そこで今日は、助産師としての今までの勤務経験を踏まえて、手術から退院後までの一般的な流れをご紹介します。

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(1)全身麻酔は緊急時のみ

緊急手術と言うと、ドラマのように口にマスクを当てられて、眠らされて、目が覚めたら赤ちゃんが出ていた、という場面を想像する方もいるかと思います。

しかし、よほどの緊急性がない限り、通常は硬膜外麻酔か腰椎麻酔が施されます。

つまり、手術中も意識はハッキリしているのです。ですから、赤ちゃんが生まれた瞬間も見ることができますし、手術室にいる間に赤ちゃんを抱くこともできます。

ご主人の立ち会いについては、許可している病院とそうでない病院があると思います。また、緊急性によって異なる場合もあります。この点については、事前に担当医に確認しておくと良いでしょう。

(2)入院期間は平均8日間

普通分娩ですと、通常入院期間は5日間ほどで、この間に、授乳指導や沐浴指導、退院後の生活に関する指導などが行われます。

これに対して、帝王切開の場合は、傷の回復に多くの時間がかかりますので、各種指導の始まりが遅く、従って退院も3日ほど延びます。

手術翌日から歩き始め、歩けることが確認できたらお小水の管がとれます(手術直前に、尿が自動的に袋に溜まるように尿道に管が入れらます)。

シャワーは2日目〜3日目、抜糸は通常術後5〜7日目に行われます。

上にお子さんがいるなど、家庭の事情で退院を早めたい場合には、できるだけ早めに助産師に相談しましょう。

ほとんどの病院では個別対応してくれるはずです。

(3)退院後も痛み止めをしっかり飲むこと

退院時には、2週間分〜1か月分の痛み止めが処方されます。

授乳中のお母さんたちは、薬が赤ちゃんに与える影響を心配して薬を敬遠しがちですが、帝王切開後の痛み止めは、指示された通りにきちんと服用しましょう

そうしないと、ベッドへの乗り降り、赤ちゃんを抱き上げる動作、授乳、沐浴などが苦痛になります。

また、睡眠にも影響しかねません。母乳に影響するような薬を出す産科医はいませんので、安心して服用して下さい。

(4)産後の健診は28日目

産後の健診は、普通分娩と同様に28日後に行われます。その際、傷の治り具合を確認するとともに、赤ちゃんの状態も見てくれます。

この頃には、傷の痛みはほどんどなくなっていると思います。

痛み止めを服用している間は車の運転もできませんが、この健診が終る頃には、痛み止めがなくても日常生活を送れるようになりますので、運転も再開できるでしょう。


普通分娩を予定していても、緊急帝王切開になる可能性は誰にでもあります。

万一の時のために、出産予定病院で帝王切開を受ける人向けのパンフレットなどをもらって、ある程度の流れを知っておくと良いかもしれません。

●ライター/Hillまゆ子(助産師)

編集部追記

今回のコラムでは、帝王切開と普通分娩の違いについてアドバイスをいただきました。

「帝王切開や普通分娩(帝切、カイザー、C-section)」について、一般的にはどう言われているのか、編集部でまとめてみました。

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帝王切開の語源は間違いから!?

日頃からよく耳にする“帝王切開”ですが、なせ“帝王”という言葉がつくのか疑問に思ったことはありませんか?

なにか壮大な由来があるのかと思いきや、実は和訳の際に翻訳ミスされたことが語源となっているようです。

もともとの言葉はドイツ語の「kaiserschnitt」となります。

頭についている「kaiser」は本来古代ローマの“カエサル”の意味ですが、翻訳の際にカイザー(皇帝)として誤認してしまったとされています。

ちなみに、なぜカエサルの名がついているかというと、古代ローマでは帝王切開が多く行われていたとされ、その象徴として当時の政治家であるカエサルが使われたようです。

ちなみに、カエサルは死に際のセリフ「ブルータス、お前もか」で有名ですね。

日本人の約5人に1人が帝王切開

お腹を切り裂くことから悪いイメージを持たれがちな帝王切開。しかし、平成23年の厚生労働省の発表によると、帝王切開をして出産した人は19.2%とされています。

つまり、日本人の約5人に1人のママが帝王切開を経験することになり、他人事ではないことが分かります。


ちなみに、海外の帝王切開事情では、中国が約60%、ブラジルが約50%、イタリアや韓国が35〜46%とも言われています。

こう見ると日本は少ない方なのかもしれませんね。

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帝王切開が増加しているワケ

帝王切開をする人の割合は、この20年でほぼ2倍も増加しています。

なぜ、帝王切開をする人が増えてきているのでしょうか。

まず挙げられる要因としては、出産の高齢化が挙げられます。日本では晩婚化が進んでいますが、その影響で高齢出産をする人も増えています。

ある程度高齢になると、出産の際に体への負担やトラブルのリスクが増加するため、帝王切開が選択されることが多いといいます。

次に、病院側のリスク回避が挙げられます。

自然分娩ではトラブルも多いため、医療事故や訴訟を未然に回避する目的で帝王切開を行う病院が増えてきているようです。

海外では帝王切開がブームに!?

2015年にWHOが、帝王切開の割合が高すぎるとして警鐘を鳴らしました。

なぜかというと、このところ海外では帝王切開がブームになっており、医療的に不必要であるにも関わらず帝王切開をする人が多くなっているからです。

海外での帝王切開率の高さは上記の通りですが、その理由として「スタイルを崩したくないから」「なるべく痛くないようにしたいから」といったものが多いようです。


1980年代から、帝王切開の割合は10〜15%が理想的とされてきました。

しかし、WHOの発表によると、2008年時点での世界の帝王切開率は、南北アメリカが35%、ヨーロッパでは約23%と水準を遥かに超えていることが分かりました。

日本も約20%であることから、過剰に選択されている傾向にあるのかもしれません。

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帝王切開には2種類ある

帝王切開には、大きく分けて2種類あります。

予定帝王切開

選択帝王切開とも呼ばれますが、36週目までの健診によって自然分娩が難しいと診断が下された場合に行われます。

手術はその翌週あたりに行われることが多いようです。

予定帝王切開が行われる主代表的なケースとしては、赤ちゃんの頭が上にある状態の逆子、双子などを妊娠する多胎妊娠、胎盤の影響で子宮口が塞がれる前置胎盤などがあります。

緊急帝王切開

こちらは、文字通り赤ちゃんやお母さんに緊急事態が起きた際に選択される方法です。

緊急帝王切開は、胎児が仮死状態にある胎児機能不全、出産前に胎盤がはがれて出血を起こす常位胎盤早期剥離、陣痛が弱く自然分娩がスムーズに行かない微弱陣痛などの場合に行われます。

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帝王切開が行われる手順

まず始めに、麻酔を打ちます。帝王切開といえば全身麻酔のイメージがありますが、お母さんの意識が残る“腰痛麻酔”などが打たれる場合が多いようです。

麻酔で痛みが麻痺してきたら、いよいよ切開が行われます。

切開の方法には“縦切り”と“横切り”が存在し、縦切りは比較的手術時間が短く、緊急時によく選択されるようです。

一方、横切りは一般的な切開方法で、緊急性がない予定帝王切開の際に行われることが多いとされます。

切開が終わると、無事に赤ちゃんの誕生です。赤ちゃんを取り出したら、切り開いた傷口を縫合していきます。

縫合には糸を使う場合とホッチキスのような医療器具を使う場合の2通りがあり、縫合箇所によって使い分けられるそうです。

縫合が完了したら、手術は終了です。

普通分娩との違い

帝王切開はよく普通分娩と比較されますが、その違いにはどういうものがあるのでしょうか。

痛み

普通分娩と帝王切開の違いとして、出産時の痛みがあります。

普通分娩の場合は、陣痛や会陰切開の痛みがあり、あまりの激痛に失神してしまう人もいます。

一方、帝王切開では、出産の際は麻酔がかけられているため、普通分娩と比べて痛みは軽いとされます。

しかし、脊髄に麻酔を打つ場合は激しい痛みを伴うことが多いようです。また、帝王切開では傷の痛みが術後に強く出ることも多く、回復が遅いとも言われています。

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出産にかかる費用

自然分娩の場合、病院によって大きく差が開きますが、平均すると50〜60万円程度かかることが多いようです。

基本的に自然分娩では健康保険が適用されませんが、子ども1人につき42万円支給される出産育児一時金高額療養費制度などで費用をかなり抑えることができます。

帝王切開の場合は、保険が適用されるため、出産にかかる費用は3割負担となります。

自然分娩とくらべて手術費用は高くなりますが、帝王切開も同様に出産一時金などの受給ができるため、場合によっては自然分娩よりも安くなることがあると言われています(もちろん、逆に高くなる場合もあります)。

出産の時間

自然分娩と帝王切開では、出産にかかる時間でも大きな違いがあります。

自然分娩は初産であれば平均12〜14時間とされていますが、帝王切開では30分から1時間程度で終わります。

自然分娩が約半日痛みに耐えることを考えれば、海外で「なるべく痛みを避けたい」という理由で帝王切開がブームになるのも分かるような気がしますね。

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帝王切開で考えられるリスク

上記の対比では、帝王切開の方にメリットがあるように感じられますが、その一方で帝王切開ならではのリスクも存在します。

その中でもよく言われるのが『肺血栓塞栓症』のリスク。自然分娩よりも10倍近く発症リスクが高まるとされています。

この『肺血栓塞栓症』はとても重篤な症状を伴う合併症と言われ、出産後に初めて立ったときや歩いたときに多く発症するようです。

最悪の場合、死に至るケースもあるので、帝王切開を受ける際は十分気をつける必要があります。

帝王切開で見られる他のリスクとしては、次回の出産時に前置胎盤になる、麻酔によるショック症状、傷口がひどい状態で残る、次回以降の経膣分娩で子宮破裂などの可能性が高まる、などが挙げられます。

多くのママが悩む“帝王切開への偏見”

今や5人に1人の割合で行われる帝王切開ですが、いまだに偏見を持っている人も少なくないようです。

「あなたはお腹を痛めた子だから」というセリフに表れるように、半日に及ぶ壮絶な激痛を乗り越えた出産を誇りに思う人も少なくありません。

一方、帝王切開は麻酔を使って短時間で終わることが多いため、「楽して子ども生んでうれしい?」「苦労せずに生んだ子には愛情が生まれない」などと厳しい言葉を投げかけられる人もいるようです。

また、通常の分娩を“自然分娩”と呼ぶことから、帝王切開を“不自然な出産”とみなす世間の風潮もあり、帝王切開をしたが故に悩んでしまうママも少なくありません。

本来、帝王切開は医者の判断によって行われるため、帝王切開への批判は謂れのない誹謗中傷です。

それでも、日本にあまり良くないイメージが残っているのは、帝王切開の正しい知識が周知されていないことに起因するのかもしれません。

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お腹の傷が目立たないようにケアしよう!

帝王切開をした人の悩みの一つに、産後の傷が目立つことあります。

とくにケロイド化してしまうと一目で分かるような露骨な傷となってしまいます。

出産したとはいえ、まだまだキレイでいたいママも多いですよね。そこで、以下では産後の傷を目立たないようにするケア方法をご紹介いたします。

テープで傷口を固定

テープやシートなどを使って傷口を固定して幅の広がりを抑え、なるべく小さな傷あとに止めることができます。

体質によってはかぶれたりすることもあるようなので、その場合は一度中断するようにしましょう。

保湿する

これは妊娠線の予防にも使われる方法ですが、軟こうや保湿クリームを使って肌を保湿します。

肌が乾燥すると、弾力などが失われて皮膚の回復能力が低下します。そのため、こまめに肌を保湿することが傷の改善に役立ちます。


「帝王切開の種類」や「普通分娩との違い」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

高齢出産の増加によって、今や他人事ではなくなった帝王切開ですが、いまでに偏見も根強く残っているようです。

しかし、帝王切開だって立派な出産方法の一つです。もし周りにネガティブなことを言われても、胸を張って対応するようにしましょう。

(パピマミ編集部/上地)

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