まるで命の選別!? 出生前診断を受けることに対する賛成・反対意見

【ママからのご相談】
39歳の専業主婦です。妊娠12週目に入り、新型出生前診断を受けるつもりです。

初めての妊娠で高齢出産と言われる年齢ということもあり、診断の結果を知るのがとても恐いです。

もし、胎児に異常が分かり、産むか産まないかの選択を迫られたら、どうすればいいか頭が混乱しています。こんな私に、ご意見をお聞かせください。

a 中絶「しない」「する」の意見は分かれます。「診断を受けない」という選択も

こんにちは。ママライターのKOUです。

妊娠初期に、母親の血液で胎児の染色体異常の有無を調べる『新型出生前診断』が昨年(2013年)春の開始から1年ほどたちました。

この診断は、35歳以上など、出産リスクの高い妊婦さんの中で検査を希望する場合に実施されます。

流産の心配がなく、診断の精度も高いと言われていますが、相談者さんのお悩みに、簡単に答えを出すことは難しいと思います。

私自身も、ちょうど高齢出産といわれる年齢で1人目を産みました。

当時は、羊水検査などの“出生前診断”についての知識もほとんどなく、医師からも検査について奨められることもありませんでした。

結果的に、異常なく子どもが生まれてくれたので、安心したわけですが……。

もし、そのとき、生まれた子が「ダウン症」と告げられていたら、どうしていたのだろうと考えると……正直、生んだことを後悔していた自分がいたのではないか、と思うところもあります。

また、新型出生前診断が始まる前年の2012年には、プロゴルファーの東尾理子さんが妊娠15週で、母親の血液で調べる『クアトロテスト検査』を受けたことをブログで公表したことが話題になりました。

東尾さんは、82分の1の確率で赤ちゃんがダウン症の可能性がある、と言われたものの、確定診断となる羊水検査を受けずに出産という選択をされました。

では、実際に新型の診断を受けた方は、どのような判断をされているのでしょうか?

新聞の報道によると、検査開始から半年間で、新型出生前診断を受けた約3,500人のうち、67人が陽性と判定され、そのうち、羊水検査などで診断が確定した56人の9割以上が人工妊娠中絶を選んだそうです。

これらの結果などから、胎児の異常を理由とする中絶が広がり、生命の選別につながると指摘する声も上がっています。

そんな中、これから妊娠を希望される女性や、2人目を考えているママさんたち(35歳以上)30人に新型出生前診断についてのご意見をうかがいました。

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新型出生前診断に対するママの意見

(1)『診断を受けたい。(異常が確定しても)なるべく中絶はしたくない』

「診断を希望。異常が確定しても、なるべく中絶は避けたい」と答えた方は10人でした。

理由は次の通りです。

『出生前診断は賛成。事前に(異常があることが)分かれば、心の準備ができる
『産まれてくる子は私の子。中絶はできない』
『不妊治療中なので、命を授かったら絶対に産みたい』

(2)『診断を受けたい。(異常が確定したら)中絶を優先的に考える』

「診断を希望。異常が確定したら、中絶の方向で進めたい」と答えた方は6人でした。

理由は次の通りです。

『一生、障害を背負って生きていくことを考えると子どもがかわそう
『上の子と比べてしまって、産んだことを後悔しそう』
『育てる自信がない』

(3)『診断を受けない』

「診断を受けない」と答えた方は5人でした。

理由は次の通りです。

事前に異常が分かれば中絶を選んでしまいそう。なので、あえて診断は受けたくない』
『与えられた命なので、全て受け入れるつもり。診断は必要ない』
『何のための診断なのか考えるべき。今は、中絶するかしないかを決める検査になっているのでは』

その他の意見

『診断を受け、陽性が出たとしても、(羊水検査などの)確定診断は受けないで出産を待つ』
『妊娠していないので、考えられない』
『もし診断を受けて陽性になった時点で、夫や両親と相談してから(確定診断を受けるかどうかも含め)決めたい』

などが、ありました。


参考になりましたでしょうか。

プレジデント社によると、海外では最近、ダウン症胎児の“出生前治療”について、「知的な面で障害を軽くする、出生前治療が可能になるかもしれない」という研究報告が出てきたそうです。

胎児に大きな先天異常が見つかった場合、現状では何もしないで出産を待つか、その子をあきらめるか、2つの選択肢しかありません。

しかし、胎児手術は“第3の選択肢”になり得ると言います。

いつの日か、新型出生前診断も、ダウン症の子どもが治療を受けるための検査になるかもしれない、という話です。

命に関わる問題は、それぞれの方々の人生観や倫理観などによって捉え方も違うかと思います。

相談者さんも、いろいろな意見を踏まえながら、ご家族とよく相談されて決めてくださいね。

●ライター/KOU(ママライター)

編集部追記

今回のコラムでは、「出生前診断に対するママたちの意見」についてお話ししていただきました。

「出生前診断の内容」や「出生前診断のメリットと問題点」などについて、一般的にはどう言われているのか、編集部でまとめてみました。

年齢別に見る出産リスクの変遷

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そもそも、なぜ出生前診断は35歳以上の人が推奨されているのでしょうか。それは、年齢が上がるにつれて上昇する“出産リスク”にヒントがあります。

例えば、新生児にダウン症や染色体異常が起こる確率を年齢別に見ると、以下の通りになります。

20歳ではダウン症のリスクが1,667分の1、染色体異常のリスクが526分の1という確率になっていますが、35歳以降から発症確率が高まっているのがわかります。

また、ダウン症や染色体異常とともに、流産のリスクも35歳以上から高くなる傾向にあり、35歳時点では20%程度、40歳では50%にも上ります。

このように35歳以上で行われる出産には常に胎児へのリスクがつきまとい、非常に難易度の高い出産になります。

そのため、35歳以上の高齢出産者には出生前診断が推奨されているのです。

そもそも出生前診断って?

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出生前診断は、妊娠9〜22週の妊婦さんに対して行われる検査のことで、胎児に病気や奇形などの異常が起きていないかを確認する目的で行われます。

あくまでも“胎児の異常を診る”ためのものであって、決して中絶を推奨する行為ではありません。

そもそも出生前診断は、「胎児の異常や病気が早く見つかれば、早く治せる」という理念のもと実施されるのです。

近年では晩婚化の影響で30代で出産する人が多いため、非常に需要の大きい検査であると言えます。

出生前診断の種類4つ

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(1)羊水検査

妊娠16週前後に行われる検査で、細い針をお腹に指して羊水を摂取します。

この検査では染色体異常やダウン症などの先天性の病気を見つけることができ、とくにダウン症に関してはほぼ100%の精度で診断することができると言われています。

しかし、お腹に直接針を刺すという検査方法から、0.3%の確率で流産が起こるとも言われています。

診断してから結果が出るまでは3週間程度かかり、費用は約10万円程度です。

(2)超音波スクリーニング検査

超音波検査は一般的な妊婦健診でも行われますが、出生前診断で行われる検査ではより精密な映像で胎児の状態を確認することができます。

そのため、“超音波スクリーニング検査”と区別して呼ばれることもあります。

超音波スクリーニング検査は妊娠期間中のいつでも利用できますが、とくに妊娠12週前後に推奨されています。

超音波スクリーニング検査では胎児の外形から染色体異常やダウン症などの診断を行えますが、角度によっては隠れる場合もあり、正しく診断できないこともあります。

費用は2〜5万円が相場とされています。

(3)血清マーカーテスト

妊娠16〜18週の妊婦さんを対象に行われます。妊婦さんから採決した血液を分析し、染色体異常の確率を算出します。

しかし、この検査はあくまでも“染色体異常の確率”を判断するためのものであり、「確実に異常がある」という明確な診断はできません。

費用は1万円前後のケースが多いようです。

(4)絨毛検査

妊娠10週前後という、比較的早い段階で行える出生前診断です。針でお腹を刺したり、膣から管を入れたりといった方法で胎盤のもとである“絨毛”を採取します。

染色体やダウン症を早期に発見できるところがこの検査の特長です。

しかし、出生前診断の中では一番流産のリスクが高いとされ、病院によってはあまり推奨しないケースも多いようです。

費用は10〜20万円前後と比較的高めです。

新型出生前診断(NIPT)とは?

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これまでの出生前診断に加え、2013年から『新型出生前診断(NIPT)』が導入されました。

新型出生前診断は血清マーカーテストと同様に妊婦さんから採取した血液をもとに、胎児の染色体異常を調べる検査です。

従来の出生前診断よりも精度が非常に高いことで知られ、80〜90%の確率で胎児の先天性異常を予見することができ、「陰性」と判断した場合には99.9%の確率で的中するという驚異の正確さを持っています。

しかし、この検査は誰でも受けられるというものではなく、

・以前、ダウン症などの染色体異常を持つ赤ちゃんを出産したことがある
・35歳以上の妊婦(出産予定日時点)
・妊婦さん、もしくは旦那さんに染色体異常がある

などの条件をクリアしていないと受けることはできません。これらの条件は、安易な中絶が広がることを防止する目的で設けられているようです。

新型出生前診断はまだ保険適用外の検査であるため、20万円前後の費用がかかります。

出生前診断を受けることのメリット

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人によって出生前診断を受けるかどうかの判断は分かれますが、検査を受けるメリットとしては主に以下の3つが挙げられます。

・胎児の先天性異常を早期発見することで、治療可能な病気を治すことができる
・胎児の先天性異常を事前に知ることで、心の準備をすることができる
・診断結果が陰性であれば、出産までムダな心配をしなくてすむ

人によっては障害を抱えた子どもを育てていく自信がないという場合もありますので、そういう人にとっては「事前に中絶を選択できる」ということがメリットになるでしょう。

出生前診断の倫理的問題点

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出生前診断にはさまざまなメリットがありますが、その一方で検査を受けることを問題視する人たちもいます。

彼らの主張の多くは「異常があるからって中絶するのはおかしい」「命の選別だ」というもので、倫理的観点から抗議を行っています。

日本では「先天性異常がある」と診断された人の9割が中絶している事実からも、たしかに無視できない重要な問題提起ではありますね。

また、「ダウン症だから中絶する」という行為は、実際にダウン症の子どもを育てている親にとっては看過しがたいものでもあります。

人によって出生前診断を受けることへの考え方は異なりますが、こうした批判的な見方があることも知っておくようにしたいですね。

まとめ

「出生前診断の方法」や「出生前診断の問題点」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

価値観が多様化している現代では、「たとえ障害を持っていても産むべき」という考えが必ずしも正解とは限りません。逆に「中絶すべき」とも言えません。

もしも出生前診断を受けたいと思っているなら、その前に一度、自分の気持ちを明確にする必要があるかもしれませんね。

●追記/パピマミ編集部

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