出産で会陰が裂ける確率を下げる方法2つ

【女性からのご相談】
妊娠5か月の妊婦です。お産のときはほとんどの場合、会陰切開をすると思うのですが、まれに切ることも裂けることもなく産める人もいると聞きました。

私もできればその一人になりたいのですが、妊娠中からできることはありますか?

a 会陰マッサージがオススメ

会陰切開、会陰裂傷に対する不安は、妊娠中の女性なら誰でも抱えているものだと思います。未知の世界ですから、余計に恐ろしいですよね。

今日は、少しでも会陰裂傷の可能性を低くするために、妊娠中と分娩中にできることを2つご紹介します。

会陰マッサージとは

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まず、会陰とは膣口と肛門の間の組織(皮膚と筋肉)のことを指します。分娩の際には、主にこの会陰が伸びて赤ちゃんが通れるようになります。

会陰マッサージは、文字通りこの会陰をマッサージすることを言います。妊娠34週以降から始めるのが良いとされています。

カナダで行われた調査によりますと、会陰マッサージをした産婦さんたちの24.3%が会陰が裂けることなく分娩できたのに対し、会陰マッサージをしなかった産婦さんたちではその数字は15.1%でした。

ただし、この数字は初産婦さんに限られたことで、2回目以降のお産では、マッサージをしてもしなくても会陰が裂ける確率は下がります。

会陰マッサージを始める時期

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病院や医師によって違いがあるようですが、34週を目安に始めるところが多いようです。

ただし、妊婦さんの体の状態は人によって大きく違うため、妊娠期間にとらわれず個別に医師に相談するのがいいでしょう。

早ければ20週を過ぎたころから始める人もいるようですが、37週の正産期になるまでは、お腹が張りやすい方は行わないようにしてください。

また、マッサージの最中でも、体に異変を感じたりお腹がはるような感じがあったりした場合にはすぐに中止するようにしましょう。

会陰マッサージの頻度や1回にかける時間

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目安としては、1回5〜10分、週に2〜3回程度と言われています。

しかし、会陰マッサージをするにあたって一番大事なことは、習慣化して出産当日までやり続けるということです。

週に3.5回以上の会陰マッサージを行っても会陰裂傷の明らかな減少は見られない、という研究結果もあるため、目安に沿ったペースでムリなく続けることをお勧めします。

無理をして会陰部分を傷つけてしまうようなことがあれば元も子もありません。

会陰マッサージを行うときのおすすめオイル

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体のなかでも特にデリケートな部分であるため、使用するオイルにも気を使いましょう。

植物性の無添加オイルで、アーモンドオイル、ホホバオイル、カレンデュラオイル、白いごま油、ココナッツオイル、オリーブオイルなどがおすすめです。

妊娠中は肌も敏感になっているため、使う前には必ずパッチテストを行うようにしましょう。

会陰マッサージを行う流れ

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用意するもの

両手が使えるように、スタンド付きの鏡を用意してください。また、爪は短く切っておいてください。

マッサージに使うオイルとして、ココナッツオイルかオリーブオイルを用意して下さい。

基本の会陰マッサージ

(1)純正の植物オイルを、お皿や容器に少量移します。

(2)マッサージに使う指1〜2本にオイルをつけます。付着させる量は、指から滴り落ちない程度でOK。

このとき、直接指で会陰部分に触れることに抵抗がある方は、コットンにオイルをつけてそれでマッサージするという方法もおすすめです。

コットンを使う場合には、オイルを含ませたコットンをぎゅっと絞って滴り落ちてこないぐらいを目安にしましょう。

(3)オイルをつけた指、またはコットンで、会陰の周囲を膣に沿ってUの字を描くようにマッサージします。

(4)慣れてきたら、今度は同じ部分をくるくると小さな円を描くようにマッサージしていきましょう。痛みを感じない程度に、5〜10分ほど行います。

(5)会陰部に付着したオイルに違和感を感じる人は拭き取ってもかまいませんが、オイルが時間をかけて浸透することで会陰がふっくらと柔らかくなる効果があるため、おりものシートなどを当ててそのままにしておく方が良いでしょう。

コットンを使った場合には、コットンを乗せたまま、おりものシートを使うとより効果的です。

膣に指を入れる会陰マッサージ

基本のマッサージに慣れてきたら、膣に指を入れて行う会陰マッサージにも挑戦してみましょう。

(a)基本のマッサージを(4)まで行った後に、指を膣に3〜4cmほど(第一関節ぐらいまで)挿入します。

(b)体のおへそ側を時計の12時として、3〜9時の方向に向かって押し広げるようにそっと力を入れていきましょう。

痛みを感じないように、ていねいにゆっくりと行ってください。痛みを感じるようならそこでやめて、そのままの姿勢を保持してください。少し痛みが和らいだら、更に広げます。これを2〜3回繰り返して終了です。

会陰マッサージのコツや注意点4つ

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(1)清潔な手で行う

会陰部は体の中でも特に繊細ですので、爪を短くキレイに切りそろえ、清潔な状態で行うことが最重要事項です。

マッサージ前には念入りに手洗いをすることも必須。

もしネイルなどをしている場合には、必ずコットンを使用し、会陰部や膣を傷つけないようにしましょう。

膣の中は細菌感染を起こしやすいため、特に注意が必要です。

(2)肛門に指が触れないようにする

清潔な状態で行うために、マッサージ中は肛門に触れないようにしましょう。

万一触れてしまった場合には、マッサージをする指を変えるか、一旦やめて手を洗ってから再開するようにしてください。

(3)体が温まっているときに行う

入浴中や入浴後など、体が温まっているときには会陰も伸びやすくなっています。

オイルも浸透しやすいため効果的。

ただし、入浴中にオイルを扱うときには浴室が滑りやすくなっているため注意しましょう。

(4)効果を得られるのは初産のときのみ

会陰マッサージは出産のときの会陰裂傷や会陰切開のリスクを下げる効果がありますが、これは初産のときに限られるようです。

1人目の出産で会陰はすでに広がっているため、2人目の妊娠中にマッサージを行っても、出産時の裂傷の有無には影響がないと言われています。

会陰裂傷を避けるために、分娩当日できること

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会陰裂傷のほとんどは、赤ちゃんの頭が出てくるときに起こります。

助産師は会陰を良く観察しながら、赤ちゃんの頭が少しずつ、ゆっくりと出てくるように声かけをしますが、このときの産婦さんは、とにかくもういきみたい、出してしまいたいという衝動で一杯で、いきみを逃すことは至難の業です。

結果的に、一気に赤ちゃんの頭が飛び出すことになり、会陰が裂けてしまうのです。

もちろん、ゆっくり出しても裂ける場合もありますが、助産師の声かけを良く聞いて、冷静に、指示通りの呼吸を行い、いきみを逃すことで、裂傷の可能性は低くなると言えます。


残念ながら、オーストラリアで行われた研究によると、日本人は世界で最も会陰が伸びにくい人種といわれています。

ですから、今日ご紹介した方法をもってしても、特に初めてのお産の場合、会陰裂傷、または切開は避けられない場合が多いと思います。

切開になる場合の多くは、分娩介助中の助産師が「これは裂けそうだな」と判断し、素早く隣で見守っている医師に意思表示し、医師による局所麻酔後に行われます。

やみくもに、誰に対しても切開を行っているわけではありません。

もしもあなたの会陰が良く伸びていれば、助産師はそのまま介助を続けますし、医師ももちろん隣で見守ってくれます。

その可能性にかけて、妊娠中からできることをやってみるのも良いかもしれませんね。

マッサージしておくと会陰切開の治りが早い?

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マッサージで会陰を伸びやすくしておくと、仮に切開や裂傷になったとしても傷が小さくて済みます

傷が小さければその分治りも早くなりますし、母体にかかる負担も少なくなるため、決してマッサージがムダになるということはありません。

また、自分の体に触れ、赤ちゃんの通り道をじかに感じることで、精神的な安らぎを得ることができるというメリットもあります。

マッサージ以外で会陰をやわらかくする方法

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マタニティヨガ

マタニティヨガというのは、妊婦さんのためのヨガ。

さまざままなポージングや呼吸法により、膣や産道への力の入れ方・抜き方が分かるようになったり、会陰を柔らかくしたりする効果があります。

骨盤が開きやすくなることで出産の負担を軽減させることも。

また、産後に開いてしまった骨盤が、元の位置に戻りやすくなる効果もあると言われています。

膣ピチュ(会陰ピチュ)

膣ピチュとは、「膣に行うアーユルヴェーダ」とも言われるもので、オイルを膣内に浸透させることで伸びやすい膣を作ることを目的として行われます。

アーユルヴェーダは世界最古の伝統医学であり、長寿や若さを保つことを目的とした予防医学のこと。

この膣ピチュというのは、オイルを含ませたコットンを患部に当てて行うアーユルヴェーダの治療法(ピチュ)にならったものです。

会陰マッサージと同様に、会陰裂傷や会陰切開のリスクを軽減させる効果があります。

コットンを膣内に入れるため、オーガニックコットンを選ぶと良いでしょう。

まとめ

「会陰マッサージの頻度」や「コツ、注意点」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

初めての出産で不安なことも多い中、“裂傷”“切開”などと聞くと余計に怖くなってしまいますよね。

効果には個人差もあり、必ずしも切開が不要になるというわけではありませんが、生まれてくるこどものため、そして自分の体のためにも、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

【関連コラム】
知っておきたい出産時の会陰切開の知識4つ

●ライター/Hillまゆ子(助産師)
●追記/パピマミ編集部

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