知っておくと安心! 出産時に“会陰切開”が必要になる理由と予防法

【女性からのご相談】
来月出産を控えていますが、今、何より怖いのが会陰切開です。

友達は、切開が嫌だという理由で助産院を選びました。

私の地域には助産院がなく、仕方なく産婦人科医院で産むことにしたのですが、病院ですからやはり会陰切開はありますよね? 産後もずっと痛むのでしょうか? 不安です。

a いたずらに怖がるのではなく、正しい知識を持とう

お気持ちよくわかります。私も出産前は会陰裂傷のことがとても心配でした。

そこで今日は、会陰切開、会陰裂傷についてお話しします。

会陰切開って何?

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会陰とは、膣と肛門の間の部分を指し、会陰切開とは、胎児を分娩する際にその部分を切開する処置のことを指します。

切開には二通りの方法があり、一つは垂直切開です。これは文字通り、膣から肛門に向けて垂直に切開する方法です。

縫合後の違和感が少ないという利点がありますが、傷が延長して肛門に達する危険性も含んでいます。

二つ目の方法は斜め切開です。これは医師の利き手によっても違ってきますが、通常は母体の右側に、斜め約45度の傾斜で入れられる切開のことです。

この方法ですと、傷が肛門まで延長するリスクが低いので、多くの医師はこの方法を用います。

会陰裂傷と会陰切開の違い

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会陰裂傷とは、分娩の際に自然に会陰が裂けることを意味します。

前述した通り、ゆっくりと、いきまずにお産をした場合、裂けずに産める場合もありますが、これは、個人の体質やその他の条件によって異なり、切開しなくても結局は裂けてしまう場合もあります。

数々のリサーチによって、裂傷と切開の傷では、治り方にほとんど差がないことが分かっています。

つまり、切っても裂けても、きちんと縫えばきちんと治るということなのです。

ではなぜ、日本の病院では多くの医師が切開を好むのでしょうか?

これは、第一の理由として、縫いやすいからです。

裂けるときはジグザクに裂けたり、何本も裂けてしまったりしますが、切開すれば傷は一本で済みます。

医師にとっても縫いやすいのはありがたいことですし、縫われる方にとっても、縫合作業が短時間で済むのはありがたいことです。

第二の理由として、リスク回避があります。

自然な裂傷ですと、どうしても垂直に裂けてしまうため、ちょっといきみが強すぎたりすると、傷が肛門まで達してしまう可能性があります。

こうなると、後遺症が残る場合もあり、その後の人生にまで影響しかねません。

それを避けるために、裂ける前に切開をするというわけです。

どうして会陰切開するの?

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妊娠していない状態から考えると、赤ちゃんの頭の大きさに会陰が伸びる、なんてことは信じられないかもしれません。

ですが、妊娠すると、ホルモンの影響で母体の組織が柔らかくなります

歯茎から血が出たり、足がむくんだり、腰が痛くなったりなど、さまざまな症状はこの“組織が緩む”ことが原因で起こります。

では、なぜ組織が緩むかというと、第一に子宮の筋肉が大きく伸びて、出産まで赤ちゃんを入れておく必要があることと、第二に分娩時に産道が伸びる必要があるからです。

この理屈でいうと、会陰もまた、赤ちゃんの頭の大きさまで伸びることになりますよね。

しかし、多くのケースでは、会陰が伸びるのを待っている間に、赤ちゃんの心拍が下がってしまうか、あるいは、お母さんがいきみを我慢できないために、伸びる前に裂けてしまうかのどちらかになります。

なお、オーストラリアで行われた研究によると、東アジア人(日本人、韓国人など)は、最も会陰が伸びにくい人種だそうです。

ですから、日本では、裂けずに産まれた、という人は少数派です。

助産院で産んでも、裂けるときは裂けます。お友達を羨ましがる必要はありません。

きちんと医師に縫ってもらえるのですから、切るにしろ裂けるにしろ、安心して産んでください。

なお、会陰切開の前には、よほどの緊急でない限りは、局所麻酔をします。あまり心配しないでくださいね。

会陰切開はどのくらいの確率で行われるの?

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さて、上記コラムでは会陰切開を怖がる必要はないと締めくくられていますが、やっぱり不安はあるものですよね。

ネット上でも、

『ハサミでジョキンと切られる想像をするだけでも無理』
『出産で会陰切開だけが気がかり』

など、会陰切開を気にする人は少なくありません。

しかし、妊婦全員が会陰切開をするわけではなく、基本的には初産の人の約7割に実施されると言われています。

なお、2回目以降の出産からは会陰切開をする確率は低くなるようです。

近年では会陰切開する人は減少している

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会陰切開はもともと、1700年代にアイルランドの助産師によって普及された方法です。

目的は赤ちゃんやママの安全な出産ですが、近年では「会陰切開しないで!」と懇願する女性も多く、それを尊重する病院が増えてきているようです。

もちろん、赤ちゃんに異変がある場合などは緊急の会陰切開が行われます。

しかし、会陰裂傷と比べて傷の治りがあまり変わらないことが分かってきたため、赤ちゃんと母体に異常のない限りはなるべく会陰切開を行わない病院もあります

会陰切開の流れ

とはいえ、初産婦の約7割が経験する会陰切開。

やはりどう切開するのかは知っておいた方が安心ですよね。

タイミングはお産がかなり進んでから

まず、会陰切開が行われるのはお産がかなり進んでからです。

赤ちゃんの頭がようやく見えてきたぐらいのときに行われます。

このときには大抵の人は会陰(膣口から肛門の間)がパンパンに伸びており、紙くらいの薄さになっています。

「これ以上張ったら自然裂傷が起こる!」と判断されると、ようやく会陰切開にとりかかります。

裂傷が予測されなくても、赤ちゃんの心拍数が低下しているなどの状況があれば同様に会陰切開となります。

切り方は3パターン

いざ会陰切開! となると、医療用のハサミが用意され、会陰を3cmほどジョキジョキ切ります。

このとき、麻酔をするかしないかは病院によって異なりますが、する場合は局所麻酔を打つことになります。

しかし、ほとんどの人は陣痛の影響で会陰切開の痛みを感じないとされ、麻酔を打っても打たなくても変わらないとする意見もあります。

会陰切開のやり方には3種類あり、

(1)正中切開……膣口から肛門にかけて真っすぐ切開する
(2)正中側切開……膣口から少し斜め(5時7時の角度)に切開する
(3)側切開……正中側切開よりさらに外側に切開する

に分けられます。この中でも(2)が一番リスクが低いとされ、一般的に用いられています

ちなみに、(1)は比較的出血や痛みが少ないとされていますが、重い裂傷につながる可能性があることから、回避されることが多いようです。

(3)は会陰が極端に狭い人、肛門や直腸が損傷する可能性が高い場合に選択されます。

傷口を縫合する

赤ちゃんやママを守るための方法とはいえ、刃物でちょん切られたことには変わりありません。

そのため、会陰切開をした場合は出産後に縫合されます。

この際、使用される糸は“絹糸”が一般的ですが、近年では「溶ける糸」と呼ばれる“吸収糸”を使用するケースも多いです。

前者の場合は後で抜糸が必要になりますが、後者には抜糸が必要ありません。

実際に溶ける糸を使用した人の声として、

『会陰切開の抜糸は信じられないぐらい痛かった。2人目は溶ける糸にして良かった』
『心なしか縫い目がキレイな感じがする』

などがあり、評判は高いようです。

どうしても抜糸がイヤという場合は、医師に相談してみると良いでしょう。

会陰切開後の痛み

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通常、感染などの異常が見られない場合は、分娩後2日目に抜糸があり、抜糸が終わるとひきつれる感じが消えて大分楽になります。

退院する5日目頃にはほとんど痛みも消失します。もちろん後遺症などは残りません。

会陰切開の傷口が治るスピードは人によってまちまちですが、1か月ほど経つと完治すると言われています。

早い人では1週間くらいで治りますが、傷の痛みは大体3日程度で治まると言われています。

傷口を縫合された後は“つっぱり”を感じることが多いですが、退院するころには治まります。

もしも強い違和感が続く場合は早めに医師に相談するのが無難です。

場合によっては“溶ける糸”を使用していても抜糸する必要があることも。

産後の会陰ケア方法

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会陰切開の傷は汚れやすい部分にあるため、常に清潔にしておくことが大切です。

トイレのたびに洗浄綿を使用して消毒するのが望ましいとされています。

傷口が開かないよう、なるべく強く触らずにそっと押し当てるようにすると良いでしょう。

また、安静にする、栄養のある食事を取る、痛み止めを飲む、などの対策で傷口の治りが早くなります。

会陰切開の傷あとは残る?

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会陰切開による傷あとは残ることも少なくありません。

しかし、会陰裂傷よりは傷あとが消えやすいとされ、正中切開の場合はさらに傷あとが残りにくいと言われています。

ただ、会陰はそもそも人目が気にならない部分であることから、あまり気にする必要はないと言えるでしょう。

切開を予防する会陰マッサージ

「どうしても会陰切開はやだ!」という方におすすめなのが、“会陰マッサージ”。

実は、出産前に会陰をマッサージしておくことで、切開を予防したり、切開の範囲を最小限にとどめることができます。

さらに、会陰切開でできた傷の回復も早くなると言われています。

誰でも簡単にできるので、ぜひ暇な時間に実践してみましょう。

会陰マッサージのやり方

まず、会陰部分でUの字を描くようにして、指で強めにマッサージしましょう。

イスを利用したり、ベッドで横に寝そべるとやりやすいです。

次に、会陰全体に何重にも円を描くようにマッサージしましょう。

この流れを1回10分程度、お風呂上がりに行うと効果的です

会陰マッサージは2、3日に1回行うようにし、臨月の場合は毎日するようにしましょう。

オイル会陰マッサージのやり方

これは、植物油を用いて、膣内から会陰をほぐす方法です。

指に植物油をつけ、膣に3〜5cm程度挿入します。それから会陰側へ押すようにしてマッサージしましょう。

この流れを1回5分程度、週に2、3回くらいでOKです。

マッサージをする際は爪をきちんと切り、清潔な手で行うようにしましょう

感染症などにより胎児に影響が出る可能性もあります。

こちらもお風呂上がりにすると効果的とされています。

会陰切開を防ぐソフロロジー出産

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会陰切開を防ぐ方法の一つとして、ソフロロジー出産をすることが挙げられます。

ソフロロジー出産とは、腹式呼吸で母体をリラックスさせた状態で行う出産方法で、普通の人が耐えられないような痛みを受け流すことができると言われています。

つまり、麻酔なしで痛みを軽減させることを目的としています。

やり方は簡単。鼻呼吸で3秒空気を吸い、2秒止め、5秒かけて息を吐き出します。

ひと呼吸10秒の計算ですね。これを繰り返すことで体がリラックスしてきます。

母体がリラックスしていると、会陰も開きやすい状態になり、会陰裂傷や会陰切開の割合が減ると言われています。

中には、

『陣痛の前に呼吸法なんて無意味』
『出産中に呼吸法とか言われたらブチ切れる。こっちは必死なの』

という意見もあるため賛否両論ですが、気になる方は実践してみてはいかがでしょうか。

分娩を待っている間の緊張緩和にも役立ちますよ。

まとめ

「会陰切開の方法」や「会陰切開を予防する方法」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

多くのママが恐れる会陰切開ですが、実際の分娩ではあまり痛みを感じないことが多いようです。

それよりも陣痛の痛みの方が上回るんですね。

とはいえ、会陰切開を予防する方法がいくつかあるので、試してみてはいかがでしょうか。

自分にとって赤ちゃんにとって、最高の状態で出産を迎えるようにしたいですね。

●ライター/Hillまゆ子(助産師)
●追記/パピマミ編集部

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